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海外G1連覇へ!ディアドラ次走はナッソーSを予定

  • 2020年07月22日(水) 12時00分

強敵は仏オークス馬のディープ産駒


 昨年からニューマーケットを拠点としたキャンペーンを展開しているディアドラ(牝6、父ハービンジャー)の次走が、7月30日にグッドウッドで行われるG1ナッソーS(9F197y=約1991m)になるとの発表があった。

 8月15日にドイツのケルンで行われるG1オイロパ賞(芝2400m)、8月19日のヨークで行われるG1インターナショナルS(芝10F56y)、20日に同じくヨークで行われるG1ヨークシャーオークス(芝11F188y)、8月23日に仏国のドーヴィルで行われるG1ジャンロマネ賞(芝2000m)なども候補に挙がっていたようだが、馬場適性や相手関係を鑑み、ナッソーSと決まったようだ。

 そして、今季の欧州における緒戦となった7月5日のG1エクリプスS(芝9F209y)では5着に敗れたディアドラだが、その後の回復が非常に早く、2月29日のモハメド・ユスフ・ナギ・モーターズC(芝2100m)以来となった実戦を使われた効果で、馬の調子がめきめき上昇していると聞く。このあたりも、8月後半まで待つことなく、7月末のナッソーSを使うことになった背景にあるようだ。

 言うまでもなく、ナッソーSはディアドラが昨年制している一戦で、連覇を目指してここに照準を絞るというのは、極めて理にかなった選択であることは言うまでもない。

 ナッソーSの2次登録締め切りは24日(金曜日)の現地時間の正午(日本時間の午後8時)に設定されており、明確な相手関係は現段階では不明だが、様々な陣営から出されているコメントなどから判断すると、ディアドラにとって強敵の1頭は、ディープインパクトの娘になりそうだ。

 7月5日のシャンティイで行われたG1ディアヌ賞(=仏オークス、芝2100m)の直後には、次走はG1愛オークス(芝12F)と見られたのが勝ち馬ファンシーブルー(牝3、父ディープインパクト)だが、同馬を管理するドナカ・オブライエン調教師が14日になって、G1愛オークスを回避してG1ナッソーSに向かう可能性に言及したのである。

 クールモアの自家生産馬で、重賞入着馬チェンチコーヴァ(父サドラーズウェルズ)の7番仔にあたるのがファンシーブルーだ。G1・6勝の名馬ハイチャパラルの全妹という良血馬のチェンチコーヴァは、2016年1月7日に日本に到着。ディープインパクトを交配して受胎が確認されると、同年7月23日には離日しているから、同馬の日本滞在はわずか半年余りだった。帰国したチェンチコーヴァが、2017年2月2日に愛国で出産したのがファンシーブルーである。

 2歳時はエイダン・オブライエンが管理した同馬は、9月18日にネースで行われたメイドン(芝7F)を、ドナカ・オブライエンを背に快勝してデビュー勝ち。10月13日にカラで行われたスタッフォーズタウンスタッドS(芝8F)ではS.ヘファナンが騎乗し、ここも勝ったファンシーブルーは2戦2勝の成績で2歳シーズンを終えている。

 初戦で手綱をとった騎手の現役引退と調教師転身にともない、3歳を迎えたファンシーブルーはドナカ・オブライエン厩舎に転厩。初戦となったG1愛千ギニー(芝8F)で2着となった後、大接戦となったG1仏オークスを制しクラシックホースとなっている。

 6月28日にカラで行われたG1愛プリティポリーS(芝10F)で、その後G1愛オークスで2着となるカイエンペッパー(牝3、父オーストラリア)が、前年のG1愛オークス2着馬フリーティング(牝4、父ゾファニー)らに先着して2着になっており、結論を出すのはいかにも早計であるものの、今年の3歳牝馬は古馬とも充分戦える水準にあることを示している。ドナカの父エイダン・オブライエン厩舎が、分厚い戦力の中からどの馬をここに向けてくるかは、現段階でははっきりしていない。

 古馬勢では、今季初戦のG2ランウェイズスタッドS(芝8F)を4.1/2馬身差で快勝した後、G1エクリプスSではディアドラに1.1/4馬身先んじて4着となったマジックワンド(牝5、父ガリレオ)あたりが、ここで再びディアドラとぶつかる可能性があると見ていたのだが、同馬は25日にアスコットで行われるG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)に、現段階で登録を残している。23日に設定されている同競走の最終登録で、果たして同馬の名前が残るかどうかは、おおいに注目すべきだろう。そして、まさかとは思うが、仮にキングジョージを使ったとしても、中4日でナッソーSに出てくることが、この馬に限ってはありえるように思う。

 あるいは、ファンシーブルーに2馬身先着してG1愛千ギニーを制した後、G1仏オークスでは逆にファンシーブルーから短首差+頭差の3着に惜敗したピースフル(牝3、父ガリレオ)を、バリードイルがここに送り込むこともありそうだ。

 昨年のナッソーSでディアドラから1.1/4馬身差の2着となったメダーイー(牝4、父フランケル)が、4歳となった今季も現役に留まり、今季初戦となったロイヤルアスコットのG1プリンスオヴウェールズS(芝9F212y)で、勝ち馬ロードノースから5.3/4馬身差の6着となっている。同馬が今年もナッソーSに駒を進めてくる可能性もおおいにありそうだ。

 メダーイーが所属するジョン・ゴスデン厩舎には、ロイヤルアスコットのG2リブルスデイルS(芝11F211y)を制した後、G1英オークス(芝12F6y)で3着となったフランクリーダーリン(牝3、父フランケル)もいる。折り合いに問題があると言われている馬だけに、距離を短縮して、ここに照準を絞ることも考えられている。

 残念ながら日本での馬券発売はないが、ナッソーSはグリーンチャンネルで生中継される予定で、日本の競馬ファンの皆様にはぜひ、ディアドラへの熱い声援をお願いしたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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