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【共同通信杯】日本ダービーを狙った意欲的なローテーション

  • 2020年02月15日(土) 18時00分

狙いは先だが決してぬるい仕上げではない


 昨年の皐月賞を制したサートゥルナーリアは、2歳12月以来の実戦だった。3着ダノンキングリーの3歳春の日程は「共同通信杯…皐月賞…日本ダービー」。たった3戦だけ。近年、クラシックに挑戦の過程が一段と変化している。

 2013年のキズナのように2歳秋からとくに休まず、通算7戦目に日本ダービーを制したタフな馬がいる一方、ここ数年の日本ダービー馬は、大目標に至るまでのキャリアはみんな「4-5戦」にとどまる。

 最近10年、皐月賞で3着以内に快走した計30頭の「3歳になっての平均出走回数は1.6走」にすぎないという数字がある。有力馬ほど出走数を絞り、消耗は避ける手法が一般的になっている。

 人気のマイラプソディ(父ハーツクライ)を出走させる友道厩舎は、16年マカヒキ、18年ワグネリアン。直近に2頭も日本ダービー馬を送っている。

 マカヒキの3歳春の日程は「若駒S1着…弥生賞1着…皐月賞2着…日本ダービー1着」。皐月賞までを2戦にとどめ、大目標のダービーまでの戦歴は2歳戦から通算しても4戦だった。

 ワグネリアンの3歳春は「弥生賞2着…皐月賞7着…ダービー1着」。皐月賞までわずか1戦、日本ダービーまでは2歳戦から通算キャリア5戦だった。

 今年の友道厩舎のマイラプソディ(3戦3勝)は、東京コースと、関東への遠征を経験させるテーマがあり、弥生賞を直前レースにするのではなく、「共同通信杯…皐月賞…日本ダービー」を予定している。

 これまでの2頭とは少し異なるレースを選び、狙いを定めて皐月賞に挑戦したうえで、日本ダービー3勝目を狙おうとする意欲的な日程である。

 最近10年、皐月賞を3着以内に好走した30頭のうち、直前に弥生賞に出走した馬が最多の8頭。うち5頭は3歳初戦だった。

 同じく最多タイの8頭が皐月賞前の過程に選んでいたのが2月の共同通信杯。うち6頭がそのあと皐月賞に直行ローテーションを取って、3着以内だった。どちらの日程をとっても、すでに3戦3勝のマイラプソディは皐月賞に向けての王道に乗ろうとしている。

 マイラプソディの場合、共同通信杯に出走しないと、日本ダービーが東京初コースになる死角が生じるのでここに出走してきた、という見方もあるが、決してぬるい仕上げではない。入念に乗ってきた。なぜなら、無敗の連勝をつづけていた馬が初黒星を喫した次の一戦で、皐月賞を勝つことはめったにない(2002年ノーリーズンが最後)。出直しを余儀なくされる危険が大きくなってしまう。

 相手本戦は東京向きと思えるダーリントンホール、ココロノトウダイにしたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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