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【弥生賞】偉大な名馬を父に持つ新味ある若駒

  • 2020年03月07日(土) 12時00分

春の高まりとともにクラシックへと動き出していく


 無観客レースという異常事態の中でも、かぐわしい季節、芳春は確実に近づいている。やがて、草木がいっせいに芽ぶき、百花が乱れる芳しいときがやってくるのだ。そこで季節を彩る花々となるべく、次々と名のりをあげる前哨戦がたけなわ。春の高まりとともに全てが動き出していく。

 これまでの3歳牡馬世代の戦いを振り返ると、ホープフルSの覇者コントレイルと、朝日杯FSの覇者サリオスが誰の目にも抜けている。中でも、昨年、ホープフルSを勝ったサートゥルナーリアが皐月賞馬になったことで、コントレイルの評価が高まり、初めてホープフルSの勝者が最優秀2歳牡馬に輝いたという事実は大きい。今後のレースの使い方、その結果次第では、2歳馬の戦い方にはっきり方向性が出てきそうだ。

 年が明けてからの各前哨戦は、いずれもこの2頭を追いかける立場のものの戦いで、ぶっつけで皐月賞に向かう2強にどの馬が肉薄できるか。今のところ、新馬、京成杯と若さあふれる圧巻の末脚で2連勝しているクリスタルブラックの破天荒ぶりが、本番を彩る一頭になりそうだ。

 こうした流れを受け、3月のトライアルシリーズに入ったが、今年から弥生賞ディープインパクト記念になった弥生賞では、その偉大な名馬を父に持つサトノフラッグが、新たに存在をアピールしている。東京、中山の二千米を強烈な末脚で連勝中で、その走破タイムも水準を超えている。新味ある若駒だ。

 他では暮のホープフルS組の3頭から選ぶのが妥当のようだ。そこで3着のワーケアは、スタートで他馬と接触してバランスを崩し、いったん下げて外から追いかける形になったのが痛かった。改めて、ここでどう戦えるかみてみたい。

 5着のオーソリティもスタートで不利があった。それでも落ちついて走れていたので、今度、どう変わってくるかの楽しみはある。

 それぞれの父がハーツクライにオルフェーヴル、頷けるところはある。だが、伏兵を捜すならもうひとひねりがあっていい。日陰にひっそり咲く花、魅力がある。

 ホープフルSでは9着と大きく着順を下げたブラックホールだが、元々は札幌2歳Sを勝った馬。410キロ台なのに、父ゴールドシップらしい我の強さが出てきたと言うから、いい方向に進化する期待がかかる。ホープフルSでは勝利を意識したように展開を追いかけすぎていたように見えた。今度は、終いを生かすことに徹すると若い石川騎手は無の境地にあるようなので、徒花にはならないことを祈っている。皐月賞まであと少ししかない。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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