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GI誘導馬が園田にやってきた!きっかけはマコーリー

  • 2020年12月09日(水) 18時00分
東京競馬場と京都競馬場で数々のGIレースの誘導を務めてきたストラディヴァリオが11月から地方・園田競馬場に移籍。24日には園田で誘導デビューを果たし、早速ファンから注目を集めています。

天皇賞や菊花賞など、日本を代表するビッグレースの誘導を務めたとなれば、引く手あまたの人気ですが、地方競馬に呼ぶことができたのは、日本最高齢の誘導馬として園田で活躍したマコーリー(2016年死亡)の存在がありました。「園田だったら大切にしてもらえる」との後押しがあり、園田の誘導馬の仲間入りをしたストラディヴァリオ。誘導馬にまつわる「ちょっと馬ニアックな世界」を覗いてみましょう。

誘導馬引退後も競馬場で余生を過ごしたマコーリーの功績


 ピンクの鼻で、ちょっと食いしん坊のストラディヴァリオが園田競馬場にやってきたのは11月6日。

馬ニアックな世界

▲園田競馬場に到着したての様子(提供写真)


 園田競馬場には誘導馬としてアイスバーグとメイショウシャークの2頭がいますが、「アイスバーグが27歳と高齢になってきたので、できれば夏にアイスバーグの負担を減らしてあげたいなと思って、今年の春くらいから新しい誘導馬を迎えようと動いていました」と誘導馬の担当者はストラディヴァリオを呼んだ経緯を話しました。

「でも、今年はコロナの影響で馬の移動がなかなかできなかったのと、JRAの各競馬場で芦毛の誘導馬を育ててはいるようなんですけど、無観客で誘導していたのでお客さんのいる状態を新人誘導馬が経験できていなくて、『古株のスーパーホースを移籍させられない』と聞いていました」

 思わぬところにも影響を及ぼした新型コロナウイルス。また、芦毛で落ち着いて誘導できる馬は各所から人気があり、「うちに来てほしい」という移籍のオファーも多いのだそう。しかし、園田では誘導馬が運動できる時間帯はトラックの出入りや工事が行われることもあり、「突然の工事の音とかにも驚かないスーパーホースが必要だったんです」といいます。

 そういった事情からストラディヴァリオを希望したわけですが、人気がありながらも園田への移籍が叶ったのは、この地で長年活躍した誘導馬・マコーリーの存在がありました。

 マコーリーは園田で長年活躍した誘導馬。2015年10月に引退するまで日本最高齢の「おじいちゃん誘導馬」として活躍し、多くのファンに愛されました。誘導馬を引退し、「お仕事」をしなくなった後も園田競馬場内の誘導馬馬房で余生を過ごし、2016年9月、31歳で死去。

 誘導馬を担当されているみなさんが丁寧にケアをしたからこそ30歳まで誘導馬として活躍ができ、引退後も大切にお世話をされていました。

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▲マコーリーと、そのだけいばのマスコットキャラクター・そのたんとのツーショット。マコーリーはそのたんのモデルにもなった。(提供写真)


 そんなマコーリーも京都競馬場からの移籍組でした。

「当時、誘導馬を担当されていた荒木さんという方が今はお亡くなりになられたのですが、マコーリーを本当に大事に大事にされていました。アイスバーグも荒木さんがお願いに上がって京都競馬場から移籍したのですが、『20年に一度のスーパーホース』と言われるくらい誘導に関しては名馬で、いろんなところからオファーが入っていたようです。そんな人気馬だったのですが、マコーリーからの信頼があって『荒木さんがいらっしゃるんだったら園田に』と言っていただいたようです。メイショウシャークも京都競馬場から来ましたし、荒木さんのおかげでいまの3頭がいるような感じです。今回も『園田だったら大切にしてもらえるからね』と園田に来てもらうことができました」

 さらに、競走馬時代には園田出身の岩田康誠騎手が乗って2勝を挙げたストラディヴァリオ。いろんな縁が園田とあったようで、11月1日の開催を最後に京都競馬場が改修工事に入るタイミングで移籍してきました。

着ぐるみを見て横飛びも、大好きな人参に引き寄せられて


 11月24日に園田で誘導馬デビューしたストラディヴァリオ。

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▲さすがのベテラン感を醸し出すストラディヴァリオ(手前、提供写真)


 まずは先輩のアイスバーグと一緒に2頭で誘導を行うと、帰り道にあるウイナーズサークルではそのたんがストラディヴァリオに会いに来ていました。

 ところが、そのたんを見た瞬間、横飛びをしたストラディヴァリオ。それもそのはず、引っ越してきて間もない場所で、初めて見る着ぐるみですからビックリしますよね。

「私はアイスバーグに乗っていたんですけど、『大丈夫、一緒に人参食べよう』って言ったら、おずおずと首を伸ばしていました。ストラディヴァリオはアイスバーグのことをすごく信頼していて、アイスがそのたんから人参をもらっているのを見て『あ、大丈夫なんだ』と安心したようです。人参がめちゃくちゃ好きですしね(笑)」

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▲アイスバーグ先輩のおかげで、そのたんとふれ合えたストラディヴァリオ(左、提供写真)


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▲ストラディヴァリオ(右)が頼りにしているアイスバーグ先輩と(提供写真)


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▲メイショウシャーク(右)とも仲良し!ストラディヴァリオは誘導を終えてお手入れ中(提供写真)


 JRAでは2〜3頭で誘導するのに対し、園田では普段のレースは1頭で誘導するのがノーマルパターン。「JRAから来た馬にとっては1頭だけで誘導することは結構ハードルが高い」ようですが、12月1日からは1頭でも誘導を始めました。

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▲JRAでは経験しないという1頭での誘導


「まだ少しバタバタしつつも、だいぶ落ち着いてきました。JRAに比べると園田はすべてがコンパクトなので、すぐ後ろを競走馬が通っていくことにまだ慣れていません。でも、すごく学習の能力のある馬なので、何度か経験していくうちに慣れていくと思います」

 JRA時代には新人誘導馬の保護者的役割もしていたとあって、さすが頼もしいです。

「今後、重賞で機会があれば3頭で誘導できるようになったらいいなぁと考えています。そして、マコーリーやアイスバーグみたいにまったく動じない馬になってほしいですね。アイスバーグは高圧洗浄機がただ一つの天敵なんですけど、それ以外は今日も新馬戦で周りがバタバタしていても動じませんでした。ストラディヴァリオは3代目にリアルシャダイが入っている血統の元競走馬。理解力は早いですから、期待しています」

 最後にこう付け加えました。

「netkeibaの掲示板には競走馬としてデビューした時から現在まで、ずっとコメントがされていて、すごいなぁ、ありがたいなぁって思います」

 園田に移籍後も引き続き、ファンのみなさんに温かく見守っていただいているんですね。

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▲園田競馬場の猫ともすっかり仲良しのストラディヴァリオ。これからもよろしくお願いします。(提供写真)

競馬リポーター。競馬番組のほか、UMAJOセミナー講師やイベントMCも務める。『優駿』『週刊競馬ブック』『Club JRA-Net CAFEブログ』などを執筆。小学5年生からJRAと地方競馬の二刀流。神戸市出身、ホームグラウンドは阪神・園田・栗東。特技は寝ることと馬名しりとり。

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