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タタソールズ・オクトーバーセール・ブック1の上場馬が解禁

  • 2020年08月26日(水) 12時00分

世界中の主要競走を席巻している同セール出身馬


 10月6日から8日まで、英国のニューマーケットで開催される、欧州最高の1歳馬セール「タタソールズ・オクトーバーセール・ブック1」の上場馬が解禁となり、選りすぐられた547頭の顔触れが明らかになった。

 今年も、セール出身馬が世界中で主要競走を制しているのがオクトーバーセールだ。

 お膝元の英国では、今季もここまでG1キングズスタンドS(芝5F)とG1ナンソープS(芝5F)という2つのG1を制し、「世界最速」の異名をとるバターシュ(セン6、父Dark Angel)が、15年の同セールにて20万ギニー(約3000万円)で購買された馬だ。

 G1セントジェームズパレスS(芝7F213y)とG1ジャックルマロワ賞(芝1600m)を制し、3歳最強マイラーと言われるパレスピア(牡3、父キングマン)は、18年の当セールにて60万ドル(約9000万円)で購買された馬だし、G1サセックスS(芝8F)を快勝して古馬最強マイラーと称されるモハーサー(牡4、父ショーケーシング)は、17年の当セールにて11万ギニー(約1650万円)で購買されている。

 お隣りの仏国では、8月23日にドーヴィルで行われたG1モルニー賞(芝1200m)を制し、デビューから無敗の3連勝を飾ったカンパネル(牝2、父コーディック)が、19年の同セールにて19万ギニー(約2850万円)で購買された馬だった。また、14年の同セールにて5万ギニー(約750万円)で購買されたウェイトゥパリス(牡7、父シャンゼリゼ)が、6月にG1サンクルー大賞(芝2400m)を制覇している。

 北米では、17年の同セールにて20万ギニー(約3000万円)で購買されたニュースペーパーオブレコード(牝4、父ロペドヴェガ)が、G1ジャストアゲームS(芝8F)に優勝。そして豪州でも、18年の同セールにて12万ギニー(約1800万円)で購買されたラシアンキャメロット(牡3、父キャメロット)がG1サウスオーストラリアンダービー(芝2500m)を制したのをはじめ、3頭の出身馬がG1制覇を果たしている。今年の上場予定馬も、半数近い256頭が重賞/準重賞勝ち馬の弟妹で、母がG1勝ち馬か兄姉がG1勝ち馬という馬を数えるだけで63頭にものぼるという、超豪華版となっている。

 種牡馬別に見ても、欧州の至宝ガリレオの産駒が19頭ラインナップしているのをはじめ、ドゥバウィ産駒が20頭、フランケル産駒が32頭、シーザスターズ産駒が33頭、パレスピアの父キングマンの産駒が21頭、バターシュの父ダークエンジェルの産駒が36頭など、トップサイヤーたちが複数の産駒を送り出している。

 1歳セールをウォッチする楽しみの1つが、この世代が初年度産駒となる新種牡馬がどのようなタイプの産駒を出しているかを見る点にある。例えば、ロイヤルアスコットのG1コモンウェルスC(芝6F)など2つのスプリントG1を制したカラヴァッジョ(その父スキャットダディ)の初年度産駒が22頭、16年の欧州2歳チャンピオンで、G1英二千ギニー(芝8F)など7Fから8FのG1を4勝したチャーチル(その父ガリレオ)の初年度産駒が20頭、G1ジャックルマロワ賞(芝1600m)など4つのマイルG1を制したリブチェスター(その父イフラージ)の初年度産駒が11頭、16年にG1チャンピオンS(芝9F212y)など3つのG1を制し、欧州3歳牡馬チャンピオンとなったアルマンゾル(その父ウートンバセット)の初年度産駒が10頭上場予定で、彼らをマーケットがどう評価するかは、大きな見どころとなる。

 個別の馬で見ると、15年にG1凱旋門賞(芝2400m)を含む4つのG1を制し、欧州年度代表馬の座についたゴールデンホーンの半妹にあたる上場番号162番の牝馬(父フランケル)や、13年の欧州古馬チャンピオンで、トラックレコードで制したG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)など4つのG1を制したノヴェリストの半妹にあたる上場番号337番の牝馬(父ガリレオ)らは、世界中の生産者から熱い視線を浴びることになりそうだ。

 誰もが知る名牝の産駒も多く、上場番号41番の牡馬(父フランケル)は、母がG1英千ギニー(芝8F)など5つのG1を制したアトラクションで、上場番号112番の牡馬(父ドゥバウィ)は、母がG1凱旋門賞(芝2400m)など5つのG1を制したデインドリームで、上場番号444番の牡馬(父ガリレオ)は、母がG1英千ギニー(芝8F)など4つのG1を制したスカイランタンだ。 記憶のフレッシュなところでは、上場番号516番の牝馬(父フランケル)は、今年のG1愛ダービー(芝12F)勝ち馬サンティアゴの半妹で、上場番号55番の牡馬(父ハイランドリール)は、デビューから無敗の5連勝で8月16日にドーヴィルで行われたG1ジャックルマロワ賞(芝1600m)を制し2度目のG1制覇を果たしたパレスピアの半弟にあたる。

 日本の皆様にとっては、上場番号280番の牡馬(父チャーチル)の動向も気になるところだろう。同馬は、G1日本ダービー(芝2400m)勝ち馬ディープブリランテの半弟なのだ。一般経済とは隔絶した世界にあるとも言われる競走馬のトップマーケットが、コロナウイルスが世界的に流行している中でどんな動きを見せるか、しっかりとモニターしたいと思っている。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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