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【七夕賞】上昇中の4歳馬か福島コース巧者か

  • 2020年07月11日(土) 18時00分

堅実な走りを後押しする平坦向きの血筋


 最近10年間の七夕賞の年齢別の成績(連対率)は、

4歳馬【2-1-1-7】(27.3%)
5歳馬【5-3-2-32】(19.0%)
6歳馬【2-5-7-38】(13.5%)
7歳上【1-1-1-45】(4.2%) (3着同着1回)

 ローカル重賞らしく5歳以上馬大活躍に映るが、これは出走馬の9割以上が5歳以上馬の結果であり、連対率なら、出走わずか11頭の4歳が断然トップの.273。今年は過去10年で11頭しか出走していない4歳馬が、過去20年で最多の6頭もいる。

 ただ、なぜ4歳馬の出走が少なかったか。今年は多いのか。降級制度が関係するのは事実で、2016年に勝った4歳アルバートドック57キロ(3番人気)、2017年のゼーヴィント57キロ(1番人気)は、条件賞金が減額されてもオープン格なので出走できた実力馬。ローカルのGIIIでは底力上位だったことを示している。今年だと、マイネルサーパス(条件賞金4450万円)のようなタイプであり、近走で3勝クラスを勝って条件賞金2400万のヴァンケドミンゴ、ヒンドゥタイムズ、ブラヴァスなどのような4歳馬は、勝ち負け以前に、以前は降級で七夕賞には出走できなかったからだ、といえる。

 長い歴史の中、4歳馬が6頭以上出走例は5回。必ず4歳馬が連対してきたのは確かだが、今年の4歳馬レベルが高いということではない。ただし、2歳戦が早まるなど総じて世代交代の回転が速くなりつつある傾向はある。ハンデ戦でもある。

 決して有利な立場ではないわりにハンデ55キロはきついが、4歳ヒンドゥタイムズはここまで9戦を全国6場で走り【4-2-2-1】。敗戦はすべて0秒2以内。着外は4走前にアトミックフォース(春の新潟大賞典2着)に0秒1差だけの4着。前走の勝ち方に一気の本格化がうかがえた。

 少し時計を要する小回りコース歓迎のハービンジャー産駒は、2018年に伏兵マイネルサージュが2着して大波乱の3連単に貢献している。牝系はニシノフラワーの一族と同じファミリーのアメリカ血統で、4代母は、3冠馬セクレタリアト(父ボールドルーラー)の全姉ザブライド。平坦に近いコースでこそ能力全開の血筋といえる。穴人気買うべからずの金言は承知で、うまく外に回って上昇馬の強みが生きることに期待したい。

 1995年、福島の芝4戦4勝のフェスティブキング(父パドスール)が、この年は福島で行われた関屋記念に出走した。格上がりでさすがに苦戦と9番人気だったが、勝って福島【5-0-0-0】となっている。コース巧者ヴァンケドミンゴ(福島4戦4勝)は侮れない。

 福島【2-1-0-0】の4歳マイネルサーパスは、4歳馬の中ではもっとも凡走はなさそうなタイプ。このハンデ56.5キロも少しも不利ではない。

 古馬で怖いのは、今季2戦の凡走ですっかり人気落ちのエアウィンザー(父キングカメハメハ)。渋馬場は苦にしない。前回の鳴尾記念2000mは流れに乗れずに置かれすぎたうえ、直線は前にカベができて斜めに突っ込んで1秒1差。完敗には違いないが、ほとんどレースをしていない印象があった。中間の動きは悪くない。この馬の57キロは恵まれたハンデに近い。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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