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【新潟2歳S予想】総合力より現時点での切れ味を重視したい

  • 2020年08月29日(土) 18時00分

スピード能力があるのは間違いない


 最後の直線が約660mも続くため、近年の新潟2歳S1600mは毎年、前半スロー。過去10年の前後半800mの平均バランスは「48秒20-46秒09」=1分34秒29。前半の方が速くなったハイペースは一度もなく、決まって最後の直線勝負になる。

 前半1000m通過平均は未勝利戦と変わらない「60秒48」。2週前の古馬の関屋記念(10〜19年平均)より2秒31も遅いので、そろそろ伏兵が1000m通過59秒台前半くらいの楽なペースでハナに行くと、きわめて恵まれ、逃げ残りもありそうに思える…。ここのところは毎年チェックしたい。実際、前半1000m通過平均「58秒17」の決して速くもない流れの関屋記念では再三再四、逃げ切り、逃げ残りが決まっている。

 4コーナーまではみんなが楽。そこで各馬が猛然とスパートするレースの後半3ハロン平均は「33秒81」の高速決着になってきた。なんと関屋記念の平均34秒06より速く、勝ち馬の上がり平均は「33秒03」にも達している。

 例年通りの流れになって問われるのは、歴戦の古馬ではないから、現時点で最後の600mを33秒台前半で乗り切れるスピード能力(切れ味)があるか否かになる。必ずしもスケールや総合力ではない。そのため、ハープスター(上がり32秒5)、2着イスラボニータの2013年のような年は別に、新潟2歳S組を高く評価して追いかけると危険が生じる。

 ゴドルフィンの所有馬にしては珍しい配合のブルーシンフォニー(父スクリーンヒーロー)の新馬1600m(稍重)は、超スローでレース上がり34秒7。なだめて中位から直線に向くと、坂上で詰まって進路を変更しつつ、推定「11秒5-11秒5-11秒2」=34秒2で楽に差し切っている。いっぱいではなかった。

 母ブルーストーンの全4勝は1200m。その父コマンズの競走成績もマイル以下が中心。ブルーシンフォニーは体形が短距離型なので、スケールには疑問もあるが、スピード能力があるのは間違いない。折り合えば、新潟の今回は33秒台も楽に可能だろう。

 同じゴドルフィン所有のショックアクションの父Gleneaglesグレンイーグルズは、Galileoガリレオ直仔で、英・愛2000ギニーなどマイル以下のGIを4勝している。母方にもスピード色が濃く、新潟の直線レース向きの迫力のストライドを持つ。エンジンがかかると猛然と伸びるイメージがある。

 可能性を秘めた2歳馬を、現時点で発揮できそうなスピード能力を中心に推測するのは難しいが、異常なスローには落とさずに逃げ(先行)の作戦を取りそうなロードマックス(父ディープインパクト。母の父ドバウィ)を怖い3番手としたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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