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【弥生賞ディープインパクト記念】春への期待を膨らませた快勝ぶり

  • 2020年03月09日(月) 18時00分

クラシックローテーションの変遷とその如何


 コントレイル(ホープフルS1着)、サリオス(朝日杯FS1着)、クリスタルブラック(京成杯1着)、ダーリントンホール(共同通信杯)などが皐月賞直行を予定し、ヴェルトライゼンデ(ホープフルS2着)が3月22日のスプリングS出走を予定しているのが、今春の3歳牡馬のトップグループ。

 そこに弥生賞を快勝したサトノフラッグ(父ディープインパクト)が、急上昇を示して候補のランキング上位に加わってきた。ゴール前の身体の伸ばし方など、同じ武豊騎手が乗っていたのでそう見えるのか、ディープインパクトを思わせる姿勢だった。1月に一戦、3月に一戦(弥生賞)して皐月賞に出走する春の日程は、父と同じになった。

 近年はさまざまな形のクラシックに挑戦のローテーションが成立し、どの形が王道とか、理想はない。あくまで成長に合わせてである。ただ、最近10年の皐月賞で3着以内に快走した30頭の直前レースでもっとも多いのは、「中5週(近年)」の弥生賞出走馬8頭であること。また、日本ダービー制覇こそが最大目標は多くの候補に共通だが、最近10年の日本ダービー馬のうち8頭が皐月賞出走馬であり、残る2頭はもっときつい日程だった点に着目したい。

 また、2冠を制した15年ドゥラメンテの皐月賞前の1戦は「2月の共同通信杯」。11年オルフェーヴルのそれは「3月のスプリングS」。06年メイショウサムソンも「3月のスプリングS」、05年ディープインパクトは「3月の弥生賞」、03年ネオユニヴァースが「3月のスプリングS」だったことも重要なポイント。

 もう少し前の97年サニーブライアンも「3月の若葉S」、94年ナリタブライアンは「3月のスプリングS」、ミホノブルボンは「3月のスプリングS」、トウカイテイオーは「3月の若葉S」、84年シンボリルドルフは「3月の弥生賞」。83年ミスターシービーも「3月の弥生賞」だった。

 仕上げの手法が大きく進歩し始め、できるだけ消耗をともなう余分なレースに出走しなくなったのは、2冠馬を例にした1980年代からのこと。でも、衆目一致の世代のエースは、少なくとも春2-3月に最低でも一戦し、まず皐月賞でそれなりの結果を出し、そこで日本ダービーに向かうくらいでないと春の2冠を制するようなチャンピオンにはなれなかった歴史が続いてきた。丈夫で、タフでなければ、クラシック馬として次の世代に繋がらない理由も重なっている。

 あえて、昨年のサートゥルナーリアと同じように、2歳戦以来の日程で皐月賞→日本ダービーを狙うコントレイルがさらに進展する時代を示すのか。逆に、ほとんど同じようにワーケア(父ハーツクライ)、オーソリティ(父オルフェーヴル)などを封じたサトノフラッグが、3月の弥生賞をステップにさらに駆け上がることができるのか。さまざまな日程を選択する陣営が増えて、一段と春のクラシックへの興味が高まってきた。サリオスは、まだ未定とされるが日本ダービーには向かわない可能性がある。

重賞レース回顧

「相手が強すぎました」とルメール騎手に言わしめたサトノフラッグ(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 サトノフラッグの牝系は、もう一世紀も南米アルゼンチン(最近のサラ生産頭数は日本より少し多い)で発展するファミリー。母はアルゼンチンオークス(ダート2000m)など5勝。祖母La Baladaラバラダの産駒には中距離型が多く、3代母La Baracaラバラカもタフに6勝している。同じアルゼンチン牝系のサトノダイヤモンド(父ディープインパクト)とファミリーは異なるものの、距離延長はサトノフラッグもまず不安はない。

 スタート直後から武豊騎手が早く外に回ろうとしていたのは重馬場を心配したためだが、今回程度の渋馬場はとくに気にしていなかった。ワーケアの主戦ルメール騎手は、勝ち目がなくなったゴール寸前、妙にサトノフラッグを観察していた気がする。「相手が強すぎました」とコメントしたが、本音かどうかは分からない。

 そのワーケアは、少し大事に乗っていた印象を残した。9分程度の仕上がりでキチンと出走権確保に成功したから、完敗というわけではない。重心の低いパワフルなタイプで、こういう馬場は本当は得意だろう。重馬場でサトノフラッグに負けたが、本番も渋馬場なら逆に差は縮まる気もする。さらに、サトノフラッグは武豊騎手がつづけて乗るのだろうか。そこのところも現時点では分からない。

 人気馬が上位を占め、オーソリティが差し返すように3着。オーソリティは渋馬場向きのフットワークではなかったうえ、早め早めにスパートする形になり、ライバル2頭の目標になってしまったのは不利。ただ、勢い良く伸びかかって見せ場を作った4着ブラックホール(父ゴールドシップ)に交わされなかったのは、底力の差だろう。

 素晴らしい気配が目立ったブラックホールは、坂のあるコースだとスパートのタイミングが難しい。最後まで伸びてはいるのだが…。結局、総合力に勝る人気の3頭が出走権を確保したトライアルだった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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