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【チャンピオンズC】名種牡馬の血を受け継ぐ砂の絶対王者

  • 2020年12月05日(土) 12時00分

国内無傷の9連勝で連覇を狙う


 記録づくめの秋のGIシリーズ、期待馬がこぞって勝ち切ってきた。そして今度はチャンピオンズカップ、国内無傷の9連勝をめざすクリソベリルの出番だ。トランセンド以来の2頭目の連覇もかかっている。

 昨年は、2着がその2年前の勝ち馬ゴールドドリームで今年も対戦する。そのゴールドドリームが4歳時に勝利した年の3着には、4年連続でチャンピオンズカップに出ていた7歳馬コパノリッキーが入っていた。

 ここに名前をあげたクリソベリル、ゴールドドリーム、コパノリッキー、それに2年前6着だったサンライズノヴァを加えてこの4頭とも、ゴールドアリュール産駒という共通項がある。

 2003年、サンデーサイレンス産駒で初めてJRAダートGIレースをフェブラリーステークスで勝っていて、3歳時、武豊騎手の手綱で交流GIジャパンダートダービー、ダービーグランプリ、東京大賞典を勝ち、その年の最優秀ダート馬に選出されていた。4歳時、フェブラリーステークスを勝ってドバイワールドカップを目標にしていたが、この年2003年、イラク戦争が勃発し渡航が不可能になり遠征を断念。うっぷん晴らしで出走した4月のアンタレスステークスで、59キロを背負い8馬身差で勝ったシーンは圧巻だった。

 この辺の情勢は、今年の春に似ている。世界が穏やかであってこその競馬の国際交流だということ、改めて当時を思い出したのだった。ゴールドアリュールはその後、喘鳴症を発症して現役を引退し、2004年から種牡馬入りし、初期の産駒にスマートファルコン、エスポワールシチーがダートで活躍、2017年2月に18歳で他界した父ゴールドアリュールを継いで現在、種牡馬として産駒を送り出している。

 ゴールドアリュール産駒は、旧ジャパンカップダート時代を含め、このチャンピオンズカップには今年で12年連続出走している。この生命力の強さは大したものだ。あの法隆寺のヒノキ材が、1300年以上もたっているのにビクともしていないことを思い出す。建築材としてのヒノキの寿命の長さはよく知られている。そこから「木は2度生きる」と言われてきた。

 木々の新しいいのちが建物に芽生えて育つのに似て、競馬でも「馬は2度生きる」をゴールドアリュールは見せてきた。そして、これを受け継ぐ産駒の中から、特にいまは、先行できて末脚もしっかりしているクリソベリルにつきるのでは。前肢のかき込みが強く、何があってもひるまない気の強さ、ダート界のスーパーホースだ。

 これを追うのは横一線だが、未知の魅力のある3歳馬、全ダート5戦4勝のカフェファラオに注目したい。落ち着きを増し、折り合い面もスムーズになったので、好調ルメール騎手の思いどおりに走ってどこまで頑張れるか。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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