スマートフォン版へ

難なく勝てるのがデアリングタクトの非凡さ

  • 2020年10月19日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・10/18 秋華賞(GI・京都・芝2000m)
 中団の外につけたデアリングタクトが残り200mで馬場中央から抜け出し、史上初となる無敗の牝馬三冠を達成しました。休み明けで馬体重は14kg増。目一杯の仕上げではありませんでしたが、それでも難なく勝てるのがこの馬の非凡さです。

「エピファネイア×キングカメハメハ×サンデーサイレンス」という組み合わせはスカイグルーヴ(京成杯2着)やクラヴェル(現3勝)など、15頭中9頭が勝ち上がるというハイアベレージです。母デアリングバードは未勝利馬ですが、2代母デアリングハートは府中牝馬Sを2連覇するなど重賞を3勝したほか、NHKマイルCと桜花賞で2、3着した名牝。

 エピファネイア産駒はスタミナと成長力に特長がありますが、本馬の場合、母方にダンジグをはじめとする完成の早いアメリカ血統が入ることで、早くから素質を開花させることができました。同世代のコントレイル、サリオス、1歳上のグランアレグリア、クロノジェネシス、2歳上のアーモンドアイなど現役には強い馬がひしめいているので、これらと対戦するときは胸を借りる立場ですが、斤量差があるのでいい競馬になるでしょう。

・10/17 府中牝馬S(GII・東京・芝1800m)
 中団につけたサラキアが直線大外から突き抜けました。道悪実績がなかったので8頭中7番人気。今回は馬群の外で気分よく走れたことがよかったのか、拍子抜けするほど楽に勝ちました。これまでローズSやエプソムCで2着、秋華賞で4着などの成績はありましたが、重賞は初制覇です。

 朝日杯FSや毎日王冠を勝ったサリオスの4分の3姉で、母サロミナ(独オークス)、2代母ザルデンティガーリン(オイロパ賞2着、独オークス3着、独ダービー4着)はいずれもドイツの最優秀3歳牝馬、という筋の通ったファミリーに属しています。

 母方にドイツ血統を持つディープインパクト産駒といえばワールドプレミアやジョワドヴィーヴルの名が挙がります。成長力があるので5歳秋を迎えて精神的にも肉体的にも充実してきたということでしょう。1800mのスペシャリストなので今後もこの距離なら狙えます。

今週の血統注目馬は?


・10/24 壬生特別(2勝クラス・京都・芝1200m)
 登録馬の父のなかで京都芝1200mに強い種牡馬はロードカナロア。連対率27.0%は、2010年以降、当コースで産駒が20走以上した61頭の種牡馬のなかでナンバーワン。このレースには産駒のテーオーマルクスが登録しています。3歳牡馬で、3月のファルコンS(14着)以来の実戦なので人気はまったくありません。ただ、休養期間中にリフレッシュしていれば差はないはずです。

今週の血統Tips


 10月17日にブリティッシュチャンピオンズデーが終了し、英愛平地シーズンの統計がほぼ固まりました。首位種牡馬はガリレオ。ブリティッシュチャンピオンズデーの結果に関係なくトップは確定的でしたが、結局、2位ドバウィに大差をつけて11年連続12回目の首位に立ちました。

 父サドラーズウェルズは1990年代から2000年代にかけて13年連続14回という、二度と破られることはないだろうといわれた大記録を樹立しましたが、順調にいけば3年後の2023年、息子によって更新されることになります。英愛リーディングサイアーの歴史をひもとくと、1777年から1809年にかけて、ヘロド-ハイフライヤー-サーピーターティーズルの親子孫が、33年間で31回首位に立つという記録を打ち立てています(内訳はヘロドが8回、ハイフライヤーが13回、サーピーターティーズルが10回。当時はイギリスのみの統計)。

 サドラーズウェルズ-ガリレオの親子は1990年から2020年までの31年間に26回首位に立っています。ノーザンダンサー系、というゆるめの括りでいえば、1990年以降、この系統が一度も首位を譲っていません。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング