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【弥生賞・チューリップ賞・オーシャンS追い切り】先週に続き重要なトライアルレース!有力馬の状態はいかに!?

  • 2020年03月04日(水) 18時00分

巻き返しへの強い意欲を感じる追い切り


 今週も春のGIに向けたトライアル重賞が3つ。どれも見逃せないレースとなりそうですが、美浦所属馬の1週前追い切りを調教VTRで確認しましたが、オーシャンSのタワーオブロンドンはえげつない動きを見せていました。また、弥生賞は栗東所属馬がやや小粒ですが、美浦所属馬はみな順調といった感じの動きも確認することができました。

 そして、桜花賞に向けて熱い一戦となりそうなのがチューリップ賞。阪神JFの1着から4着まで、そしてフェアリーSの1着馬など、本当に濃いメンバーが揃いました。こちらは調教動画解説「重賞捜査網」でも取り上げる予定ですが、ここでも解説させていただきます。現状がどの程度の仕上がりなのか、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

【オーシャンS/ダノンスマッシュ】

 同厩舎ダイアトニックが阪急杯から高松宮記念というローテーションになることもあり、こちらはオーシャンSからGIというステップ。香港スプリント以来のレースということになりますが、当然目標は4着、3着とあと一歩のところで手が届いていないGI制覇。そういった意味では今回の仕上がりが気になります。

 追い切り本数は2月12日から時計を出し始めて、都合6本。休み明けとしてはごく標準です。水曜日、日曜日のリズムを崩すことなく追い切れているという点では順調。その中で2週前追い切り、1週前追い切りを併せ先着という動きの良さも目立っています。時計的にも1週前が自己ベストを更新する4F49.6秒をマーク。次走に向けて、本数的な上積みはまだあると思いますが、動かすという意味での調教は完璧。

 最終追い切りは坂路で川田将雅騎手が跨って、4F49.8秒をマーク。この数字は4日の一番時計になりましたが、ここまで時計を出すつもりがなかったものの、スピードが出たと安田隆行調教師。ここはトライアルだからといって負けてもよい状態ではないと思います。

ダノンスマッシュ

前哨戦ではあるが勝負できる状態にあるダノンスマッシュ(3月3日撮影)


【チューリップ賞/レシステンシア】

 阪神JFは圧倒的な強さで勝利。次は当然、桜花賞でのGI勝ちを狙っていると思いますが、そのひと叩きとなるここでどんな仕上げを見せてくるのか。帰厩が少し遅めだと思っていましたが、その分だけ、追い切り開始も遅め。結果的に中12週のローテーションに対して、都合5本の坂路追い切りということになりそうです。

 本数的には少なくなりましたが、動き自体は相変わらず素晴らしいと思います。1週前追い切りは後半重点でしたが、2F24.3秒からの1F11.8秒。手前を替える時の力強さには、パワーに裏付けされたスピードを感じますし、やっぱりGIホースといった感じ。最終追い切りも坂路で4F52.0秒。後半は2F23.8秒、1F11.8秒ですから、このラップ踏みで逃げてしまえば、今度も楽勝というイメージです。

レシステンシア

“GIホース”といった動きをみせるレシステンシア(3月3日撮影)


【チューリップ賞/クラヴァシュドール】

 デビュー勝ちの後は重賞を連戦しましたが、複勝圏は確保。この世代での能力上位を示す結果だと思いますが、収得賞金的にはできれば、ここで上積みしておきたいという部分はあるでしょう。そのあたりは1ヶ月前の段階から坂路で時計を出し始めたという部分にも表れていると思います。

 結果的に1週前追い切りはCWで併せ馬に先着。これは前走時と同じになります。2週前追い切りも先着なら完全一致でしたが、ここが同入なあたり、やはりここはトライアルの位置付けという部分もありそう。今回の最終追い切りはCW。デビュー戦と同じ形ですが、今回は単走。時計的には遅めですが、このあたりは意図するものがあったような気がします。この仕上げでどんな結果になるか興味深いところです。

【チューリップ賞/ウーマンズハート】

 新潟2歳Sを勝った後はローテーションに余裕を持たせて、予定通りの間隔をあけた出走となった前走。乗り込み量も十分でしたし、2週前、1週前とCWで行った併せ馬でも素晴らしい動きで先着。決して調教内容で劣ったわけではないと思うだけに、2歳夏以来のレースといった実戦勘も影響したであろうというのが個人的な印象です。

 今回は他の有力馬と同じローテーション。追い切り内容に関しては、この馬らしく、しっかり本数を乗っています。1週前追い切りは時計こそ遅くなりましたが、CWで2頭の間を割ってくる負荷をかけた併せ馬で先着。ここはトライアルとしての結果で十分な賞金ではありますが、前走から巻き返したいという意図を感じる併せにも思えました。

 最終追い切りは藤岡康太騎手が跨って、坂路での併せ馬。前半かなり遅いラップになったこともあって、4F57.0秒。終いは11.8秒でしたが、この全体時計をどう判断するかでしょう。

ウーマンズハート

巻き返しへの強い意志を感じる追い切りをみせたウーマンズハート(3月3日撮影)


【弥生賞/パンサラッサ】

 前走若駒Sが逃げて4着。レーススタイルを確立させて、着実に安定感を増してきました。そもそも中山芝2000mはホープフルSで逃げた実績もありますし、ここで注目される存在になることは全く不思議ではありません。個人的にも栗東所属馬ならこれが最上位評価すべきだと考えています。

 ただ、今回は中5週というローテーションの中で最終追い切りを含めて3本の坂路。本数が少ないという点が気になります。ただ、1本ずつの動きとしては、2週前追い切り、1週前追い切りと4F目が12秒台をマーク。終いがしっかりした動きという意味では評価できますし、最終追い切りは坂路で4F52.0秒。自己ベストは4F51.9秒ですが、当時マークしたラップと今回は全く違っていて、今回は4F目最速。しかも最後は12.1秒ですから、このラップ踏みで逃げた時の渋太さはかなりいいイメージになります。

パンサラッサ

逃げ粘りを予感させる追い切りをみせたパンサラッサ(3月3日撮影)


◆次走要注意

・3/1 4歳上2勝クラス【ロードリバーサル】(2人10着)

 中1週は実績がありますが、右回りは実績なし。つまり左回りで巻き返すというのが、今回のレース内容を見て明らか。坂下からのスタートも中京ではうまく先行できているので、やはり左回り自体が合っていると考えるべき。

[メモ登録用コメント] [左回りダート]最終追い切りラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・3歳未勝利【デゼル】

 来週の阪神芝1800mでデビュー予定ですが、ここまで入念に乗り込まれていることもあって、既走馬のような安定した走り。仕掛けてからの反応も良く、4F49.3秒。これだけ動けば十分でしょう。

デゼル

既出走馬のような走りをみせるデゼル(写真左)


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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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