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【オールカマー予想】前走上がり1、2位馬が勝っていないオールカマー

  • 2020年09月22日(火) 12時00分

傾向そのものを形の通り尊重するか…


 オールカマーの傾向と登録馬を見比べていて、ひとつ気付いたことがある。

 傾向のほうからご説明しよう。過去10年、オールカマーでは前走で上がり最速か、上がり2位を出していた馬は1頭も勝っていないのである。2014年の新潟施行時も含めてしまうが、過去10年の結果はこうなっている。

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 前走上がり最速から馬券に絡んだのは2017年のタンタアレグリア(3着)だけ。上がり1〜2位を合わせるとオールカマーでの1番人気馬と2番人気馬が3頭ずつ、3番人気馬が4頭いるのだが、その中から優勝馬が出ていない。

 さらに調べると、前走上がり最速馬がオールカマーを勝ったのは1999年のホッカイルソーが最後、上がり2位を含めても2003年のエアエミネムが最後だった。年によっては該当馬がいないこともある(最近だと2018年や2015年は前走上がり1、2位馬が不在)。

 さて、以上を踏まえて今年の出走予定馬だが……そう、フィエールマンは天皇賞春の上がり最速馬。数字そのものとして速い上がりを使うタイプではないが、1位は1位。さらに、キレないタイプの典型のようなカレンブーケドールは京都記念の上がり2位。本当はドバイシーマクラシックに出ていたはずとか、京都記念は重馬場だったとかの事情はあるが、2位は2位である。

 その一方で、33秒台の脚を使うこともあるミッキースワローは天皇賞春の上がり4位タイ。数字として速い上がりを出せる馬が「1、2位の呪縛」にとらわれず、スタミナや持続力で勝負する馬が1、2位に該当してしまっている。

 傾向そのものを形の通り尊重するか、傾向をもう一段階解釈して馬のタイプにあてはめるか、これは難しいところだが、前者で行く場合、フィエールマンもカレンブーケドールも勝たない前提の馬券を組むことになる。個人的にはちょっとまだそこまで思い切れずにいるが、趣旨というか傾向そのものは念頭に置いて予想したいのは事実だ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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