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ファシグティプトン・ガルフストリーム2歳トレーニングセールの上場馬が発表

  • 2020年03月04日(水) 12時00分

過去の取引馬には日本のファンにとって馴染み深い馬も多数


 北米の2歳トレーニングセールでは最高の品揃えを誇る「ファシグティプトン・ガルフストリーム2歳トレーニングセール(4月1日、公開調教3月30日)」の、上場馬が発表になった。

 今年のカタログ記載馬は178頭と、昨年の186頭から微減となっている。かつてはクロフネ、エーシンフォワードといったG1勝ち馬が発掘されたこのセールだが、近年の代表馬はコパノキッキング(セン5、父スプリングアットラスト)だ。17年の当セールに出向いていた村山明調教師の目に止まり、10万ドル(当時のレートで約1142万円)というボーナスプライスで購買された同馬は、これまでG3根岸S(d1400m)など4つの重賞を含む9勝をマークしている他、JpnI JBCスプリント(d1400m)2着などの実績を挙げ、自身の購買価格の25倍近い2億7977万円の賞金を収得している。

 あるいは、今年1月22日に大井で行われたJpnIII TCK女王盃(d1800m)で待望の重賞初制覇を果たしたマドラスチェック(牝4、父マリブムーン)、昨年10月に京都のオープン特別・室町S(d1200m)を制したモンペルデュ(牝4、父カイロプリンス)、18年のJpnI 全日本2歳優駿(d1600m)4着馬メイクハッピー(牝4、父スクエアエディー)らもこのセールの出身馬たちで、近年はここで購買されて日本にやってくる馬は年平均で5頭前後であることを考慮すると、極めて「当たり」の確率の高いマーケットと言えよう。

 お膝元の北米でも、デビューから無敗の2連勝で2月9日にサンタアニタで行われたG2サンヴィセンテS(d7F)を制し、ケンタッキーダービーの有力候補に挙げられているナダル(牡3、父ブレイム)が、19年の当セールにて購買された馬である。

 公開調教を行ない、フィジカルを確認してから購買するのが2歳トレーニングセールだが、上場馬の血統面も上質なことで知られているのが、このセールだ。

 今年も、19年の全米リーディングサイヤーであるイントゥミスチーフの産駒が実に15頭、19年の全米フレッシュマンサイヤーチャンピオンであるアメリカンファラオの産駒が10頭も上場を予定している他、カーリン(3頭)、マリブムーン(5頭)、クオリティロード(3頭)、タピット(4頭)、アンクルモー(5頭)といったトップサイヤーの産駒がスタンバイしている。

 また、日本の競馬ファンにとっては、今年から日本での供用をスタートさせたカリフォルニアクロームの初年度産駒が、公開調教でどんな動きを披露するかも興味深いところだ。

 主な血統的注目馬を挙げると、まず上場番号6番の牡馬(父ユニオンラッグス)は、G1アルシバイアデスS(d8.5F)勝ち馬ダンシングラッグスの全弟にあたる。なおかつ、祖母ジュウェルプリンセスはG1BCディスタフ(d9F)を含む4つのG1を制したチャンピオンホースだ。

 上場番号11番の牡馬(父メダグリアドーロ)は、G1デルマーフューチュリティ(d7F)勝ち馬クリムトの半弟。G1ホープフルS(d7F)勝ち馬ラリスや、前述したメイクハッピーらの全弟にあたるのが、上場番号73番の牡馬(父スクエアエディー)である。

 G1サンタアニタH(d10F)勝ち馬メラトニンの半弟にあたるのが、上場番号106番の牡馬(父ナイクィスト)だ。15年の全米2歳牡馬チャンピオンにして、16年のG1ケンタッキーダービー(d10F)を制したナイクィストは、今年の2歳世代が初産駒となる期待の若手種牡馬である。

 昨年のG1BCダートマイル(d8F)勝ち馬スパントゥランの半妹にあたるのが、上場番号107番の牝馬(父フロステッド)で、15年のG1ゴールドカップアットサンタアニタS(d10F)勝ち馬ハードエイシスの半妹にあたるのが、上場番号112番の牝馬(父フロステッド)だ。

 この2頭の父であるフロステッドは現役時代、14.1/4馬身差で圧勝したG1メトロポリタンH(d8F)を含めて3つのG1を制した馬で、同馬もまた、今年の2歳世代が初産駒となる。

 上場番号133番の牡馬(父カーリン)は、母バイラマがG1ヴァニティH(AW9F)勝ち馬だ。

 G1オウサムアゲインS(d9F)勝ち馬スムースローラーの全弟にあたるのが、上場番号136番の牡馬(父ハードスパン)である。そして、上場番号159番の牡馬(父カーリン)は、G1BCジュヴェナイルターフ(芝8F)勝ち馬ウロートの半弟にあたる。

 どんな逸材が日本にやってくるか、筆者も現地に取材に赴く予定なので、何らかの形でご報告したいと思っている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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