▲1歳馬の歴代最高価格である5億1000万円で落札されたシーヴの2019(C)JRHA
1歳は底堅く、当歳は苦戦。7月13、14の両日、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで行われた「セレクトセール」(日本競走馬協会主催)の結果を一言で整理すれば、そんな評価となる。2日間の売却総額は187億6100万円(税抜き、以下同)で前年比8.5%減。
初日の1歳部門は104億2800万円で2.8%減にとどまったが、2日目の当歳部門が前年比14.8%減の83億3300万円にとどまり、足を引っ張った。1歳と当歳で明暗が分かれたのは、種牡馬界の「2トップ」として君臨したディープインパクト、キングカメハメハの産駒の上場が、1歳のみだったためだ。
一方で、売却率は1歳が92.0%(前年92.9%)、当歳が89.8%(前年と同率)と、活況だった昨年とほとんど差がなかった。市場の底堅さは再確認されたが、コロナ禍の影響が全体的な経済情勢と異なり、今回の市場にはまだ及んでいなかったとも言える。来年以降の市場を覆う影が、姿を見せていたのは確かだ。
ギャラリーは入場制限
今回の市場は事実上、コロナ禍以降に国内で開催された初の大型市場だった。4月のJRAブリーズアップセールを皮切りに組まれていた2歳市場は軒並み、中止かオンライン転換に追い込まれた。感染問題がある程度落ち着いたのを受けて、6月23日には九州市場が、7月7日には八戸市場が、それぞれ購買者を現場に受け入れる形で行われたが、いずれも小規模だった。
▲7月7日に行われた八戸市場の様子(撮影:田中哲実)
2日間の上場馬が475頭に上るお化け市場となれば話は違う。今回は創設23回目だが、会を重ねて規模が拡大し、昨年までは競馬界全体の社交の場となっていた。しかも、会場自体が観光牧場で、新千歳空港からは無料のシャトルバスも昼間に1時間に1本のペースで運行していた。せり当日は平日とは言え観光客の多い夏場と重なるため、平年は一般のギャラリーも多かった。
だが、今回は一般の観覧者をシャットアウトし、シャトルバスもせり当日は休止。せりの入場者は事前に登録済みの購買者と限定された数の同伴者のみとされた。入場者は入り口で検温などの手順を踏み、マスク着用がルール化された。会場内部も例年より広い間隔で椅子を並べるなど、物理的距離の確保に神経を遣っていた。
せりカタログからも変化は見えた。昨年までは会場にブースを出展するファッション誌や外車ディーラーの広告が掲載されていたが、今年は