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チェルトナムフェスティバルのメイン競走展望(前編)

  • 2020年02月19日(水) 12時00分

前哨戦の終了でほぼ固まった勢力図


 15日にアスコットで行われたG1アスコットチェイス(芝21F8y)を持って、チェルトナムフェスティバル(3月10日〜13日)へ向けた主な前哨戦を全て消化。4日開催のそれぞれのメイン競走における勢力分布が、ほぼ固まった。

 そこでこのコラムでは今週と来週の2回に分けて、チェルトナムフェスティバルの展望をお届けする。

 開催初日(3月10日)に行われるG1チャンピオンハードル(芝16F87y)で、ブックメーカー各社が3.5〜4.33倍のオッズを掲げて1番人気に推すのが、ニッキー・ヘンダーソン厩舎のエパトン(牝6、父ノーリスクアットオール)だ。

 仏国産馬で、自国のナショナルハントフラットで3戦2勝の成績を挙げた後、大手馬主のJ.P.マクマナス氏が購買し、英国に移籍させたエパトン。18年11月にハードルデビューし、このシーズンは3戦2勝。重賞初挑戦となったチェルトナムのG2メアズノーヴィスハードル(芝16F179y)は9着に大敗した。

 大きな成長を見せたのが今季で、緒戦となったニューバリーのLRインターメディエイトハードル(芝16F69y)を6馬身差で制すると、続いて出走したケンプトンのG1クリスマスハードル(芝16F)も5馬身差で快勝し、重賞初制覇をG1で成し遂げている。

 オッズ6倍前後の2番手評価が、エパトンと同厩のペントランドヒルズ(セン5、父モティヴェイター)だ。昨季のチェルトナムフェスティバルではG1JCBトライアンフハードル(芝16F179y)を制している同馬。今季初戦となったチェルトナムのG2インターナショナルハードル(芝16F179y)5着、続くヘイドックのG2チャンピオンハードルトライアルハードル(芝15F144y)が鼻差2着と、じわじわと調子を上げての参戦となっている。

 ブックメーカーの前売りでは、ハニーサックル(牝6、父スラマニ)、ベニーデディユー(牝9、父グレートプリテンダー)エンヴォイアレン(セン6、父ムータティール)らの名前も挙がっているが、ハニーサックルとベニーデディユーは10日のG1メアズハードル(芝19F200y)に、エンヴォイアレンは11日のG1バリーモアノーヴィスハードル(芝21F)に廻る公算大と見られている。

 開催2日目(11日)のメイン競走となるG1クイーンマザーチャンピオンチェイス(芝15F199y)は、三つ巴状態となっている。

 15年10月の入障以来、昨季末まで、ハードル5戦5勝、スティープルチェイス14戦14勝、通算19戦19勝と負け知らずの快進撃を続けていたのがアルティオール(セン10、父ハイチャパラル)だ。このレースも18年、19年と連覇を果たし、スティープルチェイス2マイル路線の絶対王者として君臨する存在となっていた。

 同馬を管理するのも伯楽ニッキー・ヘンダーソンで、同師と馬主のパトリシア・ポウ夫人が協議し、今季のアルテイオールを3マイル路線に転向させることを画策。同馬の今季初戦に、11月23日にアスコットで行われたG2クリスティ1965チェイス(芝21F8y)を選択した。だが、初めて20Fを超える距離に挑んだアルティオールは、ゴール前の勝負どころで脚が使えず2着に敗退。連勝記録が19でストップしてしまったのだ。

 アルティオールの今季2戦目となったのが、2月8日にニューバリーで行われたG2ゲイムスピリットチェイス(芝16F92y)で、従来の距離に戻った同馬はここを3.1/4馬身差で快勝。G1クイーンマザーチャンピンチェイス3連覇に挑むことになった。

 仏国産馬で、自国でナショナルハントフラットを2戦した後、エパトン同様にJ.P.マクマナス氏に購入され、こちらはフィリップ・ホブスが管理することになったのがデフィードゥソウイ(セン7、父ヴォワドゥノール)だ。ハードルで9戦し、G1JCBトライアンフハードルなど3つのG1を含む7勝を挙げた後、18/19年シーズンからスティープルチェイスに転向。昨季のチェルトナムフェスティバルでは、G1ゴールデンミラーチェイス(芝19F168y)を制している。

 更に安定感を増したのが今季で、緒戦となったG2チェルトナムチェイス(芝15F199y)、続くサンダウンのG1ティングルクリークチェイス(芝15F119y)、前走アスコットのG1クラレンスハウスチェイス(芝16F167y)をいずれも白星で通過。盤石の態勢でスティープルチェイス2マイル路線の最高峰に向かってくる。

 デフィードゥソウイと同じく仏国産馬で、祖国で4戦1勝の成績を残した後、これも大手馬主であるリッチ・リッシー氏に購買され、愛国の伯楽ウィリー・マリンズ師の管理下に置かれることになったのがシャカンプルソワ(セン8、父ポリシーメイカー)だ。

 馬主が変わって転厩したのは16/17年シーズンの開幕を控えた時期だったが、小さな故障が相次いでなかなか出走態勢が整わず、ようやくターフに帰ってきたのは18/19年シーズンの終盤だった。実に、丸3年に及ぶ休養期間を経験したわけだが、復帰戦となったナースのビギナーズチェイス(芝16F)で勝利を収めると、次走はパンチェスタウンのG1ライアンエアノーヴィスチェイス(芝16F)に駒を進めてここも快勝。

 今季初戦となったレパーズタウンのG1パディーズリワーズクラブチェイス(芝17F)では2着に敗れたものの、続いて出走したレパーズタウンのG1ダブリンチェイス(芝17F)を快勝している。

 ブックメーカーの前売りでは、アルティオールがオッズ3倍前後、デフィードゥソウイがオッズ3〜3.25倍、シャカンプルソワがオッズ3.5倍前後となっている。

 次週のこのコラムで、チェルトナムフェスティバル後半の主要競走を展望する。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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