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発汗の意外なカラクリ「多少目立っても僕の馬の場合は…」

  • 2020年07月29日(水) 18時01分
先週土曜日の新潟8Rには、1番人気タガノウィリアムで出走。メンバー的にもチャンスかと思われましたが、ゲートでトモを滑らせて後方からの競馬に…。これには小牧騎手も「申し訳ないことをした」とガックリ。今週の『太論』では、その8Rと同日9Rの燕特別(ラデツキー7着)を回顧。ラデツキーを通して、発汗にまつわる意外なカラクリも明かしてくれました。(取材・文:不破由妃子)

※このインタビューは電話取材で実施しました。

久しぶりの1番人気、スタートでトモを滑らせて…


──トレーニング終わりのお疲れのところすみません。

小牧 いや、今日はね、トレーニングちゃうねん。マッサージに行ったあと、『コンフィデンスマンJP』を観に行ってたわ。最近、映画がようけやり出したでしょう。だから、毎週のように映画館に行ってる。最近面白かったのは、海底47mのなんとかっていう…。

──『古代マヤの死の迷宮』ですね。

小牧 そう、それ! すごく怖くて、面白かったよ。ずっとドキドキしっ放しやったわ。檻の中で巨大人喰いザメの恐怖と戦う…っていう話でね。これはかなりオススメです。

──では、さっそく先週の競馬のお話を。

小牧 先週はねぇ、久しぶりの1番人気で(新潟8R・3歳上1勝クラス・タガノウィリアム4着)、普通に乗っていけば勝てるかなと思ってたんやけど…。

──スタートでトモを落として。

小牧 うん、滑ったねぇ。関係者にもファンにも申し訳ないことをしたわ。

──最後方追走から、直線は最速の上がりでよく差を詰めましたけどね。

小牧 出遅れた時点でもう開き直って、ひとつでも上の着順を目指せる競馬をしました。5着以内に入らんと、なんせ次が難しくなるからね。6着以下になってしまうと、(登録しても)なかなか入れんから。だから、直線に賭ける乗り方を選択したんやけどね。

──タガノウィリアムは、これまで出遅れたことってありましたっけ?

小牧 いや、少なくとも僕が乗ってからはないね。出遅れというか、完全にトモを滑らせたんですわ。だから純粋な出遅れとはちょっと違うねん。馬券を買ってくれたファンには本当に申し訳ないことをしてしまったけど、ああなってしまったらどうしようもない。慌てて前に行こうものなら、惨敗しかねないからね。次は小倉を使うみたいやから、改めてやね。

──ああいう競馬もできることがわかったのは、ある意味、収穫と見ることもできますが。

小牧 いや、やっぱり怖がりやから。自分のペースで前々で運んだほうがいいね。

──続いては、ラデツキー(新潟9R・燕特別・5番人気7着)。すんなり行けましたが。

小牧 行けたけど、(マコトジュズマルに)ピッタリついてこられたね。あとはね、やっぱり時計の速い競馬になったら分が悪いです。今回は開幕週やったからねぇ。

──道中のペースを気にして見ていたんですけど、1000m通過タイムで初めて1分を切っていたので、これまでのスローの逃げとは違う形になったなぁと思っていました。

小牧 そうやね。芝でもやれるけど、やっぱりちょっと時計の掛かる馬場のほうがいいね。本当はね、ダートの長いところがいいんやけど。そういう番組がないんやて。もどかしいね。

──今回は、ちょっと発汗も目立ったような印象がありますが、そのあたりの影響は?

小牧 あのね、僕の鞍下が薄いゴムみたいな素材やから、発汗が目立つんです。ジョッキーによって違うけど、僕と同じ素材の鞍を使っている人は、発汗が目立ってるわ。どっちがいいとか悪いとかではないけど、素材がスポンジだと汗をめっちゃ吸うでしょう。そうすると重くなってしまう。それに、僕が使っている素材のほうが、ペタッとくっついてズレないねん。

──なるほど。馬がいつもより発汗しているわけではなくて、鞍の下の素材によって、汗を吸ってるか吸っていないかの違いなんですね。

小牧 そうそう。素材によって、見え方が変わってくるだけや。だから、多少発汗が目立っても、僕の馬の場合はあんまり気にせんでいいと思うよ。

──では、最後に質問をひとつ。中京記念のハッピーアワーについてです。「安定の出遅れでしたね。いつか復活すると信じてずっと馬券を買っているのですが、あの馬はなぜいつも出遅れてしまうのでしょうか。小牧騎手が感じたことを教えてください」

小牧 まず感じたのは、レース慣れしてるなぁっていうことやね。ズルい面が出てる。僕ね、うるさいタイプなのかと思ってたんやけど、実際はむっちゃおとなしいねん。ゲートのなかでもジーッとしていてね。それなのに出ない。反応が遅いし、ズルいんやわ。ズブさも出てるね。

──出遅れてしまうのも、ズルさのせい?

小牧 そうそう。賢すぎるねん。出遅れ癖があるのはわかってたから、なんとか出そうと思ったんやけどね。まったく反応してくれんかった。ちょっとビックリしたわ(苦笑)。重賞を勝っているくらいやから力があるのは間違いないんやろうけど、道中も真面目に走ってない。どうやったら気持ちが乗ってくるのか…。この前初めて乗ったから、ちょっとわからんね。

──さて、今週も新潟ですね。2年ぶりの新潟はいかがでしたか?

小牧 馬場がきれいでいいねぇ。帰りは熊ちゃん(熊沢重文騎手)とふたりで帰ってね。空港でなんか食べようと思ってたんやけど、空港内の飲食店はどこも閉まっていて。だから、近くの「くら寿司」までタクシーで行ったんやわ。

──小牧さんと熊沢さんで「くら寿司」。新鮮ですねぇ(笑)。

小牧 そう? あんまり行ったことがないから比べられんけど、土地柄なのか、めっちゃ旨かった!
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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