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ディープインパクトの孫世代の素晴らしい活躍ぶり

  • 2020年05月11日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・5/10 NHKマイルC(GI・東京・芝1600m)
 2番手を追走したラウダシオンが残り200mでレシステンシアを交わし、重賞初制覇をGIで飾りました。過去5年間の1000m通過タイムは平均58秒1なので、今年の「58秒0」は速くもなく遅くもなく。前に行った馬が比較的止まりづらい馬場だったのでその恩恵もありましたが、例年の勝ち馬と同等の力は示したと思います。

 勝ち馬の父リアルインパクトは現3歳世代が初年度産駒となる新種牡馬。同期のキズナとエピファネイアの華々しい活躍に比べると見劣りは否めなかったのですが、種付け料が80万円と安く、そのため交配している繁殖牝馬の質はさほど高くありません。それを考えると大健闘といっていいでしょう。

 リアルインパクト産駒は東京芝1400-1600mで抜群の強さを発揮しており、ここまで35走して[5-6-2-22]。連対率31.4%です。同産駒は1400m>1600mの傾向が見られるのですが、東京コースに限るとそんなことはなく、1400mの連対率は30.8%、1600mは31.8%です。前週に東京芝1600mの1勝クラスを勝ったピーエムピンコの勝ちタイムはNHKマイルCよりも速い1分32秒1でした。高速馬場の東京芝1400-1600mでは今後もリアルインパクト産駒に要注意です。

・5/9 京都新聞杯(GII・京都・芝2200m)
 中団を追走したディープボンドが直線で外から伸び、マンオブスピリットとの追い比べをクビ差制しました。断然人気のアドマイヤビルゴは直線先頭に立ったものの残り200mで失速。ハイペースのタフな競馬で意外な弱みを見せました。

 勝ったディープボンドはキズナ産駒。今年の3歳世代が初年度産駒で、本馬は6頭目の重賞勝ち馬となります(北海道2歳優駿 JpnIIIを勝ったキメラヴェリテを含む)。その父ディープインパクトの初年度産駒は同時期に重賞勝ち馬が3頭でした。それを考えればいかに素晴らしい内容であるかがお分かりいただけると思います。

 新冠の村田牧場が誇るモガミヒメのファミリーで、母ゼフィランサスはローレルゲレイロ(スプリンターズS、高松宮記念)の4分の3同血。タフな流れにもへこたれなかった今回の競馬を見ても、2400mはまったく問題ないでしょう。

今週の血統注目馬は?


・5/16 パールS(3勝クラス・新潟・芝1800m)
 新潟芝1800mに良績のある種牡馬はノヴェリスト。2010年以降、当コースで産駒が20走以上した55頭の種牡馬のなかで連対率30.0%は第2位。当レースにはアビームが登録しています。2年近く芝1400-1600mを走り続けていますが、過去一度だけ走った芝1800m戦は2着。母の父はスタミナ型のダンスインザダークなので血統的には問題はありません。

今週の血統Tips


 日本のGIレースのなかで最も1着賞金が高いのは有馬記念とジャパンCの3億円。2位は日本ダービーの2億円。3位は春秋の天皇賞と宝塚記念の1億5000万円。すべて芝2000m以上のレースです。

 一方、距離別のGIレースの数は、芝1600mが7レース、芝2000mが5レース、芝2400mが3レース。

 要するに、2000m以下はレース数こそ多いものの賞金面では冷遇されている、という構図が見えます。

 先週行われたNHKマイルCと今週行われるヴィクトリアマイルは、1着賞金が1億500万円。GIレースのなかでは下から数えたほうが早く、2歳GIとダートGIを除けば、秋華賞に次ぐ安さです。前記の高額賞金GIに比べると、出走メンバーの質、馬券の売り上げとも見劣りは否めないので、そうした扱いも致し方ないのかなとも思います。

 今週のヴィクトリアマイルには女傑アーモンドアイが出走します。このほか重賞3連勝中のサウンドキアラ、オークス馬ラヴズオンリーユー、阪神JFの勝ち馬ダノンファンタジーなどなど……。出走メンバーの質に関しては今年は文句なし。この路線の評価が上がるような名勝負を期待したいものです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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