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【京都新聞杯・プリンシパルS】同日に行われるダービーへの最終切符を賭けた一戦

  • 2020年05月08日(金) 18時00分

注目は本番に繋がりやすい京都新聞杯


 5月31日の日本ダービーへの最終ステップ「プリンシパルS」と「京都新聞杯」が同日に行われる。プリンシパルS組(現在は1着馬に優先出走権)は狭き門という理由はあるものの、過去20年間に範囲を広げても、本番で2002年マチカネアカツキ、2009年アントニオバローズ、2018年コズミックフォースの3頭が3着しているだけ。

 一方、京都新聞杯(GII)組は、2着の賞金加算でも本番出走に必要な獲得賞金額に達するケースがあり、少し間口は広い。本番で3着内に快走した馬が7頭いて、2000年アグネスフライト、2013年キズナ、2019年ロジャーバローズの3頭は頂点の日本ダービー馬となっている。注目はGIIのこちらだろう。

 人気のアドマイヤビルゴ(父ディープインパクト)は、昨年の京都新聞杯3着で出走権を逃した560キロの大型馬サトノソロモン(現4歳2勝馬)の全弟。こちらは逆に430キロ前後の小型馬だが、セレクトセールで兄の倍以上の5億8000万の評価を受けた。

 追って鋭く伸びる勝負強さが最大の持ち味で、前走の若葉S2000m時計は破格の1分58秒6(自身の上がり33秒6)だった。若葉Sはクラシック路線のポイントになるレースとして距離2000mではここまで30回行われたが(中山→阪神)、今春の阪神は高速の芝だったとはいえ、初の1分58秒台のレースレコードだった。走り出すと430キロよりずっと大きく見える。

 騎手の土日の移動制限で藤岡康太騎手に替わるが、ワグネリアンの神戸新聞杯など、彼はこういうチャンスに強い。2着までに入れば賞金額から本番の出走は大丈夫であり、勝たなければ…のプレッシャーはない。代打ではあるが、サバイバルのクラシック路線はなにがあるか分からない。本番も乗れる可能性はある。

 ファルコニア(父ディープインパクト)、マンオブスピリット(父ルーラーシップ)など注目の素質馬はいるが、伏兵は元気いっぱいの動きを見せる1勝馬ディープボンド。父キズナは、同じ6戦目にこの京都新聞杯を勝ち、勢いに乗って7戦目に日本ダービーを制している。オーナーは父と同じ。皐月賞はインでもまれて失速したが、タフなタイプとあって今週の動きは光っていた。父キズナも中山の弥生賞を負けたあと、地元に帰って立て直しに成功している。

「プリンシパルS」に挑戦のポタジェ(父ディープインパクト)は、今回、日本ダービー5勝の武豊騎手が乗る。もちろん今週は日曜NHKマイルCのサトノインプレッサに騎乗するのがメインだが、サトノインプレッサのダービー出走も状況しだいでは完全に可能性ゼロとはいえず、もちろん京都新聞杯のアドマイヤビルゴもいる。だが、日本ダービーの5月は、金子オーナー(日本ダービー4勝)の季節であり、ここでルージュバック(3戦目にきさらぎ賞圧勝)の弟のポタジェが大変身して加わる可能性だってある。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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