【アイビスSD予想】積み上げられてきた名繁殖の系譜
逆転するならあの牝馬
昨年のアイビスサマーDの勝ち馬はライオンボス。その母ウーマンインレッド(父ステイゴールド)は不出走だった。輸入牝馬の祖母ミスカスウェル(父は米3冠馬シアトルスルー)も、不出走馬。3代母のマーゴット(父は英3冠馬ニジンスキー)も不出走なら、4代母になるソラリアット(父は米3冠馬セクレタリアト)も不出走だった。
4代も連続して不出走の牝系なのに、なぜ何代も続けて名種牡馬が配されてきたのか。それは6代母セックスアピール(1970、父バックパサー)、7代母ベストインショウ(1965、父トラフィックジャッジ)と連続する母娘が世界屈指の繁殖牝馬であり、評価下げなどふさわしくないファミリーだからだ、と考えられる。
現代の日本では、GI7勝のチャンピオン牝馬アーモンドアイの3代母にセックスアピール(この牝馬も不出走)の名前が登場する。
一方、一昨年の勝ち馬ダイメイプリンセスの母ダイメイダーク(父ダンスインザダーク)はわずか1勝馬。輸入牝馬の祖母スノーペトレル(父ストームバード)は未勝利。3代母ゴールドミネス(父ミスタープロスペクター)は不出走…。なんとなくライオンボスとは母方のイメージが似ている。
実際には、4代母ブッシュウィズプライド(父ブラッシンググルーム)はケンタッキーオークスなど6勝の活躍馬だが、この牝馬はセックスアピールの半妹だった。したがって5代母が名繁殖牝馬のベストインショウになる。5歳牡馬ライオンボス(父バトルプラン)と、7歳牝馬ダイメイプリンセス(父キングヘイロー)は、ともに名繁殖牝馬ベストインショウの子孫だった。
配されてきたトップ種牡馬や、ファミリー全体をみると、どうして2頭が直線1000mのレースがぴったりなのか、解明に苦心するが、2頭は苦しくなってもあきらめない。スピードを生かしてただ行くだけでなく、ファミリーの底力をベースに必死で伸びて結果を出すからだと思える。
ライオンボスと、ダイメイプリンセスは2度対戦してライオンボスが2連勝している。パワーあふれるフットワークで突き進むライオンボスは馬場が渋ってもまったく心配ないと思える。ただ、前走の韋駄天S1000mの差は0秒1だけ。控えたダイメイプリンセスは直線の中ほどから前がカベになり、追えたのは最後の150mくらいだけだった。
こういう形の新潟の直線では上がり31秒台など珍しくもなんともないが、ダイメイプリンセスは2018年のアイビスSDの上がり31秒8を上回る自己最高だった。稍重くらいならこちらも苦にしない。7歳牝馬だが衰えや陰りはない。2016年、GIヴィクトリアマイル連覇を決めたストレイトガール(7番人気)が7歳だった。
枠順はライオンボス13番、ダイメイプリンセスは8番。明らかにライオンボス有利だが、この枠順で多くの馬が外へ、外へ…と向かう展開なら、直進した方が前は空く可能性がある。ダイメイプリンセスと、秋山騎手のコンビの直線1000mは【3-0-1-0】。思い切って直進したときの逆転快走の妙味は、牝馬プリンセスにありそうだ。
相手はもちろんライオンボス本線だが、ライオンボスと同じダート父系を持つモンペルデュ、内から伸びるはずのナランフレグも強気に買いたい。