スマートフォン版へ

変則日程の北米3冠最終戦「G1プリークネスS」展望

  • 2020年09月30日(水) 12時00分

オーセンティックに立ちはだかるダービー未出走組


 コロナウイルス感染拡大の影響で、変則日程で行われてきた北米3歳3冠の最終戦となるG1プリークネスS(d9.5F)が、10月3日(土曜日)にメリーランド州のピムリコ競馬場で行われる。

 28日(月曜日)に設けられていた登録ステージで、11頭がエントリーした中、中心視されているのがケンタッキーダービー馬のオーセンティック(牡3、父イントゥミスチフ)である。

 2歳11月のデビューからいきなり、G3シャムS(d8F)、G2サンフェリペS(d8.5F)という2つの重賞を含む3連勝を飾り、西海岸を代表するダービー候補となったが、G1サンタアニタダービー(d9F)でオナーエーピーの2着に敗れて連勝がストップ。

 続くG1ハスケルS(d9F)は勝つには勝ったのだが、ゴール前でニューヨークトラフィック(牡3、父クロストラフィック)の強襲を受け、これを辛くも鼻差しのいでの優勝だった。全幅の信頼は置きがたいというのが大方のファンのみるところで、9月5日にチャーチルダウンズで行われたG1ケンタッキーダービー(d10F)では、オッズ9.4倍の3番人気での出走となった。

 大外の15番枠から出て、じわっとハナに立つと、半マイル=46秒41、6F1分10秒23というなかなかのハイラップを刻みつつ馬群を先導。直線に向くと、G1ベルモントS(d9F)、G1トラヴァーズS(d10F)を勝っての参戦だった1番人気(1.7倍)のティズザロウ(牡3、父コンスティテューション)が末脚を伸ばしてきたが、最後の2Fを25秒59で上がったオーセンティックがティズザロウの追撃を1.1/4馬身退けて優勝。勝ち時計の2分00秒61は、2002年以降で最速という優秀なものだった。

 前走後は早くからここに目標を絞り、順調に調整を消化。ティズザロウがここは回避を決めたため、当日はこの馬が被った1番人気になることが予想されている。

 これを追うのは、ケンタッキーダービーに出ることが出来なかった2頭だ。

 1頭は、レース当該週の月曜日朝の調教で交突を起こして蹄を傷め、出走を回避したアートコレクター(牡3、父バーナーディニ)だ。

 キーンランドのG2ブルーグラスS(d9F)、エリスパークのLRエリスパークダービー(d9F)を含めて、今年に入って4戦無敗の成績で来ている馬で、出走していればケンタッキーダービーは2番人気が予想されていた。

 幸いにも蹄の怪我は軽傷で、26日にはチャーチルダウンズで4F=48秒0の時計を出している。

 ケンタッキーダービーのパドックで暴れて転倒し、発走15分前に出走取り消しとなったのがサウザンドワーズ(牡3、父パイオニアオヴザナイル)だ。

 G2ロスアラミトスフューチュリティ(d8.5F)、G3ロバート・B・ルイスS(d8.5F)と、西海岸で2重賞を制している馬で、8月1日にデルマーで行われたケンタッキーダービーへ向けた西海岸の最終便LRシェアードビリーフS(d8.5F)を勝っての参戦予定だった。

 こちらもその後はすぐにここへ目標を切り替え、26日にチャーチルダウンズで5F=60秒8の追い切りを行っている。

 今年のプリークネスSに彩りを添えるのが、スイススカイダイヴァー(牝3、父デアデヴィル)だ。

 今季3戦目となったG2ガルフストリームパークオークス(d8.5F)で重賞初制覇を飾ると、オークローンパークのG3ファンタジーS(d8.5F)、サンタアニタのG2サンタアニタオークス(d8.5F)を制し重賞3連勝。

 牡馬にぶつけたキーンランドのG2ブルーグラスS(d9F)はアートコレクターの2着に敗れたが、牝馬相手に戻ったサラトガのG1アラバマS(d10F)を快勝。前走G1ケンタッキーオークス(d9F)は、シーデアズザデヴィル(牝3、父デアデヴィル)の大駆けにあい、2着に敗れている。

 今年の3歳牝馬世代では間違いなくトップクラスの力量の持ち主で、2度目の牡馬挑戦でどこまでやれるか、非常に興味深い。

 日本時間の日曜日朝6時36分発走のプリークネスSに、ぜひご注目いただきたい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング