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【マイルCS】今年のメンバーは小春日和の紅葉のように、個性豊かで美しい

  • 2020年11月21日(土) 12時00分

最強短距離馬が牝馬の時代を決定づけるか


 出走馬の顔ぶれを改めて眺めていて、8頭ものGI馬がいるというだけでなく、それぞれの戦ってきた蹄跡に思いが及ぶ。3歳から6歳、そして8歳馬と5世代の馬たちがこのマイルのタイトルを目標に出走してきたが、中でも6歳馬ペルシアンナイトは今度が4度目の出走。3年前の3歳時にマイルCSは勝っているが、それ以後4歳、5歳と戦って2着、3着と好走してきた。今回は2走前に札幌記念2着、6歳でも健在ぶりを示し、前走富士S4着でも次につながる手応えをつかんで出走している。

 マイルのGI戦の勝ち馬は、何よりもマイルでの勝率、連対率が高いことで知られている。ペルシアンナイトは、全27戦のうちマイルは14戦して3勝2着1回。少し分が悪い。だが、これまでのしなやかな動きから筋肉がついてパワフルに進化したのではと言われていることから、ワンターンのコースに合った追い出しが上位進出のチャンスにつながることも考えてみたい。

 でも、大勢はグランアレグリア、サリオスの2頭のどっちかだろう。4歳牝馬のグランアレグリアは、現役最強の短距離馬。安田記念、スプリンターズSの2階級制覇を達成し牝馬の時代を象徴する一頭だ。阪神は桜花賞をレコード勝ち、阪神カップも文句ない勝利を挙げ、その加速力が魅力だ。秋のマイル戦で再三のレコードがマークされている阪神でも不安はない。

 ハイレベルな戦いに挑む新勢力、3歳馬の存在もレースを面白くしているが、中ではコントレイル以外には負けていないサリオスだ。朝日杯FSで勝った舞台だし、秋初戦の毎日王冠で古馬を一蹴している。また、速い時計の決着にも対応できるスピードもあり、さらなる進化が楽しみだ。

 この2頭、グランアレグリアのマイル戦の戦績は6戦4勝、サリオスは3戦3勝と文句ない。もしかしたら、2頭の戦い方が今年のマイルCSの最大の見どころと言ってよく、牝馬の快進撃が続くか、世代交代の波が立つか、この2頭は抜けていると見ている。

 小春日和に映える紅葉は、よく見ると単彩ではない。茜(あかね)、朱、緋、唐紅(からくれない)、臙脂(えんじ)、金茶色、暗い紫色、ひまわり色などさまざまな色の葉が色どりをそえ、あの美しさを演出している。マイルCSにも様々な個性がひしめいている。

 昨年春秋マイルGIを勝ったインディチャンプは一頓挫から立ち直ったし、マイルは12戦7勝。3歳牝馬レシステンシアは故障明けだが、阪神JFのレコード圧勝が光っている。それと相手が強いほど真価を発揮するGI3勝のアドマイヤマーズも4歳で可能性を秘めている。どこまで舞台を盛り上げてくれるか。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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