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夏のJRA北海道シリーズに向けて

  • 2020年06月23日(火) 18時00分

ぎりぎりのところでほぼ通常に戻った


 地方競馬では徐々に場外発売所が再開され、次の段階としては競馬場でレースを見られるのがいつになるのか気になるところ。プロ野球とサッカーのJリーグでは、7月10日から段階的に観客を入れる方針が示された。競馬でも、おそらくその対応は参考にされることだろう。

 一方、厩舎関係者にとって気になっていたのは、中央・地方の交流競走の再開だろう。中央・地方間では重賞以外の交流が取り止めとなっていたが、6月29日以降、重賞以外の交流競走も再開することがすでに発表されている。たしかに中央競馬の番組を見ると、開催替わりとなる7月4日以降の番組表には“特指”の記号が確認できる。

 交流再開をもっとも待ち望んでいたのはホッカイドウ競馬の関係者に違いない。夏のJRA北海道シリーズ(函館・札幌開催)は、ホッカイドウ競馬の関係者が毎年大きな目標としているところ。その最初の目標となるのが、7月18日に行われる函館2歳Sだ。

 門別競馬場では、函館2歳Sへの出走権を懸けたレースがすでに始まっていて、6月4日のウィナーズチャレンジ1(1200m)では、直線を向いて先頭に立った牝馬のラジアントエンティが、一完歩ずつ差を詰めた1番人気のサイダイゲンカイをアタマ差で振り切った。スマートファルコン産駒のラジアントエンティが、芝でそのスピードを発揮できるかどうか注目されるところ。

 このあと、6月24日のウィナーズチャレンジ2(1000m)と、日本で一番最初に行われる2歳重賞、6月30日の栄冠賞(1200m)の勝ち馬にも、それぞれ函館2歳Sへの出走権が与えられる。

 中央では2012年から2歳新馬戦の実施時期が早まったのにともない、函館2歳Sも7月に繰り上げられた。以降、函館2歳Sに出走した地方馬は2015年のタイニーダンサー(牝・父サウスヴィグラス)、2018年のエムティアン(牝・父パドトロワ)の4着が最高という成績となっている。

 とはいえ、その後に行われる2歳オープンの特指競走にも注目だ。いずれも札幌競馬場で、コスモス賞(8月15日)、クローバー賞(8月23日)、すずらん賞(9月6日)が行われる。

 昨年はクローバー賞でホッカイドウ競馬のヨハネスボーイが2着、リヴェールブリスが3着だったが、8頭立てで中央馬はわずか2頭というメンバー構成だった。

 2018年はコスモス賞を勝ったナイママが札幌2歳Sで2着と好走。勝ったニシノデイジーにわずかにクビ差という惜しいレースだった。

 2017年のコスモス賞はレベルの高いメンバーが揃っていた。勝ったのはその後マイルチャンピオンシップなどを制する中央のステルヴィオ。これにクビ差2着のミスマンマミーアはその後南関東を経由して中央に移籍し、今年5月に3勝クラスの烏丸Sを勝ちオープン入りを果たしている。

 そのコスモス賞で3着、続いて出走したすずらん賞でも3着だったのがハッピーグリン。ご存知のとおりハッピーグリンは昨年4歳時までホッカイドウ競馬所属のまま中央への挑戦を続け、香港にも遠征した。

 2017年のクローバー賞を制したダブルシャープは、札幌2歳Sでも3着に好走。その後中央に移籍し、今年3勝クラスで2着2回と惜しい競馬を続けている。

 さらに2017年のすずらん賞を制したリュウノユキナは3歳秋に中央に移籍。今年1月にダートの3勝クラス(初春S)を勝ってオープン入りしている。こうしてみると2017年のホッカイドウ競馬の2歳世代は当たり年だった。

 2016年にはクローバー賞2着だったトラストが札幌2歳Sで勝利。実は地方所属馬の中央重賞勝ちはこのあと出ておらず、もう4年近くが経過してしまった。また地方馬による中央での勝利も、2018年札幌・STV賞のハッピーグリンが最後となっている(同日、ひとつ前のコスモス賞を勝ったのが前述のナイママ)。

 コロナウイルスの影響で、これまで当たり前だったことが今年は通常ではなくなっているが、ぎりぎりのところでほぼ通常に戻った夏のJRA北海道シリーズでの地方馬の活躍を期待したい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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