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新型コロナウイルスが各方面へ与える影響

  • 2020年03月18日(水) 18時00分

地方競馬の売上げにはさほど影響せず


 今月に入ってから、町内のスーパーやドラッグストアの外に、毎朝長蛇の列ができている。開店と同時に店内になだれ込み、マスクを入手するための人々の行列なのだそうである。

 「開店とほぼ同時にあっという間になくなるんです」とはスーパーに勤務する知人の弁だ。入荷量が僅少なのと、行列に並ぶ人数が多いために、またたく間に売り切れる。すると開店直後に訪れた客でも、すでに売り切れているため、入手できなくなる。

 そこでつい「いったいどうなってんだ?」「お前らが、裏で横流しするから俺たちが買えなくなっているんじゃないか?」とキレて、スタッフに食ってかかるようなご仁も現れる。たかがマスク、されどマスクである。私自身もかれこれ1ヶ月は店頭に並ぶマスクを見ていない。

 そのうちにまた入荷量が増えてくればいずれ自然とまた店に出てくるのではないか、とのんびり構えていたが、どうやらそんな甘っちょろい話ではなくなってきている。このところの欧米各国での新型コロナウイルスの爆発的感染拡大を見ていると、マスク需要はおそらく今後も伸び続けるだろうから、品薄状態は当分続きそうだ。

 それにしても、厄介なウイルスが蔓延したものである。次々に発表される海外への渡航制限と、逆に日本からの渡航者に検査と隔離を義務づける国々も増え続けており、事実上人の流れがストップしつつある。そんな中、先日、浦河の某育成牧場で働くインド人数名が、一時帰国するべく千歳空港まで行ったにもかかわらず、予定通り出国できずにまた戻ってきた、などという噂を耳にした。逆にインドから日本にやって来る予定だった人が、現地で足止めされている例もたぶんあるだろう。

 人の流れが止まると、こういうアクシデントも起きてしまう。騎乗者の多くを外国人に頼っている日高の育成牧場にとっても、新型コロナウイルスによる影響は、こんな形で現れ始めている。

生産地便り

各地の育成牧場で新型コロナウイルスによる影響が出ている


 今、生産地では、「今年のセリ日程は大丈夫なのか?」ということと、「景気悪化により、馬が売れなくなってくるのではないか?」と不安を口にする人が多い。

 さしあたり、日高軽種馬農協主催のセリは、5月12日の「北海道トレーニングセール」からスタートする予定だが、会場は札幌競馬場を借りての開催になる。札幌競馬場は言うまでもなく日本中央競馬会所有の施設であり、その中央競馬が依然として無観客開催を続けている現状に鑑みれば、多くの人々が一堂に会するセリの開催は、現時点では決して歓迎できることではなかろう。

 とはいえ、それはまだ少し先の話なので、知り合いの育成業者は「とにかく、私たちは日々の調教メニューを粛々とこなすだけですよ。何とかそれまでにコロナウイルス騒動が鎮静化してくれることを願うのみですね」と語る。

生産地便り

とにかく一日でも早い平常化が望まれる


 無観客であっても、とりあえず競馬は中央地方ともに開催し続けており、ネット限定ながら、馬券発売も続けられている。さすがに中央競馬は、前年対比で多少落ち込んでいるものの、こと地方競馬に関しては、ほぼ無観客の影響を受けていないようにも見える。

 例えば、高知競馬。去る3月10日に行なわれた交流重賞「第22回黒船賞」(JpnIII)の当日の売り上げは、無観客ながら高知競馬の従来の記録(昨年の黒船賞当日)を更新するものだったという。その額、何と10億8952万9400円。いくら交流重賞の行なわれた日であったとはいえ、無観客での売り上げレコードとは恐れ入る。

 もともと高知はネット発売依存率が極めて高く、その分、本場売り上げ分の割合が少ない。もしネット発売などのなかった昭和の時代に、今のような新型コロナウイルス騒動が発生していたら、おそらく競馬場はどこもかしこも立ち直れないほどの大打撃であったろう。かつて本場入場者による馬券購買が主流であった時代に、無観客は、イコール馬券売り上げがほぼないことを意味するからだ。

 詳細な分析は、近々出てくるであろう2月分、3月分の売り上げ集計を見なければならないが、数字の上では、こと地方競馬に関しては最もコロナウイルスの影響が少なくて済んでいるものと思われる。

 ただし、そうそういつまでも無観客状態での開催が続けられるとも思えない。場内で営業する飲食店や、専門紙関係など、来場者がいなければ成り立たない業種の人々も少なくないので、とにかく一日でも早い平常化が望まれる。

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岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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