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【菊花賞】福永騎手の“さらなる進化”がもたらした歴史的快挙

  • 2020年10月29日(木) 18時00分
哲三の眼

史上3頭目の無敗の三冠馬、コントレイル(C)netkeiba.com


菊花賞は単勝1.1倍に支持されたコントレイルが勝利し、父ディープインパクト以来、15年ぶりの無敗の三冠馬の誕生となりました。ベストな距離とはいえない3000mの長丁場をこなし、偉業を達成したコントレイル&福永祐一騎手のコンビを「最高」と称えた哲三氏。コントレイルとの出会いでさらなる進化を遂げた福永騎手の騎乗ぶりを、自身の経験を交えて振り返ります。

(構成=赤見千尋)

GIを勝つためには…普段のレースこそが大事!


 菊花賞は圧倒的1番人気に応えて、コントレイルが無敗で三冠を達成しました。鞍上の(福永)祐一君は今年に入ってずっと集中してレースに乗れていましたから、そこが今回のレースにも繋がっていると思います。コントレイルはとても強いですし、陣営の努力も素晴らしいです。でも、誰が乗っても無敗の三冠馬になったか? といえば、祐一君のいつもの質の高い騎乗というのも大きかったのではないでしょうか。

 菊花賞のメンバー構成の中で、コントレイルはこれまでの走りを考えると力が一枚上ですよね。だからと言って簡単に勝てるわけではなくて、そういう人気馬に乗っている場合に、今回のような条件、天気が悪くない、ある程度の良馬場で逃げている馬が内を開けるという競馬になった時、1200m戦や長距離戦というのは、ジョッキーにとってすごくイヤなんですよ。

 人気馬に乗るということは基本的にマークされやすいわけですが、その中でも今回のような条件ではプレッシャーを掛けられやすいんです。一発を懸けて勝負してくる馬は内をすくってくるので、それを受け止めないといけない。神戸新聞杯の時も向正面から3コーナーにかけて、小崎(綾也)君が内を突いてきましたし、今回も岩田(康誠)君が内を突いてきました。

 コントレイルが3000mの距離がベストという馬ならばまったく問題ありませんが、決してベストとは言えない距離で、外からはアリストテレスのクリストフ(・ルメール騎手)が蓋をしてきて、内からも攻められるというのは、騎手として本当にイヤなものです。その中で、

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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