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競馬が立派な産業として認められた証

  • 2020年11月07日(土) 12時00分

勲章と褒章の違いと授与基準は


 今週、岡部幸雄さんと中村均さんに旭日小綬章、大井の的場文男騎手に黄綬褒章が授与される、との報道がありました。

“その道”で大きな功績を残した方に授与されるのが勲章と褒章。でもその違いについて、ハッキリ説明できる方は少ないかもしれません。

 ご存知の方には余計な話でしょうが、今回は改めて確認しておきたいと思います。

 インターネットで検索すると、「日本文化研究ブログ」にわかりやすい説明が載っていました。

 そこには、「『勲章』は、個人の功績や業績を国家が表彰し授与されるもので、長年にわたる功績や業績を対象とする側面が強く、基本的に70歳以上が叙勲の対象」とありました。

 「一方、『褒賞』は、社会や公共の福祉、文化など、特定分野の発展に多大な貢献や顕著な功績があったと認められるものに対して授与され、功績の期間や年齢は関係ありません」とのことです。

 岡部さんと中村さんは72歳、的場騎手は64歳。確かに、年齢と“その道”の経験年数が違います。

 次に、勲章と褒章の授与基準を比べてみます。内閣府が公開している「勲章の授与基準」という文書によれば、「旭日章は、社会の様々な分野における功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた者を表彰する場合に授与するもの」だそうです。

 そして、その“分野”というのがいくつか例示されていて、岡部さん、中村さんの場合は「農業、林業、水産業、商業、鉱業、工業、情報通信業、建設業、不動産業、金融・保険業、サービス業等の業務に従事し、経済及び産業の発展を図り公益に寄与した者」のうち、畜産業の振興に功労があった人物ということで叙勲が決まりました。

 ちなみに、現行の旭日章は、上位から順に旭日大綬章、旭日重光章、旭日中綬章、旭日小綬章、双光旭日章、単光旭日章の6等級があります(昔の最上位等級・旭日桐花大綬章は2003年に旭日章から独立、桐花大綬章となりました)。

 一方、黄綬褒章は、「農業、商業、工業等の業務に精励し他の模範となるような技術や事績を有する方を対象」としているとのこと。競馬の騎手であれば、「科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方を対象とする紫綬褒章」の授与が考えられるところ。しかし、的場騎手の場合は「業務に精励し他の模範となるような技術や事績を有する」という基準に照らし合わせて、“ふさわしい人物”とされたようです。

 ついでながら、褒章には黄、紫のほか、紅、緑、藍、紺の6種類があります。

 いずれにしても、競馬が文化というより立派な産業として認められた証と言えそうです。お三方、誠におめでとうございました!

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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