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【函館記念】遅咲きの美しい青色の花が開くとき

  • 2020年07月18日(土) 18時00分

ノーザンテーストの血がもたらすタフさと活力


 夏のローカルのハンデ重賞らしく大半の年が波乱。過去10年、馬券に関係した計30頭のうち、1-2番人気だった馬はわずか「4頭」だけ。上位人気ではなく、6番人気以下だった伏兵が「17頭」にも達する。取捨の難しい3-5番人気馬が「9頭」。

 函館は馬場が渋る年は少なく、開催後半で全体にタイムがかかる程度だが、これがかえって難しい結果を呼ぶ。最近10年間の勝ちタイム平均は「1分59秒67」。オープン馬の重賞である。ことタイム面では、どの馬だって乗り切れる2000mといえる。

 また、今年は上昇中の4歳馬が6頭も出走するので(過去20年では最多)、当てはまらない気がするが、最近10年、ちょっと買いにくい7歳以上馬が8頭も馬券に絡んでいる。もちろん「4、12、7、4、8、8、14、5、7」番人気の伏兵だった。

 伏兵プレシャスブルー(父ディープインパクト)は、今年6歳になり、ついに29戦目で条件クラスを脱出。前走の新潟記念は初めての重賞挑戦だった。

 直線、大外から上がり最速の34秒5で伸び、0秒3差の3着。先週の七夕賞で2着した4歳ブラヴァス(4着)に先着。巧みにインから抜け出した勝ち馬トーセンスーリヤは、3走前の初富士S(右回り)では差し切った馬だった。オープンでも通用する。

 遅咲きプレシャスブルーの母の父は、もうずっと以前の名馬アンバーシャダイ(30歳で07年没)。直仔の時代は遠くなり、母の父としてもごく少数派になった。JRAには、5歳牝馬サヤカチャン(母は1996年生まれ)など数頭。公営の活躍馬では、浦和の8歳馬ノブワイルドの母の父に登場する程度に減っている。

 アンバーシャダイ(父ノーザンテースト)は6歳春の1983年、ついに天皇賞を勝った晩成型。種牡馬としてもタフで健康で、プレシャスブルーの母オンワードミシェルは、22歳時の種付けで誕生した産駒だった。あれだけ繁栄したノーザンテーストの父系は残念ながら途絶えてしまったが、遅咲きの6歳プレシャスブルー、がんばる8歳ノブワイルドに活力を与える影響力はまだ失っていない。

 プレシャスブルーの母方はここしばらくダート中心の出走だが、5代母Sweet Soleraスイートソレラ(父は輸入名種牡馬ソロナウェー)は、英オークス、1000ギニーを勝った牝馬2冠馬。ディープインパクトとの組み合わせで、プレシャスブルーは芝2000m【3-2-1-10】。芝向きの切れ味を取り戻している。

 5歳バイオスパーク(父オルフェーヴル)、レイエンダ(父キングカメハメハ)、昨年の2着馬マイネルファンロン(父ステイゴールド)中心に流したい。

 3頭出しの藤沢和雄厩舎の3頭は、レイエンダが再ブリンカー、ランフォザローゼスはブリンカーを外し、レッドサイオンは初ブリンカー。さまざまな工夫を取り入れてきた。要注意だろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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