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【京成杯AH予想】自分の形に持ち込んで今年も快走を期待

  • 2020年09月12日(土) 18時00分

カナロア×ハーツのニックス


 昨年の京成杯AHを1分30秒3のJRAレコードで独走したトロワゼトワル(父ロードカナロア)が、また今年も出走してきた。マイル1分30秒台など、突出した快記録を出した馬は反動も大きく不振に陥ることが珍しくなかったが、近年の牝馬はアーモンドアイ、ノームコア…など、快走のあとも陰りを見せることなくエース牝馬を続けることが多い。かつてとは調整技術、レース後のケアなどの進歩が大きいからだろう。

 超高速馬場だったとはいえ、昨年のトロワゼトワル(横山典弘騎手)の高速馬場に対応した中身はすごい。ただ、一気に飛ばしたものではない。最初の200mを12秒3でふんわりハナに立つと、そこからの1200mを「10秒6-10秒4-10秒9-11秒2-11秒4-11秒5…」。他馬を引き離している。最初の1ハロンを除くと中間の1200mは驚愕の「1分06秒0」だった。最後も12秒0でしのぎ、後半の1400mは1分18秒0だったことになる。

 カットの仕方は問題でも、1600mのJRAレコードは、中間の1200mも、後半の1400mも、JRAレコードを大きく上回る超高速だった。こういう記録は、馬場やスピード能力だけではないところがある。

 トロワゼトワルの母の父ハーツクライ(19歳)は今年を含め、2013年以降の種牡馬総合成績「5、3、3、4、4、3、2、3」位のトップサイアー。だが、なぜか母の父としての活躍馬は少なく、海外を含めたった4頭が重賞を制しているにとどまる。

 ケイデンスコール(新潟2歳S、NHKマイルC2着)、ヴァルディゼール(シンザン記念)、トロワゼトワル(京成杯AH)、豪のタガロア(豪ブルーダイアモンドS)。

 この4頭には共通点がある。なんとみんなロードカナロア産駒だった。強いニックス(和合性)を秘める可能性がある。ロードカナロアのスピードを、ハーツクライのスタミナが強力にサポートしている。その典型がトロワゼトワルかもしれない。

 先ごろ、関西の安田翔伍厩舎に英国生まれの2歳牝馬○外ドンナセレーノが登録された。母は2014年のオークス馬ヌーヴォレコルト(父ハーツクライ)。その初仔。日本でロードカナロアを受胎してイギリスに渡ったのでこういう形になった。

 先行一手のトロワゼトワルは、通算【5-5-0-9】。自分の形にならないと大凡走もあるが、前走の関屋記念2着、3走前のGIヴィクトリアマイル4着(1分31秒4)の粘り腰は、格上がり初戦だった昨秋の京成杯AH当時より、明らかに強化されている。

 同型馬が少ない組み合わせであり、枠順は、気合をつけてダッシュしなくてもいい昨年と同じ10番枠。早めに進出したいスマイルカナは大外の16番枠。トロワゼトワルは昨年と同じようにふんわり出て、リズムに乗ってからどんどんペースを上げる逃げを打てる可能性が高くなった。

 昨年ほどの高速決着にならないはずだが、昨年と同じ伏兵4番人気前後か。連覇に期待したい。関屋記念で好勝負だったアンドラステ、マイル戦向きシゲルピンクダイヤ、前走の切れが光るラセット本線。昨年の再現に期待するので、凡走続きでも当時3着だったジャンダルムも上位に加えたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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