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2日間で662頭が上場!異例の規模で行われる「セレクテッド・イヤリング・ショーケース」

  • 2020年08月12日(水) 12時00分

ペガサスWC初代覇者アロゲートの初年度産駒が登場


 9月9日(水曜日)、10日(木曜日)の両日にわたってケンタッキーで開催される「ファシグティプトン・セレクテッド・イヤリング・ショーケース」のカタログが解禁になり、662頭が上場されることがわかった。

 例年であれば、北米における1歳セールのサーキットは、7月にファシグティプトンがケンタッキーで行う「ジュライ・イヤリング」で幕を開け、その後、同社がサラトガで8月に開催する「サラトガ・イヤリング」、「サラトガ・ニューヨーク産イヤリング」と続いていくのだが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、これらのセールを全て中止することをファシグティプトン社が決めたのが、4月27日のことだった。

 この3セールの代替としてケンタッキーで行われるのが「セレクテッド・イヤリング・ショーケース」で、すなわちここが、トップクラスの北米産1歳馬が集結する、今年最初の機会となる。

 生産者目線で見れば、19年生まれの1歳馬を販売するチャンスを待ちわびていたことは想像に難くなく、662頭という、2日間の市場で売ることが出来るほぼマックスの上場頭数が揃うことになった。また、前述したような事情があるため、上場番号1番から164番まで、すなわち、セール初日の前半は、ニューヨーク産馬のみのセッションとなっている。

 頭数が揃っただけでなく、G1馬の弟妹、もしくは母がG1勝ち馬という上場馬が33頭も含まれており、質的にも極上の品揃えとなった。

 上場馬の種牡馬のラインナップを見ても、昨年の全米リーディングサイヤーで、今年も首位を突っ走っている(8月10日現在)イントゥミスチフの産駒が23頭、昨年のリーディング2位で、今季も2位につけているカーリンの産駒が19頭など、北米で供用されるトップサイヤーたちが多数の産駒を送り込んでいる。

 更に、GIジャパンダートダービー優勝馬ダノンファラオ、GIIIユニコーンS圧勝のカフェファラオなど、今年3歳の初年度産駒から日本でも2頭の大物が現れた15年の北米3冠馬アメリカンフェイローの産駒が15頭も上場を予定しており、日本の競馬関係者にとっても食指をそそられるところである。

 また、この世代が初年度産駒となる新種牡馬たちが、どんなタイプの仔を出しているのかを見る、絶好の機会となるのが1歳馬セールだ。「セレクテッド・イヤリング・ショーケース」のカタログには、16年の3歳牡馬チャンピオンで、今年6月に7歳という若さで急逝したアロゲートの仔が12頭、17年の全米年度代表馬ガンランナーの仔が同じく12頭、16年の2歳牡馬チャンピオン・クラシックエンパイアの仔が22頭、G1アレンジャーケンスS(d7F)など3つのG1を制したプラクティカルジョークの仔が20頭含まれており、マーケットが彼らをどう評価するのかも非常に興味深い。

 個別の馬たちを見ていくと、目移りするような良血馬たちが並んでいる。

 例えば、上場番号73番の牡馬(父ミッションインペイジブル)は、8日にサラトガで行われたG1トラヴァーズS(d10F)を快勝して4度目のG1制覇を果たし、9月5日のG1ケンタッキーダービー(d10F)で1番人気に支持されることが確実なティズザロウの半弟だ。上場番号353番の牝馬(父アロゲート)は、09年にG1BCジュヴェナイルフィリーズ(d8.5F)を制し最優秀2歳牝馬の称号を得たシービーワイルドの6番仔で、上場番号449番の牝馬(父カーリン)は、G1CCAオークス(d9F)など3つのG1を制した後、現在は社台ファームで繁殖入りしているカラライナの全妹だ。

 あるいは、上場番号480番の牡馬(父ヴァイオレンス)は、19年にG1BCフィリー&メアスプリント(d7F)など2つのG1を制し、エクリプス賞最優秀短距離牝馬に選出されたコヴフェフィーの半弟だし、上場番号543番の牝馬(父クオリティロード)は、17年にG1BCジュヴェナイルフィリーズ(d8.5F)を制し最優秀2歳牝馬の称号を得たカレドニアロードの全妹だ。

 日本の競馬ファンには、16年のGIIIシリウスS(d2000m)勝ち馬マスクゾロの半弟にあたる、上場番号49番の牝馬(父マリブムーン)も、動向が気になる1頭となろう。

 もっとも、アメリカはご案内のように、コロナウイルス感染による死者数が16万人を越えている世界最悪の感染国だ。日本人の渡航は不可能ではないものの、アメリカ入国時にホテルなどで14日間の待機を命じられ、さらに日本帰国時にも2週間の検疫期間を設けることが義務付けられているというのが8月10日現在の渡航条件で、これを実行するのは容易なことではない。

 こういう情勢下ゆえ、マーケットはソフトなものになることが予想されるだけに、そういう意味では「買い時」とも言える中、この機会を逃したくないという日本人バイヤーは、現地のエージェントを通じて購買するというのが、現実的な手段かもしれない。

 国外からバイヤーが遠征して来ることが困難な状況であることは、主催するファシグティプトン社も織り込み済みで、上場馬の動画を準備したり、オンラインビッドのシステム拡充を図るなどの方策をとっている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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