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【アルゼンチン共和国杯予想】今年は波乱含みとなりそうな長距離ハンデ戦

  • 2020年11月07日(土) 18時00分

父ステイゴールドらしい長距離適性をみせる


 この秋は、スプリンターズSのグランアレグリアを出発に、毎日王冠のサリオス、秋華賞のデアリングタクト、菊花賞のコントレイル、天皇賞(秋)のアーモンドアイ...。注目のビッグレースになるほど、断然の人気馬が勝ち続けている。

 快記録が何週間も連続したあと、谷間のようなトーンのアルゼンチン共和国杯が行われる。近年はとても長距離のハンデ戦とは思えない平穏な結果が続くが、今年は久しぶりにフルゲート18頭立てとなった。ここは波乱がありそうだ。

 5歳馬ながら再三の休養をはさむため、まだ11戦【4-2-0-5】のバレリオ(父ステイゴールド)の距離適性に注目したい。順調に出走できるようになった今年、間隔が空き格上がりだったダイヤモンドS3400m、重馬場の七夕賞は凡走しているが、ここまで良馬場の距離2000m-2600mなら通算【4-2-0-2】。着外2回も0秒3-4差の5着なので、事実上のステイゴールドの最終世代らしい長丁場適性を示している。スタミナ優先のパワータイプではなく、時計の速いレースを歓迎するタイプ。

 昨年、2分22秒6の日本ダービーレコードが記録された当日は好時計続出だった。AR共和国杯と同距離2500mの目黒記念は、ルックトゥワイス(父ステイゴールド)が2分28秒2のJRAレコードで勝っている。古馬2勝クラスの青嵐賞2400mも2分23秒5の好時計の決着で、このときの勝ち馬が当時4歳のバレリオ。約半年の休養明けで、格上がり、東京コースは初めてだった。2着もステイゴールド産駒マイネルクラフト。

 同じ芦毛の全姉アイスフォーリスは、12年のオークス3着馬。長距離OKは父の血だけでなく、無類のタフな名牝だった3代母Dahliaダーリア(USA産)の影響力でもある。

 ダーリアは、ディープインパクトの3代母Highclereハイクレアに勝った1974年のキングジョージVI&クイーンエリザベスSなど、欧米5か国で48戦15勝(GI10勝)の星を残している。

 日本には、直仔の種牡馬が3頭(ディカードレム、ダハール、リヴリア)、牝馬が1頭輸入されている。その牝馬がバレリオの祖母に当たるベゴニア(USA産)。

 名牝の直仔は案外、期待ほど活躍しなくても、2代、3代後にその血が開花することが珍しくない。バレリオもそういうケースになるかもしれない。

 相手はとても絞れないので、単複と、連は長期休養明け3戦目のベストアプローチ、この距離の方が合うと思えるラストドラフト、オーソリティを中心に手広くいきたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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