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【大阪杯】レース運びだけじゃない! ファインプレー満載の勝利への導き

  • 2020年04月09日(木) 18時00分
哲三の眼

3つ目のGIタイトルを手にしたラッキーライラック(C)netkeiba.com


大阪杯は2番人気ラッキーライラックが勝利! クビ差の2着にクロノジェネシスが入り、1998年(当時GII・1着エアグルーヴ、2着メジロドーベル)以来の牝馬のワンツーフィニッシュとなりました。以前よりラッキーライラックの走り方が変わった印象を受けていたという哲三氏は、馬自身の成長もさることながら、走るフォームを“変えてあげた”鞍上のM.デムーロ騎手と厩舎陣営のファインプレーも大きかったと分析。自身の経験を交えつつ解説します。

(構成=赤見千尋)

「こういうレースがしたい!」がよく見えた一戦


 大阪杯は12頭立てと少頭数でしたが、全馬がスタートをきっちり決めていました。ビシッと横並びで切ってくれると、見ていて気持ちいいですよね。それぞれのジョッキーに、「スタート決めないと勝負出来ない」という強い意識があったと感じますし、とても面白いレースでした。

 その中で、勝ったラッキーライラックとミルコ(デムーロ騎手)はさすがの競馬を見せてくれましたね。前走の中山記念は休み明けということもあったと思うし、道中内ラチ沿いが取れずに最後はちょっと甘くなって、ダノンキングリーの2着でした。

 前走から競馬の内容がガラリ一変したという風に見えなくても、実は内容はだいぶ変わっていて。今の阪神2000mを勝つには、こういうレースしかないという決意の表れというか、ミルコが「こういうレースをしたいんだ」という意図がよく見えたレースでした。

 今回、5枠5番に入って内ラチ沿いを取るとしたら、好スタートを決めていいポジションを取るか、スタートを若干遅らせて中団・後方から内に回り込むか、という選択肢だったと思います。

 現在の阪神の芝コースは基本的に先行有利で、よっぽどの乱ペースにならない限りは、ある程度前に行っている馬の方が強い印象ですから、スタートを決めていいポジションを取り、内ラチを取り切るというのがベストの選択肢ではないかと。そこをしっかりと取り切れたことが、まずはファインプレーだったと思います。

 さらに、ポジションを取ったあとの馬の御し方も、すごく良かったんじゃないかと。引っ張り過ぎず、上手くスピードを落としていました。この部分は、ミルコが上手いというのはもちろんのこと、厩舎陣営のファインプレーも大きいと思いますね。馬の走り方が、頭が低くなり過ぎない状態で、スピードを落としやすく出しやすい、調節しやすい走りに見えました。

 (クリストフ)スミヨン騎手が昨年の秋に、エリザベス女王杯と香港ヴァーズに騎乗しましたが、その頃の調教から走り方が変わった印象で。現在はそこからさらに修正しつつ、いい状態に持っていけたのではと思いました。

 リスグラシューに(ジョアン)モレイラ騎手が騎乗した時(2018年のエリザベス女王杯と香港ヴァーズ)もそうなんですが、

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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