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いよいよ来週末に迫った「G1英オークス」展望

  • 2020年06月24日(水) 12時00分

ディープ産駒ファンシーブルーの参戦に期待


 例年よりも4週間遅れて、7月4日(土曜日)にエプソム競馬場で同日開催されるG1英オークス(芝12F6y)とG1英ダービー(芝12F6y)の展望を、今週と来週に分けてお届けしたい。

 今週はまず、牝馬による第242回オークスの見どころをご紹介する。

 出走馬は大きく分けて、6月7日にニューマーケットで行われたG1英千ギニー(芝8F)を戦った組、6月13日にカラで行われたG1愛千ギニー(芝8F)を戦った組、オークスプレップを使った組の3つに色分けされるが、それぞれの路線に有力馬がいて、極めて興味深い顔合わせとなっている。

 ブックメーカー各社が2.375〜2.625倍のオッズを掲げて1番人気となるのが、英千ギニーを勝っての参戦となるラヴ(牝3、父ガリレオ)だ。

 クールモアの自家生産馬で、G3ミュンスターオークス(芝12F)勝ち馬フラッテリング、G3スタネーラS(芝14F)勝ち馬ピーチツリーらの全妹にあたる同馬。2歳時は7戦し、G1モイグレアスタッドS(芝7F)、G3シルヴァーフラッシュS(芝7F)を含む3勝を挙げた他、G1フィリーズマイル(芝8F)3着などの実績を残した。

 道中中団追走から、ゴール前で鋭い末脚を繰り出して4.1/4馬身抜け出した千ギニーのレース振りは強烈で、12Fでこそ本領を発揮する血統背景を持つこともあって、最有力候補と目されている。

 英千ギニー組では、1番人気で3着に敗れたクオドリラテラル(牝3、父フランケル)が、オークス出走の可能性を残している。

 2歳時は3戦し、G1フィリーズマイル(芝8F)を含めて負け知らずの3連勝をマークした同馬。千ギニーでは掛かり気味に2番手を追走した後、勝負どころで脚がなくなり初の敗戦を喫することになった。同馬はその後、6月20日にアスコットで行われたG1コロネーションS(芝7F213y)に出走し、ここでも1番人気を裏切り3着に敗れている。

 ブックメーカーは同馬を、オッズ9〜11倍の5番手評価としているが、常識的にはここは回避と見るべきだろう。

 G1愛千ギニー(芝8F)を2馬身差で制しての参戦となるのが、1番人気のラヴと同じくエイダン・オブライエンが管理するピースフル(牝3、父ガリレオ)だ。

 同馬もクールモアの自家生産馬で、ドーヴィルのG1アスタルテ賞(芝1600m)2着馬ミスヴィンスキーの5番仔となる。

 2歳10月にサーレスのメイドン(芝8F)を制しデビュー2戦目で初勝利を挙げると、続いて出走したニューマーケットのLRモントローズフィリーズS(芝8F)で2着となって2歳シーズンを終えていた。

 同馬を、ブックメーカー各社は6〜7.5倍のオッズで3番手評価としている。

 ただし、オブライエン陣営はラヴとピースフルを使い分けることも検討しており、ピースフルがG1仏オークスに廻る可能性が浮上している。

 愛千ギニーからは、2着だった愛国産のディープインパクト産駒ファンシーブルー(牝3)も、英オークスに駒を進めて来る可能性がある。

 同馬もまた、クールモアの自家生産馬。英愛ダービーや、連覇を果たしたBCターフなど、G1を6勝したハイチャパラルの全妹で、自身はG3パークエクスプレスS(芝8F)4着などの成績を残したチェンチコーヴァが日本に渡り、ディープインパクトを受胎。帰国後に愛国で産んだのがファンシーブルーだ。

 2歳時は2戦し、LRスタファーズタウンスタッドS(芝8F)を含む無敗の2連勝をマーク。今季初戦となった愛千ギニーでは、後方から追い込んでピースフルの2着となっている。

 ブックメーカーは、ファンシーブルーをオッズ9〜13倍の6番手評価としている。

 別路線組の代表格となるのが、ブックメーカー各社が3.5〜4倍のオッズを掲げて2番人気に推すフランクリーダーリング(牝3、父フランケル)だ。

 LRチェシェアオークス(芝11F75y)勝ち馬ヒドゥンホープの8番仔で、LRギャルターズS(芝12F)勝ち馬アワオブセッションの半妹にあたる同馬。

 2歳10月にヤーマスのメイドン(芝8F3y)でデビューし2着になると、その1戦のみで2歳シーズンを終了。今季初戦となったニューキャッスルのメイドン(AW10F42y)を5馬身差で制し初勝利を挙げた。

 同馬の今季2戦目となったのが、ロイヤルアスコット初日の6月16日に行われたG2リブルスデイルS(芝11F211y)で、ここを1.3/4馬身差で快勝して重賞初制覇を果たした。

 日本の競馬ファンとしては、ファンシーブルーに肩入れしたい英オークスの模様は、7月4日の深夜24時30分からグリーンチャンネルで放送される「英国ダービー生中継」の中で、録画放映される予定だ。ぜひご注目いただきたいと思う。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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