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【再掲】騎手のコース解説 千直の馬場読みは当日の◯◯の結果を参考に!/西田雄一郎騎手

  • 2020年07月25日(土) 19時01分
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▲“千直の達人”西田雄一郎騎手が新潟直線1000mをじっくり解説します!(撮影:藤井真俊)


現役騎手がコース解説をするこのコーナー。アイビスサマーダッシュの舞台となる新潟芝直線1000mについて解説してくれるのは西田雄一郎騎手(45)だ。“千直の達人”として知られ、同舞台では現役2位(歴代4位)の通算20勝をマーク。アイビスSDでも過去2勝を挙げている。はたして“千直”攻略のポイントとは?

(取材・文=東京スポーツ・藤井真俊)

※当記事は2020年7月掲載分の再掲です

ジョッキーのクセ、ステッキを持つ手…千直の達人の着眼点


――おつかれさまです。今回は“千直”のコース解説ということで、第一人者にお話をうかがいたいと思いまして。

西田 いやいや。でもおかげさまで、このコースに関しては得意意識を持って乗らせてもらってはいますね。

――以前、西田さんにお話をうかがった時に「千直と言えどひと息では勝てないし、長い距離のレースのように駆け引きがある」とおっしゃっていたのが印象に残っています。

西田 そうですね。競馬というのは短距離でも長距離でも、出していくところや、息をいれるところがありますからね。
 
――西田さんが千直のレースに乗るうえで、どのようなポイントに気を使ってらっしゃるか教えて頂けますか? 企業秘密もあると思うので、話せる範囲で構いませんが(笑)。

西田 たくさんありますよ(笑)。まず例えば各ジョッキーのクセですかね。逃げている騎手がどういうタイプなのか。あとはどちらの手にステッキを持っているのか、とか。それである程度はペースだったり、各馬の動き方が見えてきますよね。あとは自分より前にいる騎手がラチ沿いに行きたい派なのかとか、苦しくなったら併せにいきたい派なのか、とかも見ます。これによって未来の動きが予測ができる部分もありますから。

――すごい! そんな細かい部分まで観察して、考えて乗っているんですね。

西田 もっとたくさんありますけど、企業秘密もあるんで(笑)。

――これまで千直で20勝を挙げていますが、思い出に残っているレースはありますか?

西田 プリティメイズの閃光特別(2005年)と、デアンジェリスの飛竜特別(2006年)ですね。

――それは西田さんの千直での初勝利と2勝目ですね。

西田 ええ。どうやって千直競馬で勝たせようか考えて、ビデオを見て研究して、勝つことができたレースだったんで。ちょうど自分自身、騎手として復帰した年でもありましたから、千直ってどういうレースなんだろうってすごく興味もありました。そしてその2頭で勝つことができて、千直で乗るのが楽しくなりましたね。

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▲千直初勝利となったプリティメイズとの閃光特別(撮影:高橋正和)


――千直って以前は“単調でつまらない”とか、“よくわからない”と話すジョッキーもいましたよね。

西田 はい。でも自分は色々と勉強した結果、そんなもんでもないと思っていましたよ。

――参考にしたジョッキーなどはいらっしゃいますか?

西田 当時よく勝っていた村田一誠のレースはよく見ましたね。あとは(柴田)善臣さんとか、中舘さん(現調教師)とか…。一体どう乗って、どう勝っているのかって。しかしただマネするだけでもダメだと思ったので、彼らを負かすにはどうすればいいのかも考えていました。

――そういう中で2010年、ケイティラブとのコンビでアイビスサマーダッシュを制しました。

西田 とにかくスピードが非凡で、あの馬には“千直での逃げ方”を教えてもらいましたね。スピードを生かしつつ、ただそれに任せるだけではないというか…。前年の稲妻特別でも勝たせてもらっていましたが、基本的には同期の野元(昭嘉元騎手)のお手馬だったので、自分は代打で乗るケースが多かったんです。だからそのぶん思い切り乗ることができたのも大きかったと思います。

――サクラエイコウオーのGIII七夕賞(1996年)以来、約15年ぶりの重賞制覇でしたね。

西田 騎手を辞めていた時期もあっただけに「勝ったら泣くかな」と思っていたんですが、涙は出ませんでしたね(笑)。それというのも本当にうまくいったレースだったので。考えていた通りに乗れて、そして結果が出たことが、ただただ気持ち良くてうれしかったんです。 

――アイビスSD2勝目は2017年のラインミーティアでした。

西田 これはケイティラブとはまた違った喜びでしたね。自分なりに経験を重ねて、研究もして、そのうえで勝てたレースだったので。

――ラインミーティアとは同年4月の邁進特別で初めてコンビを組み、勝利を飾りました。

西田 はい。それまでの同馬のレースを見ていて、自分は前半溜めるだけ脚を溜めて、それで最後どれだけの脚を使えるのかを見てみたいと思っていたんですよね。それで邁進特別ではギリギリまで仕掛けを遅らせてみたのですが、何と上がり3F31秒6という、とてつもない脚を使ってくれたんです。

