【スプリングS】春のクラシックに必要なタフネスさを問う
母方のドイツ名門牝系の成長力にも期待
春の牡馬クラシック「皐月賞→日本ダービー」に挑戦する日程は、時代とともに多様化してきた。調教技術の格段の進歩に伴い、「ビッグレースを制するには、決して活力を消耗しない」手法が以前より増えた。
過去20年の皐月賞馬の直前レースは、
▽スプリングS…7頭 ▽弥生賞………5頭
▽共同通信杯……4頭 ▽若葉S(L)…2頭
▽ホープフルS…1頭 ▽毎日杯………1頭
2月の共同通信杯から直行組が増えたのが大きな変化。ただし、さまざまな日程があるようにみえて実際にはかなり限られている。皐月賞を3歳初戦(2歳戦以来)に選んで勝ったのは、2019年のサートゥルナーリアだけ。
多くの陣営が最大目標にする日本ダービーとの関連だと、3歳になって皐月賞を1戦しただけで春2戦目にダービーを勝ったのも、2017年レイデオロ1頭だけ。
皐月賞直前のレース別での、日本ダービーに出走の皐月賞馬17頭は、
▽スプリングS組【3-1-0-3】 ▽弥生賞組【1-1-1-0】不出2頭
▽共同通信杯組…【1-1-1-1】 ▽若葉S組【0-0-0-1】不出1頭
▽ホープフルS組【0-0-0-1】 ▽毎日杯組【0-0-0-1】
頂点の日本ダービーも快走した馬は、ずっと主流とされてきた「スプリングS、弥生賞」組に集中し、「共同通信杯→皐月賞」の日程で2冠馬となったのは、まだ2015年のドゥラメンテ(その後3戦で引退)1頭。
最近20年間に新登場した、あえて間隔をあける「ホープフルS組、共同通信杯組」は、まだ挑戦例が計5頭なので何ともいえないが、最大目標の日本ダービーを勝つような馬(まして2冠馬)は、「3月の弥生賞(スプリングS)→4月の皐月賞→5月の日本ダービー」のローテーションを組めるくらいの体力がなければ、難しいのかもしれない。
進展はつづくので、2歳戦以来のコントレイル、サリオス。共同通信杯組のダーリントンホール、ビターエンダーなどのいる今年は、第二のレイデオロ、ドゥラメンテが出現してもまったく不思議はないのだが…。
メンバーは揃わなかった印象はあるが、タフな体力も必要という観点では、ここが3歳になって1〜2戦目になるスプリングS出走組は、理想に近い日程に相当する。中でも、候補のトップに近いコントレイルにGIホープフルSで0秒2差(1馬身半)2着のヴェルトライゼンデは強気になれる。なんとか再鍛錬中のコントレイルに追いつきたい。
有馬記念、宝塚記念、朝日杯FSなど重賞7勝(うちGI3勝を含む5勝が池添騎手)の父ドリームジャーニーは、全弟オルフェーヴルと互角以上にタフであり、本物になったのは5歳時だが、朝日杯FSを勝ったあとの3歳春は「弥生賞→皐月賞→日本ダービー」のローテーションだった。
1歳上のワールドプレミアは昨秋の菊花賞馬。8歳上のワールドエース(今回対戦するシルバーエースの父)は、皐月賞2着馬。母方はドイツの名門牝系。これからまだまだ成長するだろう。穴馬にそのシルバーエースを買いたい。