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高知復活を支えた福永洋一記念! 高知のジョッキーたちが見た希望の光

  • 2020年05月03日(日) 18時01分
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▲福永祐一騎手と父・福永洋一元騎手、2014年の第5回福永洋一記念時 (C)netkeiba.com


高知が一番に潰れる―― あるジョッキーはデビューした頃、周囲からそう言われたと振り返ります。2000年代初頭、地方競馬が次々と廃止になる中、四国でたった一つの競馬場は瀕死の状態から「通年ナイター(通称:夜さ恋ナイター)」を武器に、奇跡の復活を遂げました。

その復活の歴史と共に歩んできたのが重賞・福永洋一記念。福永祐一騎手のお父様で、高知出身の天才ジョッキーの名を冠したレースについて、高知のジョッキーたちはみな「特別なレースで、勝ちたい重賞」と憧れのまなざしを向けます。

福永洋一元騎手のレースを小学生の頃から見ていた騎手
競馬場の廃止を経験した騎手
落馬で大怪我を負い、福永洋一元騎手に勇気をもらった騎手
厩務員と調教師でダブル制覇した人

と、それぞれの立場で重ね合わせる思いがあるようです。高知競馬に希望の明かりを灯してきた福永洋一記念。5月4日のレースを前に思いを語っていただきました。

(取材・文=大恵陽子)


序章 創設のきっかけは長男・福永祐一騎手のひと言


 2009年7月、高知競馬場存続への命運を担ってスタートした通年ナイター「夜さ恋(よさこい)ナイター」。前年秋には売り上げの最低記録をマークしてしまっていた。

「いつラストレースをするか」という話まで出ていたが、そんな状況でも諦めないジョッキーがいた。

 高知のトップジョッキー・赤岡修次騎手。彼は親交のあった武豊騎手に無理を承知で「ユタカさん、高知を盛り上げるイベントをやりたいんですが、中央のジョッキーを呼んでいただけませんか?」と相談した。

 その思いに武騎手は「僕にできることなら何でも協力するよ」と快諾。そうして武騎手がJRAのジョッキーたちと高知競馬場でイベントに出演した。

 当日、やって来たジョッキーのうちの1人、福永祐一騎手がトークショーで「父の出身地でもある高知で、福永洋一記念を創設できれば」と提案。赤岡騎手も主催者に「それはやらないかんわ」と猛プッシュして2010年、重賞・福永洋一記念が創設された。

 その後、毎年4月下旬〜5月上旬に開催され、昨年には記念すべき第10回目を迎えた。その表彰式では福永祐一騎手へ高知競馬から感謝状だけでなく、「福永洋一さんが元気に高知競馬場まで来てくださるには、この方のお力が欠かせませんでした」(橋口浩二アナウンサー)と、支えてこられた裕美子夫人にも「福永洋一ファン一同」として感謝状が贈られ、あたたかい拍手と涙に包まれた。

高知の関係者に聞く「福永洋一記念をひと言で表すと?」


【赤岡修次騎手】「すごい!」――珍しくプレッシャーを感じたレース

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▲福永洋一記念創設の立役者、赤岡修次騎手 (撮影:大恵陽子)


 福永洋一記念創設のきっかけにもなった赤岡騎手は、第1回をフサイチバルドルで勝利した。

「自分きっかけでできた重賞の第1回目でしたし、1番人気。普段はほとんどプレッシャーはないですけど、あの時は『獲りたいな』と思っていました」

 前年、35.7%という断トツの数字で勝率全国トップに立った赤岡騎手でさえ、特別な思いを抱くレースだった。それは、幼少期から「天才・福永洋一」の話を周囲から聞いて育ったからかもしれない。

「僕は父や親戚も高知競馬の関係者。福永洋一さんも子供の頃、高知競馬場で過ごされて、祖父母も知り合いだったみたいです。

 そんなわけで、菊花賞をはじめ洋一さんのレースをたくさんビデオテープに残していて、小学生の頃、よく見せてくれました。福永(祐一)くんより僕の方が洋一さんのレースを見ていたんじゃないかな? ってくらいに(笑)」

 他にも高知競馬の関係者には福永洋一元騎手と繋がりの深い人たちがいる。

「デビューした時に所属していた工藤英嗣調教師(引退)が洋一さんと幼馴染で、よく遊んでいたと聞いたことがあります。洋一さんから『見に来て』と招待してもらって、JRAの競馬場へレースを見に行ったこともあるそうです」

 少年時代を共に過ごした仲間が多いからだろうか、初めて福永洋一記念が行われた日の高知競馬場は普段と様子が違ったと振り返る。

「洋一さんを知っている世代の人とか、学校が一緒だったっていう人も来ていたみたいです。『洋一〜!』と呼ぶ声も聞こえました。僕も潮江(うしおえ)中学校の後輩にあたります」

 赤岡騎手にとっても縁のある福永家。2015年の第6回には福永祐一騎手も地元馬バーチャルトラックに騎乗し、一緒にレースをした。

「その1回だけ騎乗してくれました。『福永くんが勝てたらいいな』って話はしていましたけど、サクラシャイニーが強い時で」と、優勝は赤岡騎手騎乗のサクラシャイニー。レース後には「おめでとう。強いね」と声を掛けられたという。

 最後に、「赤岡騎手にとって福永洋一記念をひと言で表すと?」と聞くとこう返ってきた。

「すごいな! です。今でもJRAで『あの人を超える天才はまだ出てきていない』と言われるくらいの方なので、光栄なレースです。高知出身で、ありがたいです。よそではできないレース名ですよね」

 赤岡騎手の熱い思いがたくさんの人と高知競馬をつなげ、福永洋一記念は今年で11回目を迎える。今年はサクラレグナムとともに、同レース3勝目を狙う。


【佐原秀泰騎手】「感謝」――廃止した福山コンビで制覇「ダービーよりも別格」

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▲2017年第8回をカイロスで制覇した佐原秀泰騎手(中) (撮影:大恵陽子)


 高知デビューの女傑・ディアマルコとのコンビで名を馳せた佐原秀泰騎手。彼は高知競馬でデビューした頃、苦い思い出がある。

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