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再開後初の英G1「コロネーションC」展望

  • 2020年06月03日(水) 12時00分

主要厩舎のエース級が集結でいきなり要注目の一戦


 中央政府の最終的なゴーサインが出て、無観客ながらも、6月1日から競馬発祥の地・英国の競馬が再開した。

 5日までは1日・2競馬場に、6日以降も3競馬場に開催を限定し、1レースのフルゲートを12頭に絞った上で、様々な衛生条件を設けての開催になっているが、これを機に、休刊していた紙版のレーシングポストも復活。国民的スポーツの再開を英国の人々はおおいに喜んでいる。

 そして、再開後最初のG1となるのが、5日(金曜日)にニューマーケット競馬場で行われる4歳以上のG1コロネーションC(芝12F)だ。

 通常ならば、オークスデイのエプソムを舞台に開催されるレースだが、今年は、当初予定通りの日程で、開催競馬場をニューマーケットに移しての施行となる。これに伴い、例年ならば12F6yの距離が、今年は12Fぴったりで行われる。

 主要厩舎のこの路線におけるエース級がエントリーしており、いきなり迫力ある重量戦が展開されそうだ。

 ブックメーカー各社が2.375倍〜2.5倍のオッズを掲げて1番人気に推すのが、ゴドルフィンのガイヤース(牡5、父ドゥバウィ)だ。

 4歳秋に本格化し、独国のG1バーデン大賞(芝2400m)を14馬身差で制した際に、ワールドランキング5位タイとなるレーティング126を獲得した同馬。苦手の道悪となったG1凱旋門賞(芝2400m)で10着に大敗して4歳シーズンを終了し、ドバイで越冬。今季初戦となった、2月20日にメイダンで行われたG3ドバイミレニアムS(芝2000m)を8.1/2馬身差で快勝し、健在ぶりを示している。その後、目標としていたG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)が開催中止となり、ここに矛先を向けて来た。

 続いて4.0〜4.33倍のオッズで2番人気に推されているのが、このレースのディフェンディング・チャンピオンとなるロジャー・ヴァリアン厩舎のデフォー(セン6、父ダラカニ)だ。

 昨年のこのレースを制した後、ロイヤルアスコットのG2ハードウィックS(芝11F211y)も連勝。しかし、G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)で9着に敗れると、今年のドバイ開催に備える目的で早々に5歳シーズンを終了。宣言通り、3月7日にメイダンで行われたG2ドバイシティオヴゴールド(芝2410m)で戦線に復帰して2着となったが、ガイヤース同様に目標としていたG1ドバイシーマクラシックが開催中止となり、ここに向かってきた。

 デフォーと差のないオッズ(4.33〜4.5倍)で3番手評価となっているのが、ジョン・ゴスデンが管理する長距離界の帝王ストラディヴァリウス(牡6、父シーザスターズ)だ。ロイヤルアスコットのG1ゴールドC(芝19F210y)、グッドウッドのG1グッドウッドC(芝16F)、ヨークのG2ヨークシャーC(芝13F188y)、同じくヨークのG2ロンズデイルC(芝16F56y)をいずれも18年・19年と連覇している馬で、昨年10月にアスコットのG2ブリティッシュチャンピオンズ・ロングディスタンスC(芝15F127y)で鼻差負けして連勝が10で止まった時には、この馬の敗戦が「一大事」として報じられたほどの名馬である。この距離を走るのは3歳春以来となるが、果たしてどんな競馬を見せてくれるか非常に興味深い。

 4〜5番人気には、エイダン・オブライエン厩舎の管理馬が並んでいる。5.5〜8.5倍のオッズで4番手評価なのが、アンソニーヴァンダイク(牡4、父ガリレオ)だ。ゴール前で5頭が横に並ぶ大接戦となった昨年のG1英ダービー(芝12F6y)勝ち馬で、すなわち、この距離に実績のある馬である。その後はシーズン末まで5戦し、未勝利に終わってしまったが、G1愛チャンピオンS(芝10F)3着、G1BCターフ(芝12F)3着など、悪くないパフォーマンスは見せていた。良馬場が好走の条件になる馬で、馬場状態によっては出走回避もありうる1頭である。

 オッズ11〜13倍の5番手評価が、共同所有者に松島正昭氏が名を連ねるブルーム(牡4、父オーストラリア)だ。3歳春にG3バリーサックスS(芝10F)、G3愛ダービートライアルS(芝10F)を連勝後、2番人気に推されたG1英ダービーがアンソニーヴァンダイクに3/4馬身及ばぬ4着だった。続くG1愛ダービー(芝12F)で6着に敗れた後に戦列を離れ、ここは11か月ぶりの実戦となる。今季の欧州12F路線の指針を示してくれる一戦になりそうで、見逃せない戦いであることは間違いなさそうである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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