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【日本ダービー】コントレイル誕生秘話(3) 矢作師が明かす“ホースマン前田幸治”の素顔 /「コントレイルを通して抱いている夢」

  • 2020年05月30日(土) 19時03分
ノンフィクションファイル

▲(左から)福永騎手、矢作調教師、前田オーナー、3人の絆でダービーへと挑む (撮影:下野雄規)


今週末のダービーで、二冠に挑むコントレイル。生産したノースヒルズを率いる前田幸治氏は、日本競馬界屈指のオーナーブリーダー。それだけに、“豪快でちょっと怖い”イメージを持っている方も多いのではないでしょうか。しかし「本当に“気遣い”の人です」と、同馬を管理する矢作調教師は言います。

矢作厩舎がノースヒルズの馬を預かるようになってから、重賞を勝つまでに10年以上の年月を要しました。待望の初重賞、そして初GIをもたらしたのがコントレイルでした。

その間、馬が走らないことに対しては何も言わず、「おい矢作、いつかGIを獲ろうな」と言い続けた前田オーナー。矢作調教師と前田オーナーの夢を乗せて、ダービーの舞台へと立つコントレイル。レース直前、矢作師が心境を語ります。

(取材・文=不破由妃子)

※このインタビューは電話取材で行いました。

→矢作師が明かす“ホースマン前田幸治”の素顔 /(第1回)「出会いからして強烈でした」
→矢作師が明かす“ホースマン前田幸治”の素顔 /(第2回)「コントレイルの母との出会い」


福永騎手への指示はたったひとつ…「馬を信じて乗ってくれ」


──クラシック初戦となった皐月賞は、1番人気にして1枠1番。難しいレースが予想されましたが、福永騎手とはどんなイメージを共有されていたんですか?

矢作 当然、もっと前に行くイメージでしたね。で、直線は内が悪いことがわかっていたので、直線だけは外に出そうなと。ただ、それは祐一自身が馬場を歩いて感じたことに同意しただけで、自分からの指示は「馬を信じて乗ってくれ」ということだけ。それだけでしたね。

──最初のコーナーで狭くなり、後方に下げざるを得ない展開に。コース形態を考えると不安になる位置取りでしたが、先生もヒヤヒヤしたのでは?

矢作 それがね、中山の関係者席は1コーナーのところにあるので、すごくレースが見にくいんですよ。加えて、直線が向かい風なのか、実況の声が全然流れてこなかった。僕は基本的に双眼鏡を使わないので、ヴィジョンを見ているだけではわからなくて。

──そうなんですね。見えていたら、さぞかし肝を冷やしたはずです。

矢作 でしょうね。3〜4コーナーで外から白い帽子が上がってきていることだけはわかったんです。「たぶんあれがウチの馬だろう、そうであってほしい!」と思っていたんですけど、(同じ白い帽子の)レクセランスも青い勝負服だから、4コーナーを回ってくるまで確信が持てなくて。

「ウチの馬だよな、そうだよな」と思いながら見ていて、確信できたのは直線に向いて少し経ってからでしたね。ただ、すごい手応えだったので、その瞬間に「勝った! 楽勝!」と思いました。でも、さすがにサリオスも強くて、楽勝はさせてもらえませんでしたけど。

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