時計があらためて馬の持っているスピード能力を示した
やっぱりトライアルって面白い、そう思わせてくれた先週の重賞。レシステンシアが本番に向けて、どうやって巻き返してくるのか。ダノンスマッシュが悲願のGI獲りへ一歩近づいたのか。サトノフラッグが皐月賞でどんなパフォーマンスを見せるのか。本番が楽しみになるレースばかりでした。
今週は平地競走の重賞が4つ、これに加えて、阪神スプリングジャンプもあります。中山グランドジャンプに向けて、本番さながらのメンバーが集まった一戦。ここも注目度の高いレースになりそうですね。
【中山牝馬S/エスポワール】
前走ターコイズSでは2着を確保。GIの秋華賞でも3番人気に支持されたように、その素質の高さはファンが認めるところ。それだけにここで人気を集めるのも当然といってよいかもしれません。
久しぶりになるだけに、その仕上がり状態が気になるところですが、この中間は基本的に坂路での追い切りが中心。トラック追い切りは2週前にCWを単走で行っただけ。秋華賞の時が積極的にCW追い切りを併用するも結果が出なかった、そんな過去も含んでの今回の調整かも知れません。
1週前追い切りは坂路で併せ同入、4F時計は53.8秒と地味でしたが、ここ2走もこんな感じ。でも最終追い切りは4F52.2秒。これは自己ベストを更新する時計ですから、かなり動いたと思います。
自己ベストを更新する時計を出したエスポワール(3月10日撮影)
【ファルコンS/ラウダシオン】
マイルはGIということもあって8着に敗れていますが、1400m以下の距離ではすべて3着以内という安定した成績。左回りの芝1400mは前走で圧勝しており、たとえ57キロを背負っても人気するのは自然だと思います。
距離が短いところで実績のある馬ですが、追い切りはCWが中心。今回もそれは変わっておらず、2週前、1週前とCWでしっかり6Fから時計を出してきました。併せ馬では先着を連発していた前走ですが、今回も1週前追い切りは先着。2週前は同入ですが手応え的には先着といってもよい内容。最終追い切りはCWでの3頭併せ。最後方から追いかけましたが、6F83.7秒、4F51.6秒、1F11.6秒という時計は優秀。最後までしっかり走れていましたし、馬の状態に関しては申し分ありません。
状態に関しては申し分のない動きを見せたラウダシオン(写真中央)
【ファルコンS/ビアンフェ】
朝日杯FSでは果敢に逃げるも最後は止まって7着。サリオスの早目のプレッシャーに押しつぶされた感じで、個人的にはマイルでも展開次第ではと思っています。ただ、今回は1400mの距離。当然押し切って不思議ない条件だと思います。
ただし、気になるのは調教量。2月20日から坂路で時計を出し始めて、最終追い切りを含めて都合4本。これは京王杯2歳Sと同じです。ただ、当時は時計の出る軽い馬場。量よりも質が重視だったと解析すれば、1週前に4F51.3秒、最終追いで2F24.1秒という2週でパートに分けて速い時計をマークしたことで十分な仕上がりだったかも知れません。
しかし、今回は馬場が悪化した中京。1週前追い切りの4F51.6秒、2F23.8秒は本当に素晴らしい質ですが、量が少なくて57キロという斤量をどうやって克服するかという課題がありそう。最終追い切りは重たい馬場状態だったとはいえ、坂路で4F55.6秒。この動きを見ても、時計を要する馬場状態だと不安があります。
【フィリーズR/ヤマカツマーメイド】
阪神JFでは掲示板確保の5着。そのレースで1着から3着までに入った馬が先週のチューリップ賞を走って、きっちり3着までを確保。単純に実績評価すれば、ここでは抜けた存在になってもよいはず。ただ、今回は舞台が阪神芝1400mですから、これに関しての適性という部分も問われるかも知れません。
仕上がり状態に関しては、ここまで入念な併用調教。2週前、1週前とCWで併せ馬を行っていますが、1週前はメイショウショウブに先着。そして最終追い切りもCWでメイショウショウブと併せましたが、その全体時計が6F78.0秒。とんでもなく速くなりましたが、見た目には迫力満点で、トライアル感は一切ありません。もちろん評価したいところなのですが、ゴールを過ぎたところでは全く余力なしといった感じ。あれを見ると、これで走り切ってしまった印象があり、それをどう評価するか悩んでいるところです。
迫力満点の動きを見せたヤマカツマーメイド(写真中央)
【金鯱賞/サートゥルナーリア】
過去に連対を外したのは東京競馬場だけ。東京だけなのか、左回りなのか、それがハッキリすると思われる今回ですが、調教的にも好走時と凡走時に違いがあります。それが最終追い切り場所。連対を外した2戦はいずれも最終追い切りがCWでした。それが今回は坂路ですから、好走時のパターンに合致します。
1回目のハローが終了した時間帯にC.ルメール騎手が騎乗。ちなみに坂路での最終追い切りにジョッキーが騎乗したのは今回が初めて。そんなこともあってなのか、全体時計は4F49.8秒と自己ベストを大きく更新する数字になりました。後半は前の進路が狭く、行き場を探しながらの走りでこの数字。後半がバテるような数字でもなかったし、この時計はあらためてこの馬のスピード能力を示すことになったと思います。これで結果が出ないようなら、本当に左回りだと思いますが、果たして。
好走時のパターンに合致する追い切りであったサートゥルナーリア(3月10日撮影)
◆次走要注意
・3/7 3歳未勝利【ドスハーツ】(1人1着)
ようやく勝ち上がってくれましたが、そのレース内容の強かったこと。上がりの脚は抜けて速かったですし、長い直線や左回りも良かったのかも知れません。まだまだ強くなる余地があるだけに、最終追い切りをCWでしっかりと行えるようなら、もっと上まで行きます。
[メモ登録用コメント] [ダート]最終追い切りCWなら勝ち負け
◆今週の追い切り特報
・金鯱賞【ブレスジャーニー】
先週の追い切りも動きましたが、最終追い切りはそれ以上。6F81.3〜5F65.7〜4F50.5〜3F36.5〜1F12.2秒は上がり3Fがとんでもなく速い時計になりました。右回りでこの動きですから、左回りの本番はこれ以上が期待できると思います。
本番では追い切りの動き以上に期待できそうなブレスジャーニー
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