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世界の良血が本領発揮

  • 2020年08月24日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・8/23 札幌記念(GII・札幌・芝2000m)
 中団追走のノームコアが残り100mで先頭に立ち、追いすがるペルシアンナイトを抑えて4つ目の重賞タイトルを獲得しました。久々の2000m戦でしたがまったく問題なし。この秋、宝塚記念優勝馬である半妹クロノジェネシス(父バゴ)との対決が実現するかもしれません。

 1、2着馬の父はハービンジャー。現役時代、イギリスで芝12ハロンのG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSを11馬身差で圧勝した名馬で、それゆえに産駒は洋芝を得意とします。イギリスに遠征してG1ナッソーSを制覇したディアドラもハービンジャー産駒です。

 その父ダンシリは、ヨーロッパでは堅い芝に適性のある種牡馬として知られています。日本とヨーロッパの芝は同じではなく、周知のとおり前者は速いタイムが出やすく、後者は時計が掛かります。したがって、日本においては洋芝、荒れ馬場、多少時計の掛かるコンディションで本領を発揮します。昨年のブラストワンピースに続いてハービンジャー産駒は札幌記念2連覇。来年も要注目です。

・8/23 北九州記念(GIII・小倉・芝1200m)
 中団のインを追走したレッドアンシェルが馬群をすり抜けて伸び、逃げ粘るモズスーパーフレアをとらえました。トップハンデ57kgを背負っての完勝ですから力が一枚上でした。

 母スタイルリスティックはナサニエル(キングジョージ6世&クイーンエリザベスSの勝ち馬で凱旋門賞馬エネイブルの父)、グレートヘヴンズ(愛オークス)、プレイフルアクト(フィリーズマイル)などの半姉にあたる超良血。芝1200m戦はこれで[3-0-1-1]となりました。唯一着外だったシルクロードS(大差しんがり負け)は、8ヵ月ぶりの実戦だったことに加え、「体のどこかを痛めたような感じの走り」と鞍上が証言していたので参考外の一戦です。

 ここにきて調子を上げてきているのでスプリンターズSでも有力馬の一頭といえるでしょう。前記のように超良血馬なので、種牡馬となってもいいところがあるのではないかと思います。

今週の血統注目馬は?


・8/30 支笏湖特別(2勝クラス・札幌・芝1800m)
 登録馬の父のなかで札幌芝1800mに強い種牡馬はディープインパクトとキズナの親子。連対率は前者が33.9%(109戦37連対)、後者が30.8%(13戦4連対)。札幌の芝中距離はディープインパクト産駒が抜群の成績を挙げていますが、息子のキズナも父に似て好成績です。当レースにはディープインパクト産駒のメリディアンローグ、キズナ産駒のルーチェデラヴィタが登録しています。いずれも3歳馬で上昇が見込めるので楽しみです。

今週の血統Tips


 先週の日曜日、新潟ダ1200mで争われたオープン特別NST賞は、サウスヴィグラス産駒がワンツーフィニッシュ(ヒロシゲゴールド、ヒデノヴィーナス)を決めました。先々週の土曜メインの上越Sも同産駒のウルトラマリンが勝っています。

 サウスヴィグラスはダート短距離界の王者といえる種牡馬で、今年に入ってからJRAのダ1000〜1200mで産駒が27勝を挙げており、2位ヘニーヒューズに7勝差をつけて首位に立っています。ダート短距離の番組が多い地方競馬ではぶっちぎりのトップで、今年に入ってここまでに310勝を挙げています。2015年以降、5年連続で地方競馬のリーディングサイアーとなっており、2016年以降は年間400勝以上を挙げています。パーソナルベストの2018年は432勝。これは地方競馬の新記録でもありますが、今年はそのときのペースを上回っているので楽しみです。

 最も得意とする条件はローカルのダ1000m。8月に入ってから6勝、2着2回、3着3回という成績で、勝率26.1%、連対率34.8%、複勝率43.5%。圧倒的な強さです。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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