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南関東のコロナ禍を振り返る

  • 2020年09月01日(火) 18時00分

南関東では異例の代替開催


 先週の南関東は、新型コロナの影響で日々刻々と開催の状況の変化に振り回された。

 8月24日(月)に、船橋所属騎手1名の陽性が発表されると、濃厚接触者の特定と感染防止措置を講ずるため、昼頃にはその日の川崎開催の取り止めを発表。さらに夕方には翌25日(火)の取り止めも発表された。

 川崎所属騎手は24日(月)のうちにPCR検査を実施していたが、その結果の判明まで時間がかかることから、25日(火)の午後になって、重賞・スパーキングサマーCが行われる26日(水)の開催も取り止めることが発表された。

 すると26日(水)の午後には、船橋所属騎手から新たに5名がPCR検査の結果陽性であることを発表。同時に、8月31日(月)から9月4日(金)の第6回船橋開催の取り止めも発表された。

 さて、27日(木)の川崎開催が行われるのかどうか、前日の夕方になってもなかなか発表されず、ようやくリリースがあったのが20時半過ぎ。

 27日(木)、28日(金)の開催は、PCR検査で陰性が確認された川崎および浦和の所属騎手のみ騎乗可能とされ、枠順が発表されている27日(木)の開催については、船橋所属馬はすべて競走除外、28日(金)の開催については、船橋所属馬は出走投票の自粛のお願いがされた。さらに、すでに中止になった第6回川崎開催の1〜3日目(8月24〜26日)の開催を、8月31日(月)〜9月2日(水)に代替開催することも発表された。

 南関東での代替開催というのはきわめてめずらしい。1年を通して4場でギチギチに日程が組まれているため、たとえば悪天候などで開催が中止となったとしても普段なら代替開催はできない。今回は8月31日(月)から9月4日(金)の船橋開催の取り止めが早めに発表されたため、取り止めになった川崎開催3日分の代替開催が可能になったというわけだ。

 その代替開催となった3日分は、当初の第6回開催ではなく、新たに第7回開催の1〜3日目として番組も一部変更。28日(金)には船橋所属の調教師および厩務員に陽性者との濃厚接触者がいないことが確認できたことから、代替開催となった8月31日(月)の開催からは、船橋所属馬も出走可能となった。

 6名の騎手から陽性者が出てしまった船橋の開催が取り止めになったのは仕方ないとして、日々状況が変わるなかで、川崎競馬では取り止めになった3日間もの開催を代替でできたというのは、あっぱれ!と言っていいのではないか。

 この間、川崎、浦和だけでなく、8月28日(金)には大井所属騎手もPCR検査の結果が全員陰性であったことが発表されている。ただし、大井では8月20日(木)に調教師1名のPCR検査での陽性が発表されており、また8月21日(金)までの大井開催では、のちに陽性が確認された船橋所属騎手が騎乗していたということもあったのだろう、代替となった川崎開催では南関東のリーディング上位騎手の多くが騎乗を取り止めている。

 1週先送りされ、9月2日(水)に行われることになったスパーキングサマーCも出馬再投票となったが、もとの8月26日に出走を予定していた馬ではリンゾウチャネルが回避、代わってエスケイアリュールが出走となり、馬は1頭が入れ替わっただけ。ところが、そのエスケイアリュールは別にして、あとの12頭で8月26日の出馬表から鞍上が変わっていないのはわずか1頭。重賞の騎乗経験が少ない騎手も目立つ。騎乗可能な騎手が限られる中で、騎手の手配には相当苦労したであろうことがうかがえる。もちろん重賞以外のレースでも同様の苦労はあっただろう。

 日本の競馬がこれまで滞りなく行われてきたのはむしろ幸運だったというべきで、新型コロナとの戦いがいつまで続くかわからない状況では、今回のようなことは、またいつどこで起こっても不思議ではない。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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