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オルフェーヴル産駒の成功する配合パターン

  • 2020年11月16日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・11/15 エリザベス女王杯(GI・阪神・芝2200m)
 中団の外を追走したラッキーライラックが4コーナーを回って早め先頭に立ち、サラキア、ラヴズオンリーユーの追撃を抑えて2連覇を達成しました。昨年は京都、今年は阪神。違う競馬場での連覇なのでより価値があります。GIタイトルはこれで4つめとなり、牝馬ではリスグラシュー、ダイワスカーレットに並びました。

 気性的に難しく、内にモタれるところがあるので、昨年のエリザベス女王杯も今年春の大阪杯も内ラチ沿いを抜けてきました。大外枠を引いた今回は終始外を回りながら完勝。ルメール騎手の好騎乗はもちろんですが、気性面の成長もうかがえました。

「オルフェーヴル×フラワーアリー」という組み合わせで、母ライラックスアンドレースはアメリカでアシュランドS(G1・AW8.5f)を勝ちました。近親にはアエロリットやミッキーアイルがいます。オルフェーヴル産駒の成功する配合パターンはいくつかありますが、ミスタープロスペクターを入れたもの、シアトルスルーを入れたものはその代表的なもので、ラッキーライラックはそれらを併せ持っています。

 父オルフェーヴルはステイゴールドの代表産駒で三冠馬。他に有馬記念、宝塚記念などを勝ち、凱旋門賞では2年連続2着となりました。2020年は165頭に交配。前年はわずか52頭だったので3倍以上に増えました。エリザベス女王杯の同日に行われた福島記念をバイオスパークが、前週のアルゼンチン共和国杯をオーソリティが勝ち、ここにきて産駒の活躍が目立ちます。

・11/14 デイリー杯2歳S(GII・阪神・芝1600m)
 好位を追走したレッドベルオーブが直線で内から伸び、ホウオウアマゾンとの一騎打ちを制しました。勝ちタイム1分32秒4は2歳コースレコード。2013年に京都競馬場でミッキーアイルが記録した1分32秒3の2歳JRAレコードにわずかコンマ1秒と迫るものです。

 過去、芝1600mの2歳戦で1分32秒台を出した馬はミッキーアイルを含めてサリオス、レシステンシアと3頭いますが、すべてGIホースとなっています(レシステンシアは1分32秒台を出したレースがGI)。レッドベルオーブも有望でしょう。

 昨年のこのレースを制したレッドベルジュールの全弟にあたり、「ディープインパクト×アンブライドルズソング」の組み合わせは、無敗で三冠を達成したコントレイル、朝日杯フューチュリティSを勝ったダノンプラチナなどと同じニックスです。序盤に幾度か頭を上げるしぐさを見せ、気性的な難しさを覗かせましたが、それでも勝ったわけですから能力の高い馬です。

 これで2戦連続レコード勝ちとなりましたが、12月20日の朝日杯フューチュリティSは連続開催の阪神コースで行われるので、例年よりも時計の掛かるコンディションになることが予想されます。それをこなせるかどうかが鍵でしょう。

今週の血統注目馬は?


・11/21 もちの木賞(2歳1勝クラス・阪神・ダ1800m)
 素質馬がそろった注目の一戦ですが、狙ってみたいのはバニシングポイント。8月の札幌新馬戦(芝2000m)を7馬身差で逃げ切ったあと、2戦目のアイビーS(L・芝1800m)は1番人気を裏切って8頭立ての7着。アメリカ生まれの外国産馬で、米最優秀古牝馬と米最優秀スプリンター牝馬に輝いたユニークベラ(ダート重賞を8勝、うち3勝はG1)の全弟です。

 父タピットは3年連続米リーディングサイアー、母アンライヴァルドベルはブリーダーズCレディースクラシック(米G1・ダ9f)の勝ち馬、という血統背景も素晴らしく、この先の競走成績次第では種牡馬になってもおかしくない超良血馬です。ダート替わりの今回が狙い目でしょう。

今週の血統Tips


 今年のマイルチャンピオンシップはGI馬が8頭顔をそろえる豪華メンバー。ただ、京都競馬場が改修工事に入ったため、今年はレース創設以来初めて阪神競馬場で行われます。いずれも外回りコースではありますが、3コーナーの下りから直線がフラットな京都と、直線の最後に急な上り坂が待ち構える阪神では傾向が異なります。主な種牡馬の連対率が京都芝1600mと阪神芝1600mでどう違うのか示してみます。

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 京都競馬場で上位を占めたディープインパクト、ロードカナロア、キングカメハメハ、アドマイヤムーン、ヴィクトワールピサが数値を下げており、とくにロードカナロアとアドマイヤムーンの下げは目立ちます。逆に、ダイワメジャー、ハービンジャー、ステイゴールド、ハーツクライ、タイキシャトルは上げています。京都芝では目立たなかったダイワメジャーは阪神芝で第2位に浮上。ディープインパクトは阪神芝で若干下げますが、京都の2位以下が大きく下げているため、相対的な突出度は阪神のほうが上です。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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