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コロナ禍におけるさまざまな変化

  • 2020年09月19日(土) 12時00分

時代を錯綜してしまうようなWINSの現状


 秋の中山、中京競馬が開幕。先週12日の「ウイニング競馬」では、大久保洋吉先生に中山競馬場のパドック放送席から出演してもらいました。

 番組出演者が競馬場に出向いたのは4月上旬以来約5カ月ぶり。とはいえ、いつになったら元通りに競馬場から放送できるようになるのか、今のところまったく見通しが立っていません。

 そもそもあの番組のウリは、ジャンポケ斎藤さんやキャプテンさん、虎石さんらが、ファンのみなさんに囲まれながらワイワイやるところにある、と言ってもいいでしょう。

 でも、JRAが競馬場への入場を認めるのは当分先。限定的に指定席エリアへの入場がOKになるとしても、そこへ乗り込んでいって放送するわけにはいきません。スタッフの間では「今年いっぱいは本社スタジオ中心の制作スタイルになっちゃうかも」なんていう声も出始めています。

 ということで、モニターを見ながらの実況付けはまだまだ続きます。すでにそれを約5カ月も続けてきたというのに、いまだに慣れません。妙に緊張しちゃうんですよね。

 その理由は、カメラマンとスイッチャーが、私(やテレ東アナウンサー)の実況をまったく聴いていないから。途中でちょっと言いよどんだり、噛んで言い直したりしても、画面はどんどん先へ進んでいってしまいます。それで、ふだん以上に、「道中をスムーズに喋らなきゃいけない」というプレッシャーを感じているんです。

 これが自局のカメラスタッフなら、われわれの“立ち直り”を待ってくれますし、待ってくれなければ画面を無視して双眼鏡で“見たまま”を喋れば何とかなります(苦笑)。「実況でメシを食っているんだからちゃんとやれ!」?もちろんそれはごもっとも。私も言い訳はしたくないんですが、この際、「そんなこともあるのか」とご理解いただければ幸いです。

 さてさて、競馬場にはまだ行けませんが、各地のウインズなど場外発売所では、業務が再開されました。

 大半の施設ではメインレースと前日発売レースしか買えず、14時には営業終了。しかも、レース映像もオッズ情報も見られないので、通常とはほど遠い状態のようです。

 日本で初めて場外馬券売り場ができたのは1948(昭和23)年12月のこと。東京の銀座通り沿いにあったプレイガイドで東京競馬の単勝、連勝式馬券(100円券)を売ったのが始まりでした。

 当時は午後のレースだけを発売。午後1時発走の第4競走と同1時半発走の第5競走は午前11時、第6競走以降の分は午後12時30分に発売締切となっていたそうです。

 締切時間が早かったのは、競馬場と場外での売上を間違いなく合算するのに時間を要したため。今の場外発売は、そんな時代に逆戻りしちゃったような気がしています。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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