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【新潟2歳S】スピード色が濃くいかにも新潟向きだったショックアクション

  • 2020年08月31日(月) 18時00分

クラシックを狙える器かどうかはもう少し先に判断したい


 人気に応え快勝したのは牡馬ショックアクション(父Gleneaglesグレンイーグルズ) だった。ゴドルフィン所有馬は昨年のウーマンズハート(父ハーツクライ)に続く新潟2歳S連覇達成と同時に、2着した人気のブルーシンフォニー(父スクリーンヒーロー)も同じ勝負服であり、ここを狙ってのワンツーだった。

重賞レース回顧

写真提供:デイリースポーツ


 前半スローから直線だけスパートのレースが連続していたため、そろそろ伏兵が1000m通過59秒台くらいの楽なペースでハナに行くとき、恵まれた逃げ残りもありそうに思えた。ハヴァス(父ルーラーシップ)が抑えきれない感じでハナに立ち、少し離して飛ばしたペースは「34秒6-47秒3-59秒5→」。例年の平均よりは速いが、決して無理なペースではなく、レース後半の800mも同じ「47秒3」。

 ハヴァスは、「気持ちが強すぎる(丸山元気騎手)」と振り返ったように、行きたがっての先行だったが、自身の前後半「47秒3-49秒4(上がり37秒2)」=1分36秒7の内容では、まだ成長の途上だった。大駆け可能なペースだったのに残念。

 前半は後方にいたが、内をすくうように早めに進出し、直線は外に出しながら残り400mあたりで先頭に並んだのが1番人気のブルーシンフォニー。2015年に同じ田辺裕信騎手が乗って快勝した1番人気のロードクエスト(父マツリダゴッホ)と似たような形になったが、今回はひと呼吸待ってスパートしたショックアクションの素質がだいぶ上だった。

 ブルーシンフォニーの中身は「60秒1-34秒8」=1分34秒9。ここがまだ2戦目であり、しぶとく2着に残った内容は評価しなければならないが、速い脚が続かなかった。スクリーンヒーローというより、短距離タイプにも近い母方の影響を強く受けたと思える胴の詰まった体型であり、この組み合わせの新潟1600mだから快走できたが、理想はマイルまでで、これから距離が延びて…というタイプではないように思える。

 1.3/4馬身差で快勝したショックアクションは、内からブルーシンフォニーが動くのを見ながらスパート。ブルーシンフォニーが前を横切って外に出したが、その内をすくったのではなく、進路を変えないまま一直線にゴールまで突き進んだ。

 自身の中身は「60秒5-34秒1」=1分34秒6。全体に少し時計を要する芝なので標準以上だろう。変にタイムが速いより、今後のためにはむしろこのほうがいい。

 父グレンイーグルズは Galileoガリレオ直仔ではあるが、 英・愛2000ギニーなどマイル以下のG1を4勝のスピード系。その母の父はStorm Cat。輸入牝馬の3代母イメンス(父Roberto)は、1999年のクイーンS(中山1800m)を制したエアザイオン(日本で1頭だけの産駒)を送り、現在もこの牝系は続いている。イメンスは、名種牡馬Giant's Causewayジャイアンツコーズウェイの祖母にあたる。

 ショックアクションは母方にもスピード色が濃く、いかにも新潟の直線レース向きの迫力を感じさせ、実際、エンジンがかかって一直線に伸びた。衆目一致のスケールを感じさせなければ、「新潟2歳Sの好走馬に肩入れしすぎてはいけない」のが定説だけに評価は難しいが、「12月の朝日杯FSを目標にしている(大久保調教師)」という。クラシックを狙える器かどうかはそこで見えてくるだろう。

 3番人気の牝馬フラーズダルム(父キズナ)は、6月の新馬戦から確実にひと回り成長してプラス12キロの466キロ。数字以上に大きく、のびのび見せる好馬体だった。控えて進み、自身の中身は「60秒8-34秒2」=1分35秒0。外から大きなストライドで加速した瞬間は2着もありそうだったが、「現時点では瞬発力というより長く脚を使うほうがいい(福永祐一騎手)」。それでも勝ち馬と互角の脚を使って、4着馬には4馬身の差をつけた。

 ファミリーは確実に成長するレディチャッターから発展する一族。母クーデグレイスの半姉ポップコーンジャズは、宝塚記念、天皇賞(秋)など9勝もした今年の新種牡馬ラブリーデイの母にあたる。

 4着以下は、現時点での能力がストレートに出る「47秒3-47秒3」=1分34秒6の流れだったから、今回の残念な結果はパンチ不足ということ。今後の成長待ちになる。

 成長途上というと、最後の直線が約660mも続くため、一瞬の鋭さや仕上がりの早さではなかなか通用しないのか、今年を含めた最近10年の新潟2歳Sで当日の馬体重438キロ以下の馬は【0-0-1-35】となってしまった。2002年に外回り1600mになってここまで19回、438キロ以下の馬はまだ勝っていない。直線1000mのアイビスサマーDでも小型馬の快走はめったにない。340キロ前後のメロディーレーンがスタミナタイプの典型として活躍するなど、小型な体は別に不利ではないが、スピードの持続勝負はつらい。

 理由のあるデータでもなんでもなく、役に立つとは思えない巡り合わせの記録だが、サンデーサイレンス直父系の種牡馬群をA、そうではない種牡馬群をBとすると、2004年以降の新潟2歳Sの勝ち馬の父は、珍しいことに「B→A→B→A→B→A…」のパターンが17年間も連続している。来年はサンデー系の順番になる。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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