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経験を積み成長、そしてキャラクターが変化

  • 2020年06月15日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・6/14 エプソムC(GIII・東京・芝1800m)
 2番手を追走したダイワキャグニーが残り200mで先頭に立ち、後続の追撃をしりぞけて6歳にして重賞初制覇を成し遂げました。過去7戦4勝と得意にしている東京芝1800m。しかし、今回は不良馬場。かつては道悪下手として知られ、実際、重馬場で行われた2年前のエプソムCでは16頭立ての14着と大敗していました。経験を積むにしたがって心身ともに成長し、昨年秋、重馬場で行われたジャパンCで6着と逃げ粘ったとき、すでにキャラクターが変わっていたのでしょう。

 父キングカメハメハにとってこれがJRAにおける芝平地重賞100勝目。平成以降ではサンデーサイレンスの300勝、ディープインパクトの225勝に次ぐ第3位で、ステイゴールド(91勝)、ブライアンズタイム(62勝)などを抑えています。「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」の組み合わせはドゥラメンテ、ローズキングダム、トゥザグローリーと同じ。秋は今回と同じ舞台の毎日王冠が楽しみです。

・6/14 マーメイドS(GIII・阪神・芝2000m)
 2番手を追走したサマーセントが残り200mで先頭に立ち、センテリュオ以下の追撃を抑えました。牝馬限定の多頭数のハンデ重賞で、馬場は渋り気味。荒れないほうがおかしいという条件ですが、今年も7番人気が勝って1番人気が5着に沈みました。

 勝ったサマーセントは前走、3勝クラスで3着と敗れていたので、50kgの軽ハンデが大きな味方となったのはいうまでもありません。そして、稍重のコンディションも追い風となりました。

 ハービンジャーの父ダンシリは、イギリスでは堅い馬場を得意とする血として認識されていますが、日本の高速馬場では少々話が異なり、パンパンの良馬場よりも稍重あたりが向いています。これまで日本の芝重賞を26勝していますが、馬場状態別の連対率を比較すると、良馬場の13%に対し、稍重は22%と倍近い実績を残しています。重、不良はそれぞれ8%、0%です。最適な馬場コンディションと軽ハンデがもたらした勝利といえます。

今週の血統注目馬は?


・6/21 奥尻特別(1勝クラス・函館・芝2000m)
 オルフェーヴル産駒は函館芝2000mで連対率35.3%と優秀な成績を残しています。[1-5-3-8]なので複勝率は52.9%に達します。当レースに登録のあるオルフェーヴル産駒はトランシルヴァニア。昨年夏の新馬戦を勝ったものの、その後は3連敗。ただ、前々走は出遅れ、前走は不良馬場と敗因があります。良〜稍重ならばおもしろいでしょう。

今週の血統Tips


 6月13日、アイルランドのカラ競馬場で行われた愛1000ギニー(芝8ハロン)は、ガリレオ産駒の2番人気ピースフルが快勝しました。大外から飛んできたディープインパクト産駒ファンシーブルーが2馬身差の2着。勝ち馬の父ガリレオは、現時点で英愛リーディングサイアーの座に11回就いている大種牡馬ですが、今回のピースフルが通算85頭目のG1勝ち馬となり、これまで首位だったデインヒルを抜いて新記録を樹立しました。今年22歳と高齢ですが、まだ現役種牡馬にとどまっているので、いずれ100頭の大台に乗せるかもしれません。2着ファンシーブルーは3戦目で初黒星。しかし、ディープインパクト産駒らしい鋭い決め手を発揮し、高い資質を証明しました。同産駒初となるアイルランドのクラシック制覇は成りませんでしたが、この先、大レースを勝つチャンスは何度もめぐってくるはずなので楽しみです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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