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【エリザベス女王杯予想】世代交代を象徴する一戦

  • 2020年11月14日(土) 18時00分

有力馬のそろった5歳世代を軽くみるわけではないが…


 1996年から「3歳以上」になったこのレース、今年はハイレベルで、かつ層の厚さを誇るアーモンドアイと同期の5歳馬が、人気のラッキーライラック、ノームコア、センテリュオ…など、史上最多の9頭も出走する。当然、高い評価を受けるチャンス十分の馬が少なくとも数頭いる。

 しかし、エリザベス女王杯が現在と同様のチャンピオンシップになって24年、勝ち馬は3歳馬8頭、4歳馬11頭に対し、5歳馬は5頭だけ。世代間にあるレベル差とはあまり関係なく、結果は世代交代の時期がきていることを示している。実際、この24年間に5歳以上馬の「1着-2着独占」はわずかに1回しかない。

 有力馬のそろった5歳世代を軽くみるわけではないが、馬券作戦は世代交代を意識して一歩進め、これからもっと強くなるはずの若い4歳、3歳馬を狙う手がある。まだまだ評価の低い3歳馬だが、4歳の出走馬4頭を上回り、5頭もの3歳馬が強気に挑戦してきた。

 1990年代は明らかに4歳、5歳馬が有利だったが、3歳馬が以前より早くエース級に育つようになった21世紀になって以降、3歳馬が「5頭以上」エリザベス女王杯に出走したことが10回。うち8回まで3歳馬が連対し、3着までに3着馬が入れなかったのは2004年の1回だけという記録がある。逆に、21世紀になってから19回、5歳の勝ち馬は3頭にとどまっている。

 3歳馬での注目は、秋華賞3着のソフトフルート(父ディープインパクト)。出負けして3コーナーまで最後方を追走。そこから一番外を回って猛然と進出すると、4コーナーではもう先頭集団の外に並んでいた。強引に動いた結果、上がり3ハロンは最速とはいえ35秒7にとどまるが、残り800mから200mまで「12秒1-12秒4-11秒9」の地点で、ソフトフルートは3ハロン連続して11秒台にピッチを上げている。さすがに最後は鈍りかけたが、4着パラスアテナに競り勝ち3着だった。

 デアリングタクトには0秒3差の完敗でも、途中から一気に動いて速い脚が長続きしたところに注目したい。2200mを上がり34秒0で差し切った4走前も、2000mを上がり34秒3で抜け出した2走前も、3ハロン連続11秒台(11秒台前半を2回含む)の脚を長続きさせている。途中から動きの激しくなる阪神内回り向きと思える。

 福永祐一騎手に手綱がもどる。福永騎手はここまで28のGI(JRAの競馬場)を制しているが、うち20までが「2歳、3歳馬」によるGI制覇という不思議な記録がある。かつて、牝馬の福永といわれたが、4歳以上の牝馬で制したGIはない。

 5歳ラッキーライラック、4戦無敗のままオークスレコード2分22秒8で勝っているラヴズオンリーユーの巻き返しが本線だが、この秋の阪神の芝は好時計の決着になる。秋華賞凡走の3歳リアアメリア、ウインマイティーの大きな敗因は、インを通った馬全滅の芝にあった。現在の阪神のほうが合う。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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