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【スプリングS・阪神大賞典・若葉S】今週は3日間開催!有力馬たちの追い切り評価は?

  • 2020年03月18日(水) 18時00分

トライアルの仕上げには見えないヴェルトライゼンデ


 今週は金曜日、土曜日、日曜日の3日間開催。これによって、変則調整が強いられたのは金曜の出走予定馬。全休明けの火曜日に追い切って、レースまでの間隔を通常通りに保つのか、通常通りの水曜日に追い切って、レースまでの間隔が詰まることを妥協するのか。金曜出走予定馬の最終追い切りには注目です。

 そして、今週も3歳クラシックのトライアルレースが行われますが、ここで取り上げていない中ではフラワーCのクリスティ。金曜日の中山競馬場で行われるレースということで、木曜日に栗東から輸送する関係もあり、火曜日に坂路で追い切りました。この動きが絶品。また1頭、キズナ産駒の重賞ウイナーが増えるかも知れません。

【若葉S/アドマイヤビルゴ】

 それこそ、POG取材時に友道康夫調教師に聞いた印象では「小さい」というイメージしかありませんでした。それに最初に栗東へ入厩した時も同じ。でも、デビューへ向けて追い切りを始めるとバネのあるフットワークが印象的で、普段の馬体よりも大きく見せて走っていました。

 それが新馬戦の結果だと思いますが、今回はそれよりも数倍、動きに力強さが出てきました。普段の歩く姿にも躍動感は出ています。ただし、馬体自体がさほど大きくなったわけではありません。最終追い切りは坂路で単走。時計は4F55.8秒、1F12.6秒と特別速いわけではありませんが、走路中間あたりのカーブを曲がったところでしっかり左手前を出した動きが印象的。安定して走れているからこそ、あのタイミングで手前を替えたと思いますし、キャリアの浅さ以上に上積みに期待したくなります。

アドマイヤビルゴ

しっかり左手前を出した動きが印象的なアドマイヤビルゴ(3月10日撮影)


【スプリングS/ヴェルトライゼンデ】

 ホープフルS2着以来のレースとなりますが、2週前追い切り、1週前追い切りはCWで併せ馬を消化。いずれもアイスバブルを追走する内容でしたが、2回とも先着を果たしています。2週前と1週前の併せ馬に先着するという内容はホープフルSの時と同じ。中山へ遠征するレースに対して、しっかり負荷をかけることができているという意味では仕上がり万全とみてよいでしょう。

 最終追い切りは坂路。前走時の最終追いと同じ場所になりますが、4F目12.0秒で最速ラップは前走と全く同じ。違うのは4F時計で、今回は52.6秒ですから自己ベストを更新しています。これだけ動ける状態が整っていれば、トライアルだからという仕上げではないでしょう。

ヴェルトライゼンデ

仕上がり万全とみてよいヴェルトライゼンデ(3月3日撮影)


【スプリングS/ファルコニア】

 新馬戦が単勝1.3倍の支持を受けたように、前走で1勝クラスを勝ち上がったのが遅いくらいの素質馬。出遅れても後方から差し切りを決めたあたりにポテンシャルの高さを感じます。レース後はプール調整からスタートして、その後に坂路で時計を出す内容。1週前追い切りはCWでトーセンカンビーナと併せて同入でした。

 1週前にCWで併せ馬というのは連勝した時と同じパターン。中山遠征があっても、ここまでしっかりできるところに順調さは感じます。最終追い切りは坂路で4F54.1秒。全体時計は前走時よりも速くなっていますし、2F24.6秒は前走とほぼ同じ。4F目最速ラップではなかったという違いはありますが、遠征があっても最終追いもしっかりやってきました。

【阪神大賞典/キセキ】

 調教欄を見ると、驚くくらいの坂路追い切りが掲載されていると思いますが、これは有馬記念の時も同じパターン。そして、2週前追い切り、1週前追い切りにCWで単走というのも同じです。調教内容としては前走とほぼ同じですが、動き自体は今回の方が力強さを感じるというのが個人的な印象です。

 最終追い切りもCWで単走。1週前追い切りで速い時計を出した時に比べると、今回は6Fから5Fが非常にゆったり。そこからスムーズに加速していき、ゴール前では先週になかった弾むようなフットワークが見られました。時計が6F86.8〜5F67.7〜4F52.2〜3F38.3〜1F11.9秒と全体時計が先週より遅くなった分、ゴール前で伸びたのは当然ではあるのですが、それよりも体の使い方が良くなってきたという印象を受けました。これを使うと迫力が出てくるんだと思いますが、トライアルのここならこの状態で十分でしょう。

キセキ

動き自体は今回の方が力強さを感じるキセキ


【阪神大賞典/ユーキャンスマイル】

 当初は金鯱賞出走を予定していましたが、これは「左回りが魅力だった」と友道康夫調教師。距離に関しては「3000mの方が合っている」ということで、ここにスライドすることになったようです。ただ、調教欄を見ていただいてもお分かりのように、2月20日にCWで時計を出した後はプール調整を挟み、3月8日の15-15程度のDPでの追い切りという流れになります。

 その分、3月12日のDPと3月15日のCWで速い6F時計を出しています。そして最終追い切りもCW。3頭併せの真ん中、岩田康誠騎手が跨るという状況でしたが、ワグネリアンには少し遅れる形でフィニッシュしました。時計は6F83.4〜5F67.5〜4F52.6〜3F38.1〜1F11.5秒と悪くない数字ですが、やっぱり本調子にはもう一歩という印象も拭えません。

ユーキャンスマイル

ユーキャンスマイルは本調子にはもう一歩という印象(写真中)


◆次走要注意

・3/15 東風S【カツジ】(5人6着)

 4コーナーでは外々を回る展開で先頭に立ちそうなシーン。さすがに最後の直線では脚色一杯でしたが、無理をしなかったようにも見えます。同じ位置にいたジャンダルムがあそこまで下がったのに対して、この6着はかなり価値があります。

[メモ登録用コメント] [芝マイル]1週前追い切り併せ先着なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・若葉S【アメリカンシード】
 アドマイヤビルゴの坂路での追い切りを見て、本命があっさり決まりましたが、18日のCWでの最後の追い切りだったアメリカンシードの動きを見ると、そういうわけにもいかないかなという感じ。シャドウハンターを追いかける内容でしたが、交わすまでに時間を要することもなく、抜け出してからも伸びていました。時計は6F84.6〜5F66.9〜4F51.7〜3F37.3〜1F11.5秒ですから、この走りが実戦でもできれば。

アメリカンシード

この走りが実戦でもできれば期待できるアメリカンシード(写真内)


【予想】井内利彰の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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