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最後の世代までサウスヴィグラス

  • 2020年08月18日(火) 18時00分

今年の地方種牡馬ランキングを独走


 4月15日に始まったホッカイドウ競馬は折り返し点を過ぎ、2歳の重賞戦線が本格化する。そうしたなか、8月12日に行われた2歳牝馬の重賞フルールカップ(1000m)は、逃げたトンデコパが直線でも単独先頭だったが、1番人気に支持されていたマーサマイディアがゴール前で差し切った。

 マーサマイディアの父サウスヴィグラスは、2018年1月に疝痛を発症、開腹手術をしたものの3月4日に死んだ。その年は種付けされておらず、2018年に生まれた今年の2歳馬が、14世代目にして最後の産駒となる。

 最後の世代が種付けされた2017年には、すでに21歳になっていたにもかかわらず、173頭と交配し、118頭の産駒が血統登録されている。

 今年の2歳馬の地方種牡馬ランキング(8月16日現在、以下同)を見ると、サウスヴィグラスは、2位のシニスターミニスターを抑えトップに立っている。

 また地方全体の今年の種牡馬ランキングでも、サウスヴィグラスの6億7863万円余りは、2位のゴールドアリュール(4億1308万円余り)を抑えて早くもトップを独走。クリソベリルやサンライズノヴァなどGI/JpnI勝ちの大物産駒を擁するゴールドアリュールに対して1.5倍以上の差をつけているのだからすばらしい。そして地方のアーニングインデックスは2.09。ランキングトップ20までの種牡馬で2を超えているのはサウスヴィグラスのみ。中央・ダートの種牡馬ランキングでも6位となっている。

 サウスヴィグラス産駒の今年の地方での活躍馬を見ると、ダートグレードではヒロシゲゴールド(JRA)がクラスターCで2年連続2着。東京スプリントでは、サブノジュニア(大井)が2着、キャンドルグラス(船橋)が3着となっている。そのキャンドルグラスは、1月に船橋記念を制している。

 ダートグレードのみならず、やはり短距離路線での活躍が目立っていて、1000m以下のレースで争われるスーパースプリントシリーズでは、コンサートドーレ(盛岡・早池峰スーパースプリント)、エイシンエンジョイ(園田・園田FCスプリント)、フェリシアルチア(金沢・日本海スプリント)と、全7戦のうち3戦でサウスヴィグラス産駒が勝ち馬となっている。

 またスーパースプリントシリーズではないものの、3歳馬による優駿スプリント(大井1200m)ではカプリフレイバー(大井)が勝ち、同馬はここまで1200m以下では5戦全勝と底を見せていない。

 サウスヴィグラスといえば、2017年のジャパンダートダービーを制したヒガシウィルウィンに代表されるように、晩年の産駒は中距離での活躍も目立つようになり、今年もキングプライド(はがくれ大賞典・佐賀2000m)、ディアタイザン(兵庫ダービー・園田1870m)などがそれぞれ中距離の重賞を制している。

 ヒガシウィルウィンは5歳以降重賞勝ちがなく、一時の活躍を思えばやや低迷ぎみだが、6歳になった今年、4月のブリリアントC(大井)で競走除外となったあと岩手に移籍。初戦となった準重賞のすずらん賞(盛岡1600m)では、昨年の岩手二冠馬パンプキンズに3馬身差をつけて勝っている。

 冒頭のとおり、サウスヴィグラスの産駒は最後の世代となる今年の2歳馬も100頭以上いるだけに、あと数年は地方を中心にダート重賞戦線での活躍が見られそうだ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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