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イングリス・オーストラリアン・イースター1歳セールが予定通り開催

  • 2020年03月18日(水) 12時00分

ディープインパクト産駒が4頭上場


 4月1日に北米フロリダ州のガルフストリームパークで行われる予定だった「ファシグティプトン・ガルフストリーム2歳セール」や、4月7日にケンタッキー州のキーンランドで行われる予定だった「キーンランド・エイプリル2歳セール」が、いずれも開催中止となった一方で、予定通りの開催が発表されたのが、4月7日と8日に豪州のシドニーで行われる「イングリス・オーストラリアン・イースター1歳セール」だ。

 オーストラリアでは3月14日にスコット・モリソン首相が、豪州への入国者は14日間にわたって、自宅やホテルで自主的な隔離を行うことを求めるという声明を発表。これを受け、豪州議会は15日に、500人以上が集まる集会は、必須の場合を除いて、中止するべしとの勧告を出している。

 イングリス社は、イースターセール開催はこの「必須の場合」に該当すると判断。ただし、購買者については招待制とし、入場人員を出来うる限り制限した上で、予定通り開催することを決めたものだ。 

 今年のイースターセールのカタログ記載馬は514頭。3月15日の段階で20頭のスクラッチが出ているから、現段階での上場予定馬は494頭となっている。

 中でも最大の関心は、4頭のディープインパクト産駒である。これらはいずれも、2017年の秋に南半球の繁殖シーズンにあわせてディープインパクトを交配され、受胎した牝馬が出産した産駒だ。このうち3頭は、受胎した牝馬が17年12月に豪州に運ばれ、18年の8月から9月にかけて豪州で出産した子供で、残る1頭は、日本に残った牝馬が18年8月に日本で出産し、生まれた産駒が19年6月に豪州に渡ったものだ。

 上場番号48番の母ルアーズ(その父フライングスパー)の牝馬は、母の全姉にG1クールモアクラシック(芝1500m)を含めて2重賞を制したアルヴァータ、母の半姉にG3・2勝馬エアロバティックスがいる牝系の出身だ。

 4頭のディープインパクト産駒の中で、唯一の日本産馬となるのが、上場番号178番の母セイクリッドサイト(その父ファストネットロック)の牝馬だ。祖母ギヴミーファイヴは独国産馬で、祖国で走りG3フランクフルト牝馬賞(芝2150m)など2重賞を制覇。その産駒に、ロイヤルアスコットのG1ゴールドC(芝19F210y)を制し、英国で最優秀長距離牡馬のタイトルを獲得したカラービジョンがいる。

 上場番号300番の母ズムールーダ(その父エンコスタデラーゴ)の牡馬は、母が産んだ3頭目のディープインパクト産駒だ。このうち、現在3歳のザフィーア(牡3、父ディープインパクト)は、2月29日にメイダンのメイドン(芝1800m)を制して初勝利を挙げている。祖母マージャーナがG3SAJCブリーダーズS(芝1200m)で、近親にG1レイルウェイS(芝1600m)勝ち馬ギャザリングがいる牝系を背景に持っている。

 上場番号319番の母アマーニ(その父ピヴォタル)の牡馬は、母が南アフリカのG1セクウィニS(芝1600m)の勝ち馬。牝系は仏国のニアルコス家が育んできたファミリーで、従兄弟にG1仏二千ギニー(芝1600m)やG1BCマイル(芝8F)を制したカラコンティがいて、3代母は超一流の競走馬にして名繁殖牝馬でもあったミエスクである。

 昨年7月に他界したディープインパクトは、産駒の希少価値が益々高まっており、1月に開催されたゴールドコースト・イヤリングセールでも、父ディープインパクト・母オネスティプリヴェイルスの牡馬が、セール最高値の190万豪ドルで購買されたばかりだ。

 イングリスに上場される4頭のディープ産駒が、マーケットでどんな評価を受けるか、おおいに楽しみである。この他セールには、3頭のロードカナロア産駒、8頭のモーリス産駒らが上場を予定している。

 世界経済がコロナショックに見舞われている中での開催となるイースターセールが、どんなマーケットになるかに注目したい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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