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約20年ぶりに日本から競馬がなくなる日

  • 2020年03月07日(土) 12時00分

開催を続けられているだけマシですが…


 3月9日(月)、日本から“競馬”がなくなります。

 これ、フェイクニュースじゃないですよ。すでにご存知の方も多いと思いますが、この日に競馬を開催する地方競馬場は1つもありません。もちろん平日ですからJRAの開催もなし。つまり、日本で1つも競馬のレースが行われない、極めて珍しい日になるのです。

 このことについて、NAR・地方競馬全国協会は、先月10日、ホームページに次のようなお知らせを掲載しました。

「2020年3月9日(月)は地方競馬共通システムの切替作業を行うため、全ての地方競馬施設(競馬場・場外発売所)で発売・払戻業務を休止させていただきます」

 たとえて言えば、某大手銀行がシステム切り替えを行うために全国の本支店とATMを休業するようなもの。あなたがどれほど“競馬好き”でも、3月9日は馬券を買えません。J-PLACE施設で購入したJRAの勝馬投票券の払戻業務も休止されますので、どうぞご注意を。

 1年365日(今年は366日)、毎日どこかで行われている地方競馬が全く開催されない日、というのは、2014年3月15日以来のこと。でもその日は土曜日だったので、中央競馬は中山、阪神、中京の開催がありました。

 それじゃあ、中央・地方あわせて、1つもレースが行われなかった日はいつ以来か?NARにもご協力いただいて調べてみました。

 答えは2000年6月17日(土)。香淳皇后(昭和天皇の皇后)が亡くなられた翌日、でした。この日は、JRAの東京、阪神、函館競馬と地方の北見(ばんえい)、盛岡、宇都宮、福山、荒尾競馬の開催が予定されていましたが、すべて服喪のため中止になっています。

 でもこれは急きょ中止が決まったもの。この日は競馬がないとあらかじめ決まっていたケースは、残念ながら調べきれませんでした(どうしても知りたくなった方は、ご自身で調べてみてください)。

 ちなみに、海外でほぼ毎日競馬を開催している国の中では、クリスマスには競馬を開催しない、というところが多いようです。今年の日程で言うと、オーストラリアは12月25日、アメリカは同24日と25日、イギリスは同22〜25日に休催となります。

 一方、フランスでは12月25日にも競馬が行われています。今年のスケジュールはまだわかりませんが、去年はパリのヴァンサンヌと南部のポーで開催されていました。

 そのフランス競馬も、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一部が無観客開催となっています。競馬が中止になったマカオ(再開済み)や韓国に比べたら、今はまだ、日本もフランスも(そして香港も)、開催を続けられているだけマシと言えるでしょう。

 毎日どこかで競馬が行われているのが当たり前の日本で、コロナウイルスのために1つもレースが行われなくなってしまう日が来ないよう、ひたすら祈っています。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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