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【カナダで羽ばたく日本人(3)】騎手からエージェントに転身 “外国人騎手を連れてくるワケ” / 安藤裕元騎手

  • 2020年11月06日(金) 18時02分
海外競馬通信

▲最終回は外国人騎手の通訳兼エージェント・安藤裕さんです!


今年はカナダで日本人騎手が大活躍。『カナダで羽ばたく日本人』と題し、全3回に亘ってその立役者たちを特集します。

最後に登場するのは、マーフィー騎手など外国人騎手の通訳兼エージェントをされている安藤裕さんです。これまでは、カナダで活躍している2人の騎手にお話を伺いましたが、実はカナダにおける日本人騎手第一号が安藤さんです。

カナダに限らず、海外で幾多の騎乗経験がある安藤さんだからこその視点で、日本競馬への想いを伝えていただきました。

(取材・文:赤見千尋)
※このインタビューは電話取材で行いました。

繊細さが裏付ける日本人の騎乗技術


──先々週からこのコーナーで、カナダで活躍している福元大輔騎手、木村和士騎手という2人の若手ジョッキーのインタビューを行ってきました。安藤さんは日本人として初めてカナダで騎手になったという経歴がありますが、安藤さんから見たお2人の活躍はいかがですか?

安藤裕さん(以下、安藤) 本当に素晴らしいと思いますね。彼らは幼い頃から馬に乗っているし、騎乗技術も高いですから。それに、改めて日本人は馬乗りが上手いなと感じています。海外のトップジョッキーが日本の競馬で活躍するので、日本人は技術が高くないのではないかと誤解している方がいるかもしれませんが、僕は基本的に日本人は上手いと思いますね。

──世界の競馬を見ている安藤さんが、「日本人は上手い」と言ってくれるのはなんだか嬉しいです。

安藤 体の柔らかさもありますし、性格的にも真面目で丁寧、細かいところにも気が付きますから、そういう部分が上手さに繋がっていると思います。ただ、彼らがもし最初にオーストラリアに挑戦していたら、ここまでの結果は出せていないんじゃないかとも思いますね。

海外競馬通信

▲カナダ・ウッドバイン競馬場での初勝利時


──それはどうしてですか?

安藤 オーストラリアにも素晴らしいジョッキーがたくさんいますし、日本人でも藤井勘一郎騎手のように結果を出した騎手もいます。ただ、僕が坂井瑠星騎手の遠征に通訳として携わらせていただいてすごく感じたのが、オーストラリアは調教師の指示が多い、ということです。

 ゲートを出て3番手に付けてくれと言われたら、たとえトップスタートを切っても抑えて3番手に付ける、というのが向こうの考え方なんです。他にも指示がたくさんあるので、言葉の壁がある日本人にはなかなか難しい。でもカナダはそこまでガッチリした指示はないし、移民の国で他国の人を受け入れる文化も深い。彼ら2人の馬乗りのセンスや技術を発揮出来る環境だと思います。

海外競馬通信

▲坂井騎手の豪州遠征にも同行


──福元騎手、木村騎手共にまだ20代前半ですから、今後の活躍がとても楽しみですね。

安藤 今後どこの国に行っても成功すると思いますよ。海外で乗るというのはビザの問題がありますから、彼らは成績を挙げ続けなければいけない。カナダで上を目指すという考えもあるでしょうし、他の国を見てみたいという気持ちもあるでしょう。いつか日本で騎乗して、同世代の日本のジョッキーと真っ向勝負して欲しいです。

──ここまでは福元騎手と木村騎手についてのお話でしたが、安藤さんご自身についても伺います。イギリスで調教に携わり、そこで出会ったチームでカナダへ渡って騎手になり、好成績を挙げてさらにステップアップしようという時に大きな怪我、それがきっかけで騎手を引退して横浜ベイスターズの通訳になり、現在は日本の競馬に通訳兼エージェントとして携わっていると。一気に書きましたが、すごい経歴ですね。

安藤 ありがとうございます。自分でも面白い人生だなと思いますね。最初は日本で騎手になりたかったんですけど、視力が悪いのでなれないとなって。じゃあイギリスへ行って調教師になろうという発想になりました。

──そこからもう、すごい行動力ですよね。

安藤 今振り返ると、やっぱり好きなことを見つけるって大変だなと実感するんです。あの当時、10代後半から20代前半というのはいろいろなことに興味を持って、

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