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【桜花賞】松山弘平騎手、絶好調の要因は…?

  • 2020年04月16日(木) 18時00分
哲三の眼

重馬場をものともしなかったデアリングタクト(提供:デイリースポーツ)


降りしきる雨の中、重馬場で行われた今年の桜花賞は2番人気デアリングタクトが優勝! デビューから無傷の3連勝で桜の女王に輝きました。鞍上の松山弘平騎手は前日に行われた阪神牝馬Sも制しており、土日で重賞連勝と絶好調。好調の要因は様々ですが、哲三氏は最近の松山騎手の騎乗ぶりに「ポジショニングのよさ」を感じているようで…。今回は実は奥の深い! レースでの“いいポジショニング”について解説します。

(構成=赤見千尋)

 今回は本題の前に私からのお詫びです。

 4月2日配信分のこのコラムで、和田(竜二)君の騎乗について触れたのですが、事実と異なる動作をもとに解説をしてしまいました。ジョッキーの技術を紹介する立場で、あってはならないことだと思っております。ここに改めてお詫び申し上げます。

 これからより一層気を引きしめて担当させていただきますので、どうかこれからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

佐藤哲三(競馬解説者)


運さえも回ってくるような騎乗が出来ている


 今年好調の松山(弘平)君は、今週も桜花賞&阪神牝馬Sを勝つという、素晴らしい活躍でしたね! 好調の要因はいろいろあると思いますし、当然桜花賞でもファインプレーが随所に見られましたが、騎手のファインプレーを見せ過ぎないところが、僕はすごくいいなと感じています。

 クリストフ(ルメール騎手)や(武)豊さんの特徴の一つに、「騎手がこうしよう、ああしようとしているのをあまり見せない」ということが言えると思うんですが、最近の松山君もある程度馬に任せている、馬に任せるということは、騎手の作戦や戦術、やりたいことが、しっかりと馬に伝えられているからだと思うんです。

哲三の眼

「やりたいことが、しっかりと馬に伝えられている」(C)netkeiba.com


 桜花賞では馬場が悪い中、最初のスピード調節のところで折り合いを付けたいという時に、前に馬を置いて壁を作って、引っ張り過ぎず、騎手の重心を後ろに下げて引っ張ることを極力なくしながら、スピードダウンしていました。

 スピードダウンする時に、引っ張り過ぎるのではなく、上手く周りの馬を使って落とせているし、逆にスピードを上げたい場面になると、2馬身くらい前を開けているので助走がつけやすい。

 いつも僕が言っている、「クリストフのポジショニングがいい」というのは、馬がスピードを落としやすく、スピードを乗せやすい距離を保てている、それがいいポジショニングだと僕は思っています。

 何番手につけて、前に何頭いるとか、そういうのがいいポジショニングだと思っている人も多いかもしれませんが、それだけではなくて、たとえ何番手だろうが、スピードを上げたい時に馬の助走となる距離が開いていて、スピードに乗せやすい、というところが絶好のポジションだと思います。

 最近の松山君の騎乗は

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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