――その後は駿風S4着、韋駄天S4着というステップを経てアイビスSDに駒を進めました。

西田 連敗はしていましたが、手応えはあったんですよ。負けた2戦は道悪や落鉄という明確な敗因があったので。そういう中でも、しまいはやはりいい脚を使えていたので、アイビスでも絶対にラインミーティアの武器である“31秒台の脚”だけは使わせてやろうと思っていました。自分のペースや、仕掛けどころだけは必ず守ろうって。

――結果はまたしても上がり3F31秒6の脚を使っての差し切りでしたね。

西田 ええ。枠順だったりスタートだったりうまくいった部分もありましたが、春よりも重い斤量を背負って、さらに勝ちタイムも更新してくれましたからね。馬自身の充実もあったんだと思います。

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▲「31秒台の脚だけは使わせてやろう…」思いが実ってガッツポーズ!(C)netkeiba.com


千直の外枠って…どこ??


――ラインミーティアは8枠15番でした。一般的に言われているように、やはり千直の外枠有利は間違いないんでしょうか?

西田 間違いないです(笑)。実際に数字も出ていますから。馬場が渋ればなおさらかな。ただ全員がそういう意識で乗って外に殺到した場合は行き場を失う場面もあるわけです。だから個人的には真ん中あたりの枠でも問題ないですけどね。乗り方の選択肢が広がりますし。

――そもそも千直の外枠ってどこを差すのでしょう?

西田 7〜8枠かな。

――では真ん中は?

西田 一般的には4〜6枠でしょうか。でも僕は3枠も真ん中だと思ってます。

――なるほど。すると残りの1〜2枠が内枠ですね。で、その定義で考えた場合、枠順ごとに乗り方のコツはあるんですか?

西田 それは馬の脚質だったり、タイプによりますよね。例えば先行馬で外枠が当たればシンプルですし、差し馬で真ん中から外の枠が当たったら、冒頭で言ったように周りの馬の出方やジョッキーを見て考えるわけです。

――内枠はどうでしょう。やはり難しいですか?

西田 う〜ん…。ケースバイケースではありますけど、自分よりさらに内に速い馬がいると競馬はしやすいですよね。その馬を壁に見立てて、息を入れることができるんです。

――なるほど…。分かったような分からないような(苦笑)。ちょっと専門的すぎて難しいです。

西田 ですよね(笑)。

――いえいえ。あとは馬場状態にも左右されるわけですよね。

西田 もちろん。新潟はオーバーシードではなく野芝オンリーですから。日によっても季節によっても変わります。あ、競馬ファンの方にもおすすめできる話がありました!

――なんでしょう? ワクワク(笑)。

西田 あくまで個人的な経験談ですけど、その日の馬場傾向を読むには、千四の結果が参考になります。
 
――新潟の内回り1400mですか?

西田 はい。ペースが速いのに前が残ったり、逆に遅いのに後ろから差してくる馬が多かったり…。そういう傾向が見えたら、僕の経験上、それは千直の馬場読みにも使えると思います。前有利の馬場なのか、あるいは差せる馬場なのかって。

――外回りの千六や二千ではなく、あくまで内回り千四なんですね。

西田 そうです。千四が参考になるんです。

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▲競馬ファンにもうれしいお話、ありがとうございます!(撮影:藤井真俊)


――ありがとうございます。あとは西田さんから見て、他に千直が上手い騎手っていますか?

西田 今は皆さんうまいですよ。昔と違ってよく研究してるし。自分にコツを聞いてくる後輩もいたりして、そういう話をするのは楽しいですよね。

――後輩といえば、藤田菜七子騎手も千直はたくさん勝っていますね。

西田 スタートが上手ですからね。それに仕掛けどころもよく心得てると思います。あとは彼女に限らず斤量が軽いのも有利です。時には1F9秒台も刻まれるレースですからね。

――なるほどそれでは最後に今年のアイビスSDへの意気込みを。モンペルデュに騎乗されるそうですね。

西田 ずっとダートで走ってきて、今回が初めての芝。未知な部分があるぶん、楽しみもあります。

――そういえば千直ってよく短距離のダートとリンクするって話も聞きますね。

西田 そうですね。バリバリのダートタイプでは厳しいと思いますが、スピードタイプのダート馬は対応する馬が多いですよね。

――モンペルデュもスピードのあるダート馬ですね。

西田 はい。そういう意味でも楽しみですよね。あとは今年は3週間小倉がお休みなので、普段あまり千直に乗らない関西の騎手とも一緒に乗ると思うんですよね。一体、彼らがどういう乗り方をするのか。難しい面もあると思いますが、同時に新しい発見もあるかもしれません。そういう意味でも今年は色々と楽しみながら乗りたいと思ってるんです。

(※文中敬称略)

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